右利きの人が多い理由は?どうして左利きの人は少ない?

右利き

日本人の約9割の人は、右利きだといわれています。
 
世界的に見ても、日本と同じように右利きの人が多く、約9割の人が右利きで、左利きの人は1割程度しかいないといわれています。
 
どうして人間は、右利きが多いのかということについて、はっきりとした理由は分かっていないようですが、なるほどと思う、いくつかの説があるので紹介します。

右利きの人が多い理由

優位脳説

人間の脳は、右脳と左脳に分かれていますが、体を動かすときには、動かす側とは反対側の脳から司令が出されているとされています。
 
例えば、右手を動かす場合には、左脳から司令が出されていて、逆に、左手を動かす場合は、右脳から司令が出されているというわけです。
 
このことから、右利きの人は、左手よりも右手を頻繁に動かすので、右脳よりも左脳の方が優位に働いていると考えられます。
 
一方、人間がもっている能力の中で、他の動物よりも圧倒的に優れているのが、言葉を話すという「言語能力」です。
 
人間は、進化の過程で、この言語能力にどんどん磨きをかけてきましたが、この言語能力を司る言語中枢があるのが「左脳」です。
 
進化の過程で左脳がどんどんと発達していった結果、人間が行動する際にも左脳が優位に働くようになり、右利きの人が多くなったというのが、「優位脳説」です。
 
現在は、この説が最も有力だと考えられているようです。

スポンサーリンク

攻撃・防御説

人間の歴史は、戦いの歴史と言っても過言ではありません。
 
昔の戦いは、盾で身を守りながら、剣や槍で攻撃するというスタイルが多く、この時、身を守る盾は、心臓が左にあるという理由から左手に持ち、右手を使って攻撃することが多かったといわれます。
 
このような戦いの時代が長く続いて、右手を使うことが多かったために、右利きが多くなったというのが、「攻撃・防御説」です。
 
ただ、「心臓は左にある」とよく言われますが、実際のところは、心臓はほぼ体の真ん中にあって、先端が若干左にずれている程度なので、心臓を守るために左手に盾を持ったというのは、理由としては、少し疑問に感じるところもあります。

環境説

利き手が決まる3~4歳くらいまでに使うことが多かった方の手が利き手になる、というのが「環境説」ですが、世の中の道具類は、ほとんどが右利き用に作られているため、自然に右を使うことが多くなり、結果的に右利きの人が多くなるといいます。
 
きゅうす、自動改札機、パソコンのマウス、定規の目盛り、缶切り、がま口、カメラなど、身のまわりにあるもので右利き用に作られているものを挙げるとキリがありません。
 
確かに、利き手が決まる前に、右利き用のものがたくさんある環境で育って行けば、その使いやすさから、自然と右利きになっていくというのもうなずけます。

遺伝説

両親の利き手が、子供の利き手に、遺伝的に関係しているという説もあります。
 
右利きの親が多いため、遺伝によって、その子供も右手が多くなるというのが「遺伝説」です。
 
利き手の遺伝としてよく取り上げられるのが、イギリス王室の左利きの状況です。
 
イギリス王室では、現在の女王・エリザベス2世の父親・ジョージ6世の代から、ずっと左利きが続いているといわれています。
 
ジョージ6世 - エリザベス2世 - チャールズ皇太子 - ウイリアム王子 と4代続けて左利きだといわれているので、このことだけを見ると、利き手が遺伝するというのも、なるほどと思ってしまいます。(チャールズ皇太子は右利きだという説もあります。)
 
一方、両親とその子供の利き手を調査した、次のような結果もあります。
 
・両親がともに右利きの場合:子供が左利きの確率→9.5%
・両親の片方が左利きの場合:子供が左利きの確率→19.5%
・両親がともに左利きの場合:子供が左利きの確率→26.1%
 
この調査結果を見ると、確かに、子供が左利きになる確率が一番高いのは、両親がともに左利きの場合です。
 
この結果を一見すると、遺伝が関係しているようにも思えますが、両親がともに左利きの場合に子供が左利きである確率が26.1%ということは、見方を変えると、両親がともに左利きだったとしても73.9%は右利きだともいえます。
 
左利きよりも右利きの確率の方が、かなり高い確率になっているのです。
 
遺伝が原因になっているのなら、両親がともに左利きの場合に、子供が左利きになる確率がもう少し高くてもいいような気もしますが・・・。
 
だだ、両親がともに左利きの場合が、子供が左利きになる確率が一番高いということは事実です。
 
遺伝が、利き手に何らかの影響を及ぼしているのかもしれませんが、はっきりとしたことは分かっていないようです。

左利きの人は早死にする?

人類の1割程度しかいない、少数派の左利きですが、「左利きの人は右利きの人よりも早死にする」という研究結果があります。
 
これは、アメリカでの研究結果なので、日本でも同じ結果になるかどうかは分かりませんが、研究によると、右利きの人の平均寿命が75歳なのに対して、左利きの人は66歳だったといいます。
 
左利きの人の方が、9歳も短命だったというのは、かなり大きな差だといえるのではないでしょうか。
 
理由としては、「ストレス」が考えられるようです。
 
上述したとおり、世の中の道具類などは、ほとんどが右利き用に作られているので、左利きの人にとっては、日常生活のさまざまな面で不便を感じることが多くなっています。
 
こうした、右利き優先の社会構造が、左利きの人のストレスになり、長生きしづらい環境になっているというのです。

左利きは矯正した方がいい?

子供が左利きだと分かると、右利きに矯正しようとする親御さんもいますが、左利きは矯正した方がいいのでしょうか。
 
幼い頃に利き手が決まっていくのは、自分で意識して決めているわけではなく、生活の中で脳が自然と決めていくものなので、無理に矯正しようとすると、子供の精神形成に悪影響を及ぼすことがあると考えられています。
 
「利き手は、自然に任せるのが一番」というのが、多くの医師の共通した見解のようです。
 
とはいっても、社会の環境が右利き優先になっているので、子供が不便を感じないよう、右利きになってほしいという親心も当然かもしれません。
 
そんな時には、子供に物を渡すときには右手に渡したり、子供が使う物は右手で取りやすい場所に置いておくなど、右手を使うことを誘導するようにするといいかもしれません。
 
スポーツなどでは、左利きが有利な場合もあります。
 
また、明確な根拠はありませんが、アインシュタイン、モーツァルト、ダビンチ、ピカソなど、「左利きには天才が多い」と言われたりもします。
 
利き手は、自然に任せて、無理に矯正しないのが良さそうです。

まとめ

右利きの人が多い理由については、まだ、分かっていないことがたくさんあるようですが、最近では、昔のように左利きを右利きに矯正するケースは少なくなってきているようです。
 
無理に利き手を矯正するのは、その人にとって大きなストレスになっているかもしれません。
 
自然と身についた利き手が、その人にとってのベストな利き手といえるのかもしれませんね。