「茶柱が立つと、縁起がいい」といわれる理由は?

「茶柱が立つと、縁起がいい」「茶柱が立つと、幸運がやってくる」などといわれることがあります。

「茶柱が立つ」というのは珍しいことなので、なんとなく、良いことが起こりそうな気もしますが、実際に、茶柱が立ったからといって、良いことが起こるということは、まずありません。

どうして「茶柱が立つと、縁起がいい」といわれるようになったのでしょう。

お茶の宣伝

「茶柱が立つと、縁起がいい」というのは、昔のお茶商人の「宣伝文句」だったという説があります。

「一番茶」は新芽の先だけを摘むので、茎の部分はほとんど含まれません。

しかし、「二番茶」以降になると、成長した葉を摘むことになるので、茎が多く混ざってしまいます。

そんなこともあり、「一番茶」はよく売れますが、「二番茶」以降は売れ残ることが多かったといわれます。

そこで、一番茶には、ほとんど入っていないけれども、二番茶以降には多く入っている「茶柱」が注目されました。

二番茶以降の「弱点」である「茶柱」を、前面に押し出して、「茶柱が立つと、縁起がいい」と宣伝したところ、それまでは、売れ行きの悪かった「茶柱が入っているお茶」が大ヒットして、よく売れるようになったといいます。

高級茶の「玉露」や「煎茶」には、そもそも茎はほとんど入っていませんが、入っていたとしても、ぬるいお湯でゆっくりと入れるので、そのうちにお湯に浸って沈んでしまうといわれます。

高級茶で茶柱が立つということは、まずないというわけです。

しかし、庶民的な「番茶」になると、もともと茎の部分が含まれている上に、熱いお湯でさっと入れるので、茶柱も立ちやすくなるといわれます。

縁起のいい「茶柱」を立てるためには、茎が多く含まれた「番茶」を使う必要があったというわけです。

「茶柱が立つと、縁起がいい」という宣伝は、売れ残りが多かった「二番茶以降のお茶」を売るための、見事なマーケティング戦略だったといえそうです。

他にも、茶柱の柱を家の大黒柱に見立てて「家の中心を成す柱が立つ=縁起が良い」とされた、という説もあるようです。