「だるまの目入れ」の意味とやり方/左右どちらから入れる?

だるまの目入れ

縁起物の「だるま」は、最初は目が白いままです。
 
選挙に当選した時などに、候補者が「だるま」に目を入れるシーンなどをテレビで見かけることもありますが、「だるま」は、目を書き入れることで、開眼して命が吹き込まれるとされています。
 
「だるま」の目入れの意味とやり方、目入れの時期(タイミング)はどうなっているのでしょう。
 
また、左右どちらの目から目入れをすればよいのでしょう。

だるま

「だるま」の由来

「だるま」は、仏教の禅宗の開祖・達磨大使(だるまたいし)の姿を模した、縁起物の置物です。
 
達磨大使は、修行のために壁に向かって9年間座禅を続けた結果、手足が腐ってしまったとされていますが、その手足のない達磨大師の姿を模して作られた置物が「だるま」だとされています。
 
日本には、古くから「起き上がり小法師(こぼし)」と呼ばれる、底に重りがついていて倒しても起き上がる縁起物の置物がありましたが、この「起き上がり小法師」と「だるま」が融合していったといわれています。
 
何度倒しても起き上がる「だるま」には「七転び八起き」の意味合いがあり、「無病息災」「家内安全」などを祈願する縁起物として広まっていきました。

「だるま」の色が赤い理由

「だるま」の色といえば「赤色」が思い浮かびますが、この赤色にも意味があるといいます。
 
古くから火や血の色の「赤」には「魔除け」の効果があると信じられていて、災いや病などは、赤色のものを身に付けることで防ぐことができる考えられていました。
 
達磨大師が修行中に着ていた服が赤かったことから、「赤いだるま」が多いともいわれています。
 
「だるま」は、様々な「災い」や「病」を防ぐ「魔除けの置物」として使われるので、赤色が多いといわれています。

「だるま」の色の意味

「だるま」は、群馬県での生産が圧倒的に多く、全生産量のうちの約8割を占めるといわれています。
群馬県高崎市で生産されている高崎だるまの色は、赤色を含めて15種類の色がありますが、それぞれの色の意味を紹介します。
 
赤:家内安全、開運吉祥
青:学業向上、才能向上
黄:金運・幸運UP、夢の現実
緑:身体健勝、才能開花
紫:健康長寿、品格向上
金:金運向上、仕事運UP
銀:自己実現、安産吉祥
黒:商売繁盛、事業繁栄
白:受験合格、目標達成
黄緑:無病息災、精神安定
桃色:恋愛成就、愛情運UP
オレンジ:子宝成就、災難除け
ローズピンク:良縁成就、結婚成就
スカイブルー:潜在能力開花、心の安定
ペールブルー:災難災害除け、厄除け

「だるまの目入れ」のやり方

「だるまの目入れ」の意味と由来

「だるまの目入れ」は、江戸時代に「疱瘡(ほうそう)」という病気が流行したのをきっかけにして始まったといわれています。
 
疱瘡は、天然痘ウイルスを病原体とする感染症で、感染力が非常に強くて致死率も高いため、「不治の病」「悪魔の病気」として恐れられていました。
 
江戸時代には、疱瘡の原因は「疱瘡神」によるものだと信じられていましたが、疱瘡神は「赤い色を嫌う」という言い伝えがありました。
 
このため、疱瘡にかかると、赤い着物を着せたり、おもちゃを赤く塗ったりしていましたが、縁起物としての「だるま」「疱瘡神を退ける魔除け」として使われていたといいます。
 
疱瘡にかかると視力を失うことも多かったので、目が綺麗に描かれているだるまは人気がありすぐに売れてしまいましたが、目の描き方が雑なものは売れ残ってしまいました。
 
そこで、だるまには目を入れず、「買った人に目を描かせる」ようになったといいます。
 
次第に、だるまは仏像と同じように拝まれる対象になっていき、目を入れることは「開眼(かいがん)」と呼ばれるようになります。
 
時間が経つにつれ、「願いごとをするときに片目を入れ、願いが叶ったときにもう一方の目を入れる」という儀式が行われるようになっていったといわれています。

「だるまの目入れ」の「時期」と「左右の順番」

「だるまに目を入れる時期」がいつかといえば、それは「願いごとをするとき」といえます。
 
願いごとをするときには、まず最初に「左目(向かって右)」から目入れをする(開眼する)というのが一般的です
 
もう一方の「右目(向かって左)」には、「願いが叶ったとき」に目入れをして両目を完成(満願)させます。
 
「だるまの目入れの左右の順番」は、「左目→右目」が一般的といわれます。
 
「合格祈願」や「恋愛成就」などの場合は、それぞれの「願うタイミング」でだるまの「左目に目入れ」をします。
 
その理由には諸説がありますが、「陰陽五行説(いんようごぎょうせつ)」では、「だるま」の赤い色は「火」を表し、火は南の方角を表しているとされていて、物は東に生まれて西に無くなると考えられていたことから、だるまを南に向けた時に東になる左目から目入れをするといわれています。
 
他にも、太陽が東から西に動くことから、「だるま」を南に向けた時に東になる左目から目入れをするという説もあります。
 
ただ、左目から入れるということが決まっているわけではないようです。
 
例えば、「選挙」のときなどは、「立候補をしたときに右目に目入れ」をして、「当選したときに左目に目入れ」をするということもよくあるようです。

1年ごとの「だるまの目入れ」

「商売繁盛」「家内安全」「健康祈願」などは、毎年正月に願掛けをして「左目」に目入れをして、年末に1年間の感謝の意を込めて「右目」に目入れをし、「両目を完成させてお返しする」というパターンも多いようです。
 
この場合は、初詣に行った「元日」に目入れをするのもいいですが、「大安」の日を選んで目入れをするのが良いとされています。
 
大安のほか、「友引」「先勝」も「だるまの目入れ」には適しているとされます。
 
「両目を完成させる日」は、「願いが叶った日」または年末の「大晦日」とするのが一般的のようです。
 
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「目入れをしただるま」は、願いが叶っても叶わなかっても、ゴミとして処分するのではなく、願掛けをしている間見守っていただいたという感謝の気持ちを込めて、できれば「神社の焚き上げ」などで供養をするようにしたいですね。