「ワインを保存するときには、涼しい場所で横に寝かせる」といわれます。
このことは、一般的によく知られていることですが、その理由は何なのでしょうか。
ワインの保存
横に寝かせる
ワインボトルの栓には、たいていコルクが使われています。
ワインを横に寝かせて保存した方がいいというのは、このコルクを湿らせておくためということが、大きな理由です。
コルクは、乾燥すると空気を通しやすくなり、また、乾燥によってコルクが縮むと、ボトルとコルクの間に隙間ができてしまいます。
コルクが乾燥することで、空気(酸素)がボトル内に入ってくると、ワインの成分と酸素とが化学反応を起こして、ワインの品質を低下(酸化)させてしまいます。
ワインを横に寝かせておくのは、コルクを湿らせておくことで、空気が入ってくるのを防ぐためというわけです。
また、コルクが乾いていると、栓を抜くときに崩れやすくなるので、それを防止することにもつながります。
ただ、これは、ワインを熟成させるために長期間保存する場合のことなので、比較的早く飲むワインの場合には、必ずしもボトルを寝かせておく必要はないかもしれません。
最近増えてきている、スクリューキャップやプラスチック素材を使った栓の場合は、栓を湿らせなくても密閉性が高く保たれるので、ボトルを寝かせなくても大丈夫です。
涼しい場所(温度)
ワインの品質を低下させる主な原因に、ワインボトルの中の「酸素」があります。
ワインの成分が酸素に触れると、化学反応を起こして品質を低下(酸化)させてしまいます。
この化学反応は、温度が高くなると、速く進んで行くといわれます。
ワインを保存するのは、温度が10~15℃程度の涼しい場所が最適とされています。
また、温度の変化が大きいと変質しやすくなるので、温度変化の少ない場所の方が、ワインの保存にはより適しているといえます。
その他の条件
湿度
湿度が高すぎると、ラベル部分にカビが発生しやすくなったり、逆に湿度が低すぎると、コルクが乾燥して酸素が入りやすくなったりします。
ワインを保存する湿度は、60~70%程度が最適とされています。
光
直射日光や蛍光灯などの光は、ワインが化学変化を起こして、劣化を速める原因になるので、ワインは、光があたらない暗い場所に保存するのがよいとされています。
振動
振動も、化学反応のスピードを速めて、劣化を速める原因となるので、できるだけ動かさないのが好ましいとされています。
におい
ワインの近くに、においの強いものがあると、そのにおいがワインに移ってしまって、ワイン独特の香りが失われてしまうことがあるので注意が必要です。
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ワインは、一旦開栓したら、空気に触れて酸化が進み、独特の風味がどんどん失われていくので、開栓したその日のうちに飲みきるというのが原則です。
飲み切れなかった場合には、ボトルストッパーで再栓して冷蔵庫で保存すれば、1週間程度なら、ある程度おいしく飲めるといわれています。