コンビニやファーストフード店などで、レジの店員さんが、1万円札で支払いをうけると、大きな声で「1万円入ります」と言うのを、よく耳にします。
すっかりお馴染みの光景ともいえますが、「1万円入ります」と、大きな声で言うことに、どんな意味があるのでしょう。
それには、4つの理由があるといわれています。
つり銭の渡し間違いの防止
一つめの理由は、他の店員に、高額紙幣を受け取ったことを知らせることで、「つり銭の渡し間違いを防ぐ」ということです。
一日に、何百人というお客さんがあると、どうしても、つり銭の過不足が生じてしまいます。
特に、1万円や5千円の高額紙幣の場合は、1回のミスが、多額の損害につながってしまうこともあります。
そこで、大きな声を出すことで、自分自身への注意を促し、つり銭の渡し間違いを、防ぐようにしているのだといいます。
高額紙幣の抜き取り防止
二つめの理由は、「店員による、高額紙幣の抜き取りを防ぐ」ということです。
レジは、毎日集計されますが、その結果は、必ずといっていいほど、誤差がでるといわれます。
こういう状態が、毎日続いていると、感覚も、次第にマヒしていき、お札を1枚くらい抜き取ってもわからないだろう、と考える店員も、出てきてしまいます。
そこで、高額紙幣を受け取った時には、大きな声を出すことで、店員が、紙幣を抜き取るという「出来心」を防ぐようにしているのだといいます。
客のつり銭詐欺の防止
三つめの理由は、大きな声を出すことで、「客が、つり銭詐欺をするのを防ぐ」効果が、期待されるということです。
客の中には、「さっき1万円渡したでしょう」といって、多額のつり銭を要求する「詐欺」をはたらくような者もいます。
高額紙幣を受け取るごとに、客にも聞こえるように、大きな声を出すことで、こういった「つり銭詐欺」をしにくくする環境をつくるのに、役立てているのだといいます。
店内を活気づける
四つめの理由は、たまに、店員が大きな声を出すことで、「店内を活気づける」効果が期待されるということです。
まとめ
「1万円入ります」と大きな声を出す習慣は、1970年代に、日本に進出してきた、アメリカのファーストフード店が始めたという説が有力なようです。
アメリカでは、普段の買い物に、高額紙幣の100ドル紙幣が、使われることは少ないといわれますが、日本では、1万円札が使われることも、珍しいことではありません。
そこで、「高額紙幣対策」として、「1万円入ります」という声かけが、マニュアル化されていったといわれています。
今では、聞き慣れた「1万円入ります」は、いろいろな効果が期待できる、すぐれものの「声かけ」といえそうです。