「子持ち昆布」の「子」は何の卵?

昆布の上にたくさんの卵がのっている「子持ち昆布」。

「昆布のうまみ」と「卵の食感」が絶妙にマッチしているということもあり、卵が「昆布の子」だと勘違いしている人もいるようです。

子供の正体は「カズノコ」

子持ち昆布の「子」の正体は、ニシンの卵の「カズノコ」です。

ニシンは、卵が「魚の餌になったり」「岩に打ち付けられたり」などしないように、「海藻の葉」に卵を産みつけるという習性があるといわれています。

この、ニシンの卵の「カズノコ」が産み付けられた昆布を「塩漬け」にして、製品化したものが「子持ち昆布」というわけです。

「昆布」と「カズノコ」を、人工的にくっつけているというわけではありません。

貴重な「天然の子持ち昆布」

ニシンは、基本的には「浅瀬で産卵する」といわれていますが、浅瀬に昆布が群生しているということは少ないので、「天然の子持ち昆布」は、とても貴重なものとされています。

このため、ニシンの産卵場所に昆布を仕掛けておいて、昆布に卵をつけるという方法がとられることもあります。

「人為的」ですが「人工的」ではない、「子持ち昆布」です。

カズノコではない「子持ち昆布」

本来の「子持ち昆布」の子は「カズノコ」ですが、カズノコは、高価なものなので、カズノコの代わりに「カペリン」という魚の卵を、カズノコのように着色し、昆布に、人工的に卵をつけて「子持ち昆布」として販売されていることもあります。

「子持ち昆布」というネーミングだとしても、比較的安価な「子持ち昆布」の場合は、昆布の子が、カズノコではないこともあるというわけです。

ニンシの子が、どうして「カズノコ」?

カズノコは「ニシンの子」なのに、どうして「カズノコ」と呼ばれるのか、不思議に感じたことはないでしょうか。

「ニシンの子」なら「ニシンコ」と呼ぶ方が、ふさわしいような気もしますが‥。

ニシン=カドイワシ

ニシンは、イワシとよく似ていて、特に稚魚の頃は、イワシと見分けがつきにくいため、ニシンは「カドイワシ」「カド」などと呼ばれていたといいます。

このため、「カド」の子という意味で「カドノコ」と呼ばれるようになり、やがて「カズノコ」と呼ばれるようになったといわれています。

ちなみに、サケの卵も「サケコ」とは呼ばずに「イクラ」と呼ばれますが、これは、「魚の卵」「小さく粒々のもの」という意味のロシア語「Икра(ikra)」が、語源になっているといわれています。