大根を細長く切ることを「千六本(せんろっぽん)」といいます。
確かに、本数を数えればそれなりの数にはなりそうですが、どうして「千六本」なのでしょう。
繊蘿蔔(せんろうぽ)
昔、中国では「大根」のことを「蘿蔔(ろふ)」といい、「細かく切ること」は「繊(せん)」といわれていたといいます。
このため、「繊蘿蔔(せんろふ)」というと、「細かく切った大根」という意味になります。
「繊蘿蔔」は唐音では「せんろうぽ」になるといいますが、これが日本に伝わってきて、「せんろうぽ」という音に「千六本」という漢字があてられたといわれています。
「千六本」とは「大根を細く切る」ということで、「1,006本の細い大根」という意味ではありません。
「千六本」と「千切り」の違い
「千六本」も「千切り」も、どちらも「細く切る」ということで、ほぼ同じ意味ですが、厳密に言うと、違いがあるといわれます。
一般的に、
「千六本」は、「2mm程度」の太さ(マッチ棒くらいの太さ)に切ることをいいますが、
「千切り」は、さらに細い「1mm程度」に切ることをいうとされています。
「千六本」よりも「千切り」の方が、細く切られているというわけです。
「千切り」は、「線切り」「繊切り」とも書き表されるとおり、かなり細く切る切り方といえます。
本来「千六本」は、大根を切るときに使われる言葉でしたが、今では、野菜全般を切るときに使われるようになっているといわれます。
「縦けん」と「横けん」
料理の材料を細く切るとき、
材料の繊維方向に細く切ったものは「縦けん」
繊維方向に直角に切ったものは「横けん」
と呼ばれます。
サラダの場合は、繊維を切ってしまう「横けん」が適しているといわれますが、刺身のツマなどは、盛り付けがうまくできるので、繊維が残る「縦けん」が適しているといわれています。
また、野菜の香りを引き立たせたい場合には、「横けん」で切るのがよいとされています。
「千六本」「千切り」「縦けん」「横けん」、料理によって、上手に「切り方」を使い分けたいですね。