命にかかわるような場面に遭遇したり、緊急事態といわれるような状況になると、人は、「普段では考えられないような力」を発揮することがあるといわれます。
いわゆる「火事場の馬鹿力」と呼ばれるものです。
重い金庫を持ち上げたり、自分の体重よりもはるかに重い人を背負って逃げ出したり。
そんなことは、ドラマの中だけのことと思うかもしれませんが、「火事場の馬鹿力」を出すことができるということは、科学的にも、立証されているといわれています。
筋肉は、普段100%の力を発揮していない
人は普段、筋肉が持っている能力の「20~30%程度」しか使っていないといわれています。
筋肉が、100%の力を出し切った状態で活動し続けていると、「筋肉」や「骨」などに、過大な負担がかかってしまい、「筋肉の断裂」や「骨折」などを起こす恐れがあるといわれます。
このため、脳から制御命令が出て、筋肉や骨に負担がかからないように、発揮するパワーに制限をかけているといわれています。
成人男性は、片手で250㎏を持ち上げることができる
緊急事態などのような、突発的な状況に遭遇すると、この制御が解除されて、普段使っていない筋肉まで働きだして、自分でも信じられないような「火事場の馬鹿力」を発揮するといいます。
人の筋肉は、脳からの制御を受けている状態では、筋肉1㎠あたりで持ち上げられる重さは、「最大で2㎏程度」だといわれています。
しかし、制御が解除されると、「最大で10㎏程度」の物を、持ち上げることができるようになるといわれます。
計算上では、平均的な成人男性なら、「片手で250㎏」を持ち上げられることになります。
両手でなら、「グランドピアノ」を持ち上げても、おかしくないというわけです。
まさに、「火事場の馬鹿力」といえます。
「大きな声」「イメージ」が効果的
脳からの制御を意識的に外すには、大きな声を出したり、自分は出来るんだとイメージするのが、効果的だといわれています。
スポーツ選手が、よく試合前に「イメージトレーニング」をして、試合本番では、「大きな声」を出したりするのをよく見かけます。
オリンピックなどの大舞台で、それまでの実力以上の力を発揮する選手は、うまく「火事場の馬鹿力」を引き出しているのかもしれません。