毎年夏になると、蚊で悩まされることも多くなります。
外にいても、家にいても、いつの間にか蚊が近づいてきて、気づかないうちに刺されてしまいます。
たまたま、蚊が止まっているのを見つけて、追い払ったり、手でつぶしてしまったりすることもありますが、かゆくなって、初めて蚊に刺されたことに気づくということがほとんどです。
蚊は、糖分をエネルギー源としているので、人間の血だけを吸っているわけではなく、普段は、花の蜜などを吸って生きているといわれています。
それなら、人間の血を吸わずに、花の蜜だけを吸っていてほしいとも思いますが‥。
ただ、人の血を吸う蚊は「メス」だけで、産卵するための栄養を得るために血を吸うのだといわれています。
いずれにしても、蚊に刺されないのが一番良いのですが、蚊に刺されてしまった時には、どんな対処をすれば、かゆみや腫れを抑えるのに効果的なのでしょう。
蚊に刺された時
蚊に刺された時には、刺されたことに気づかないことが多いです。
蚊に血を吸われているわけですから、痛みなどがあって、刺されていることに気がついてもいいような気もしますが、ほとんどの場合は気がつきません。
これは、蚊が人の皮膚を刺すときの行動に秘密があります。
蚊は、人の皮膚を刺した瞬間に「唾液」を注入しますが、この唾液に麻酔作用のある成分が含まれているために、刺されても痛みを感じることがないのだといいます。
アレルギー反応の「かゆみ」「腫れ」
蚊の唾液が注入されると、体内では、これに反応して「アレルギー反応」が起こるといわれます。
この「アレルギー反応」のため、かゆくなったり腫れたりするというわけです。
刺されてすぐにかゆくなる人もいれば、ある程度時間が経ってからかゆくなる人もいます。
蚊に刺されてすぐにかゆみや腫れが現れるのが「即時型」、数時間以上経ってから現れるのが「遅延型」と呼ばれます。
赤ちゃんや小さい子供には「遅延型」が多く、大人になると「即時型」が多くなるといわれています。
また、蚊に刺された回数が少ない赤ちゃんや小さい子供は、かゆみが強くて長く続くことが多いともいわれます。
大人になって何回も蚊に刺されていると、かゆみも軽くなっていき、さらに蚊に刺され続けると、刺されてもほとんど反応しなくなるといいます。
そう言われてみれば、おじいちゃんやおばあちゃんが、蚊に刺されてかゆくて困っているというのは、あまり見たことがないような気がします。
逆に、赤ちゃんや小さい子供が蚊に刺された場合には、アレルギー反応が強く出ることもあって、大きく腫れあがることもあります。
蚊刺過敏症(蚊アレルギー)
蚊に刺されたときのアレルギー反応は、個人差が大きいですが、ひどく腫れて熱が出たり、リンパが腫れるなどの激しい症状が現れることがあるといいます。
蚊に刺されて激しい症状が出る場合は、「蚊刺過敏症(蚊アレルギー)」かもしれません。
「一般的なアレルギー」と「蚊アレルギー」との違いは、「症状の強さ」にあるといわれていて、「一般的なアレルギー」なら「赤み」「腫れ」「かゆみ」くらいまでですが、「蚊アレルギーの場合」は「ひどい腫れ」や「全身症状」が現れるといわれます。
「蚊アレルギー」は、「EBウイルス」の感染が原因で起こるといわれていますが、日本では成人するまでに約9割の人がこのウイルスに感染するとされています。
しかし、「蚊アレルギー」は、EBウイルスに感染した人の中でも、ごく一部の人にだけ起こる、稀な病気だともいわれています。
蚊に刺されるたびに、高熱が出るというようなことがなければ、過度に心配する必要はないとされますが、気になる場合は、専門の医療機関で検査をしてもらうといいかもしれません。
蚊に刺された時の対処法
蚊に限らず、虫に刺された時には、まずは、刺された部分を洗い流して清潔にしてから冷やして、できるだけ掻かないようにして、炎症を広げないようにするというのが基本です。
「蚊に刺されたときには、塩を塗るのが良い」と言われたりもしますが、塩を塗るのは控えた方が良さそうです。
「塩の浸透圧で蚊の唾液を排出させる」というのがその理由のようですが、引っ掻いた後に塩を塗りつけると、強い痛みを伴って、逆に炎症を悪化させてしまう恐れもあります。
蚊に刺された時には、塩は使わない方が無難といえそうです。
薬を塗る
蚊に刺されたときに使われる塗り薬は、かゆみを抑えるための「抗ヒスタミン剤」を配合したものと、炎症を抑えるための「ステロイド剤」を配合したものが代表的です。
「抗ヒスタミン剤」は、ヒスタミンという体内物質の活動を抑えることで、かゆみを抑えてくれます。
即時型で症状が軽い場合には、まずは、抗ヒスタミン剤が配合された市販薬を使って様子をみるのがいいかもしれません。
しかし、外用の抗ヒスタミン製剤は、かゆみを軽減させることはできますが、かゆみの根本的な原因になっている炎症を抑えるという作用はありません。
炎症を抑えるには「ステロイド剤」ですが、子供にステロイド剤を使う場合には、年齢と症状を伝えて、薬剤師に相談すると安心です。
虫さされの薬として有名な「ムヒ」は、シリーズの種類によって効果が様々です。
・ムヒS:主にかゆみを抑える効果(最も一般的)
・ムヒアルファSⅡ:炎症とかゆみを抑える効果
・液体ムヒS2a:炎症とかゆみを抑える効果
・ムヒ・ベビーb:子供用
・液体ムヒベビー:子供用
患部を冷やす
蚊に刺されてしばらくすると腫れてかゆくなるのは、蚊の唾液に対して、皮膚がアレルギー反応を起こしているからだとされます。
これを抑えるためには、まずは患部を冷やしてみます。
水を流したり、保冷材をタオルにまいたりして、患部をとにかく冷やしてみます。
冷やすことで、神経の活動が抑えられて、過剰に反応することを防ぐことができるといわれます。
患部を温める
冷やすこととは真逆ですが、温めると、違った理由で症状を抑えることができるといわれます。
アレルギー反応の原因になっている、蚊の唾液に含まれているたんぱく質は、熱に弱いため、温めるとかゆみが軽減されるのだといいます。
また、温めることで血行が良くなって、分泌されたヒスタミンの排泄が進むので、かゆみが抑えられるともいわれます。
40~50℃くらいで温めると良いといわれているので、少し熱めの「蒸しタオル」などを患部にあてるといいかもしれません。
ただし、赤く腫れているときや熱を持っている「炎症の急性期」の間は、炎症がひどくなるので、温めるのはNG。
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温めるのは、時間が経って、赤みがややくすんで、熱が引いてきてからにします。
絆創膏を貼る
患部を掻いてしまうと、かゆみが増すだけでなく、搔き傷を作ることにもなるので、患部を掻くのは、できるだけ避けるようにします。
ガーゼ付きの絆創膏などを貼って、患部を保護すれば、直接掻きむしることを防止できます。
また、患部と衣類などがこすれると、かゆみが誘発されるので、患部を保護することは、搔き傷の防止だけではなく、かゆみの予防や軽減にも効果があるとされています。
蚊に刺されないために
蚊は、「高い体温」「汗に含まれる乳酸と水分」「二酸化炭素」「皮脂」を好んで寄ってくるといわれています。
「汗かき」で「体温が高い」人が、蚊が好む人ということになります。
夏の暑い時期に、汗をかきながら、屋外で美味しいビールを飲みながらバーベキューを楽しんでいる人は、蚊にとっては、これ以上ない絶好の標的といえます。
ビールを飲むと、呼気に二酸化炭素が増えるといわれているので、ビールを飲んでいる人の近くにいる人にも、蚊が寄ってきやすくなるといわれます。
屋外にいるときだけではなく、家の中にいるときにも、蚊は、人を刺しにきます。
どんなに気をつけていても、ちょっとドアや窓を開けると、蚊はすぐに家の中に侵入してきます。
蚊に刺されないようにするためには、どうすればいいのでしょう。
虫除けスプレー・蚊取り線香
最も効果があるのが、「虫除けスプレー」や「蚊取り線香」などを使って、蚊を寄せ付けないようにすることです。
とにかく、蚊が嫌がる状況をつくりだすことが一番です。
レモンの香り(柑橘系の香り)
蚊は、「強い柑橘系の香り」には、あまり近寄ってこないといわれています。
柑橘系の香りの代表格「レモンの香り」を上手く使いましょう。
蚊が多くなる時期には、芳香剤やアロマオイルなどを、レモンの香りに変えるのもいいかもしれません。
汗をこまめに拭き取る
蚊は、人間の「汗」を敏感に感じ取って近づいてきます。
かいた汗をこまめに拭き取るだけでも、蚊が近寄ってくるのを抑えることができるといわれます。
白っぽい服を着る
蚊にも「好きな色」と「嫌いな色」(正確に言うと「認知しやすい色」と「認知しにくい色」)があるといわれています。
好きな順(認識しやすい順)に「黒>赤>青>緑>黄>白」といわれます。
「黒」が最も好きな色(認知しやすい色)で、「白」が最も嫌いな色(認知しにくい色)です。
黒い色には、蚊がどんどん寄ってきますが、白い色は、認知されないので、あまり寄ってこないといわれます。
「白色」や「黄色」などの服を着ることで、ある程度、蚊が寄ってくるのを減らすことができそうです。
また、長袖長ズボンを着用するなどして、「肌の露出を少なくする」ことも、蚊の対策には効果的です。
まとめ
蚊が多くなってくる時期には、できるだけ蚊が近寄ってこれないような環境をつくって、蚊に刺されないようにしたいです。
それでも、蚊に刺されてしまったら、できるだけ掻かないようにして、炎症を広げないようにするというのが基本です。
蚊に刺され時の「かゆみ」には、やはり「薬を塗る」のが、一番効果があるようです。