「世界保健機関(WHO)」「世界貿易機関(WTO)」「国際労働機関(ILO)」「赤十字国際委員会」「世界知的所有権機関」、どれも、スイスのジュネーブに、本部を置いています。
オリンピックを主催する「国際オリンピック委員会(IOC)」の本部は「ローザンヌ」に、サッカーワールドカップを主催する「国際サッカー連盟(FIFA)」の本部は「チューリッヒ」にありますが、いずれも、スイスの都市です。
多くの国際的な機関が、スイスに本部を置いているのには、何か理由があるのでしょうか。
スイスは「永世中立国」
国際的な機関が、スイスに本部を置いているのは、スイスが、「永世中立国」であることが、大きな理由になっているといわれています。
国際的な機関は、様々な国々の政治的思惑に、左右されることが懸念されます。
その点、スイスは、永世中立国なので、スイスに本部を置いて会議を行えば、どこの国にとっても、「ホーム」だったり「アウェイ」だったりすることは、なくなるというわけです。
また、言葉の問題もあるといわれます。
スイス憲法では、「ドイツ語」「フランス語」「イタリア語」「ロマンシュ語」を、「公用語」として定めていますが、外交には不可欠な、「英語」教育も盛んに行われています。
言葉の面でも、「ホーム」「アウェイ」がない「中立国」だというわけです。
「ジュネーブ」は、外交の中核都市
スイスの中でも、国際機関の本部は、「ジュネーブ」に集中しています。
スイスは、もともと四つの地域が集まってできた国で、どこか一つの地域だけが、突出しないように、それぞれの役割を、明確にしているのだといいます。
首都の「ベルン」は「国内政治」、
「チューリッヒ」は「経済」、
「バーゼル」は「文化」、
「ジュネーブ」は「外交」
の中核都市となっています。
ジュネーブが「外交」の中核都市という位置づけのため、多くの国際機関の本部が、ジュネーブに置かれているというわけです。
「国際サッカー連盟(FIFA)」が、チューリッヒにあるのは、ワールドカップが、多分に「経済的」なイベントだからということが、理由の一つになっているのかもしれません‥。
また、スイスは、「国連」には加盟していますが、「EU」には加盟していません。
このような、中立を貫く姿勢も、国際機関が多く集まる要因の一つになっているといえそうです。