早産での出産はいつからなら大丈夫?週数による生存率と早産の原因

妊娠がわかったときに気になるのが「出産予定日」です。

出産予定日は「妊娠40週0日目」となりますが、その日前後の期間で、胎児の発育上問題のない時期のお産は「正期産」と呼ばれ、妊娠37週~妊娠41週の出産が正期産になるとされています。

「赤ちゃんは、出産予定日に生まれてくる。」と考えがちですが、「出産予定日」はあくまでも「予定日」です。

最後の生理が始まった日を妊娠0週0日として、その日から出産するまでの平均的な日数の280日後(40週0日目)を出産予定日としているだけなので、実際の出産日は、人によって前後する方が一般的だといわれます。

妊娠37週を迎える頃になると、胎児の身体機能や臓器は十分に発達していて、外の世界に出ても育っていくことができるので、出産予定日より前に生まれても「早産」とは呼ばれません。

「早産」とは、正期産より前の「妊娠22週~37週未満」に出産することをいいますが、日本では、全出産のうちの5~6%が早産だといわれています。

早産での出産

胎児は、お腹の中で成長を続けていて、約10ヶ月かけて、お腹の外に出ても生きていけるような体をつくっていきます。

しかし、早産で生まれた場合には、身体や臓器の機能が十分に発達できていないため、生まれた後の健康上のリスクが高くなってしまいます。

「自分の力で呼吸ができない。」
「母乳を飲むことができない。」
「体温をうまく調節できない。」
「血糖を保つことができずに低血糖を起こす。」
「内臓機能が未発達のため黄疸が強く出る。」

などのリスクが高くなるといわれます。

また、生まれる時期が早ければ早いほど、生存率も低くなってしまうといわれます。

早産の際の生存率

早産の赤ちゃんの生存率は、「妊娠週数」と「出生体重」によって大きく左右されます。

妊娠週数が短いほど、出生体重が軽いほど、生存率は低くなっていきます。

「出生週数による生存率」
・22週:30%
・23週:50%
・24週:80%
・25週:85%
・26週:90%
・27週:90%以上
・28週:95%以上

「出生体重による生存率」
・500g以下:50%
・500~700g:70%
・750~1000g:90%
・1000g以上:95%

早産でも、胎児の肺の機能が発達してくる「34週目以降」であれば、命の危険性は低くなるといわれています。

早産で生まれた後のリスク

早産で生まれた場合には、妊娠週数が短いほど身体の機能が未熟で心肺機能も整っておらず、体温を調節する機能や免疫機能も出来上がっていない度合いが高くなります。

このような未熟な状態で出てくると、呼吸器系の病気や感染症にかかりやすくなるなど、トラブルが起こる可能性も高くなるといわれます。

生まれる時期が正期産とされる「妊娠37週」に近ければ近いほど、胎児の器官が発育して障害が現れる可能性も少なくなるので、早産の兆候が見られたら、できるだけ妊娠の期間を延ばすことが重要とされます。

点滴を打つなどの処置がとられることもありますが、それでも早産になることもあります。

早産の場合、出産後はすぐに保育器に入れられますが、特に「28週目以前」に出産したような場合は、胎児の身体的な機能が著しく未発達なため、出産後は新生児集中治療室に入れて、その後の成長を注意深く見守ることが一般的です。

妊娠22週~28週未満での早産

胎児の目は、妊娠3週頃から形成が始まって、妊娠36週頃に完成するといわれています。

妊娠28週未満で生まれた場合には、網膜がまだ発達の途中なので、網膜剥離や失明の危険もある「未熟児網膜症」を発症するリスクが、かなり高くなってしまうといわれます。

また、脳も成長の途中なので、「脳性麻痺」が起きるリスクも高くなるといわれます。

妊娠28週~36週未満での早産

肺が発達しきっていない妊娠34週未満で生まれると、自分の力では呼吸できないため、人工呼吸器を使って対処することが少なくないようです。

妊娠34週を過ぎると、ほとんどの臓器が完成するといわれていて、正期産での出産に近い状態になりますが、それでも、呼吸障害など長期に障害を残すこともあるようです。

低体重によるリスク

早産では、出生時の体重が2,500g未満の「低出生体重児」であることが多くなりますが、出生時の体重が、その後の健康上のリスクに影響を与えるといわれます。

早産で生まれても、出生時の体重が2,000g以上であれば、体の機能に問題が起きることは少ないといわれています。

しかし、出生時の体重が2,000g未満の場合には、体温を保持する機能が低いために保育器に入る必要があったり、ミルクを飲む力が弱いために点滴注射をする必要が生じることも。

さらに、出生時の体重が1,000g未満であった場合は、脳性麻痺や精神発達遅滞になるリスクが高くなるので、定期的に検診を受けて経過を見ていくというのが一般的といわれます。

早産の原因

流産の場合は、染色体異常など胎児側に原因があることが多いですが、早産の場合は、母体側に原因があることが多いといわれます。

早産の原因は様々ですが、定期的に妊婦健診を受けるなどして、できるだけ早く早産の兆候を察知して、適切な対処をすることが大切になります。

絨毛膜羊膜炎

子宮は、腟を通して身体の外と接していますが、腟が細菌に感染して細菌性腟症を起し、それが悪化すると、絨毛膜羊膜炎や子宮頸管炎などに発展することがあるといわれます。

早産の原因で最も多いといわれている「絨毛膜羊膜炎」は、羊水感染や胎児感染にまで及ぶこともあります。

絨毛膜羊膜炎は、早産だけではなく、超低出生体重児が生まれる原因にもなるといわれているので、早期に治療することが重要になります。

頸管・子宮の異常

子宮頸管無力症の場合は、陣痛前に子宮口が開いてしまって子宮頸管が短くなるので、早産の原因になりやすいといわれます。

場合によっては、子宮頸管縫縮術で、子宮口を縛ることもあるようです。

また、子宮筋腫や子宮奇形など、子宮に何らかの異常があるような場合にも、早産になることがあるといわれます。

合併症

妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群などの合併症がある場合には、早産になることがあるといわれます。

合併症の症状が重い場合には、母体と胎児の安全のことを考えて、誘発分娩や帝王切開によって早めに分娩が行われることもあるようですす。

胎盤の異常

胎盤が正常な位置よりも下についている「前置胎盤」や、分娩前に胎盤が子宮壁から剥がれてしまう「常位胎盤早期剥離」などの胎盤の異常も、早産につながることが多いといわれます。

多くの場合、帝王切開となるようです。

羊水過多

羊水が多い場合には、子宮筋が引き伸ばされて子宮の収縮が起こりやすくなるといわれます。

多胎妊娠

双子以上の多胎妊娠の場合には、一人だけの単胎妊娠と比べて、早産のリスクが高くなることがわかっています。

胎児が二人いるので、子宮が大きくなりやすく、子宮の収縮が起こりやすくなります。

双子を妊娠している場合には、約半数が早産になるといわれているので、早めの入院で経過管理が行われることが多くなるようです。

喫煙・ストレス

喫煙やストレスなど、普段の生活習慣の影響で早産となることもあるといわれます。

煙草には、様々な有害物質が含まれているといわれていますが、それらの影響で子宮の収縮が促進されたり、胎児を包んでいる卵膜が弱くなって破水しやすくなったりすることがあると考えられています。

喫煙する本数が増えるほど早産のリスクが高くなり、逆に、禁煙すると早産のリスクが低くなることがわかっています。

また、仕事や家事などで疲労やストレスが溜まりすぎると、子宮の収縮につながることがあるといわれています。

身体の冷え

寒さやクーラーの効き過ぎなどで身体が冷えると、寒さによって血管が収縮して、お腹も張りやすくなってしまいます。

早産の兆候

早産の兆候には、いくつかの症状がありますが、切迫早産になってしまったら、とにかく安静にすることが大切だといわれます。

お腹の張り・痛み

妊娠後期になると、お腹の張りを感じることは少なくありませんが、横になっても治まらなかったり、痛みが規則的に続いたりするような場合は、切迫早産の可能性があるといわれます。

すぐに病院に連絡しましょう。

出血

妊娠37週以前に出血する場合は、切迫早産の可能性があるといわれます。

おりものに少し血が混じっている程度のこともあれば、血の塊が出るようなこともあります。

出血があったら、まず病院に連絡をして受診することが大切です。

安静を指示されることが多いようです。

破水

破水があった場合には、すぐに病院に連絡です。

破水した場合は、少量でも細菌に感染するリスクがあるので、風呂やシャワーは控えて、すぐに受診することが重要になります。

尿漏れと区別がつかない場合があるかもしれませんが、排尿後にもちょろちょろと流れるような場合は、破水の可能性が高いともいわれます。

まとめ

早産のことを考えると、不安な気持ちが強くなるかもしれませんが、早産のリスクのことを理解しておいて、どう対処していけばいいかということをあらかじめ知っておくことは、とても大切なことです。

早産のリスクを知っておけば、それに対する心の準備もでき、早産の予防を行うことの大切さもより分かります。

必要以上に意識し過ぎることなく、できることから出産の準備をしていくようにしましょう。