ダイエットをして、一旦は体重が減ったけど、すぐにリバウンドしてしまうということも少なくありません。
実際、ダイエットした人のほとんどが、リバウンドするといわれています。
「ダイエットをして体重が減った人のうち、3人に2人が、5年後にはダイエット前よりも体重が増えていた。」という、アメリカの調査結果もあります。
6割以上の人が、元の体重に戻るのではなく、元の体重よりも増えてしまったというのです。
日本で行われた調査でも、「目標体重まで減量できた人のうち、10人に9人が、リバウンドで体重が戻ってしまった。」という結果になっています。
間違ったダイエット法や無理なダイエットをして、身体に負担がかかったような場合には、ちょっと気を抜くと、短期間でリバウンドすることが多いようです。
無理をせず、身体に負担をかけないようにダイエットしたとしても、ダイエット後に、どのような生活スタイルで過ごすかによって、また体重が増えてしまうこともあります。
リバウンドを軽く考えない
「ダイエットした後にリバウンドしたとしても、またダイエットすれば痩せられるから大丈夫」と軽く考えない方がいいです。
リバウンドすると、体重が元に戻るだけではなく、体脂肪率が、以前よりも増えてしまっている場合がほとんどだからです。
同じ体重でも、身体の中身が変化していて、筋肉量が減って、脂肪が増えてしまっているのです。
体重が、元に戻っただけのように思うかもしれませんが、身体の中身は、ダイエット前よりも悪い状態になっているというわけです。
ダイエットして減らした体重を、その後もキープし続けることができてはじめて、ダイエットに成功したといえます。
リバウンドで増える体脂肪
ダイエットでは、脂肪が落ちるだけではありません。
脂肪よりも、むしろ筋肉の方が落ちやすいといってもいいかもしれません。
ダイエット中は、余程、食事と運動をバランス良くしないと、脂肪だけがキレイに落ちるということは少ないといわれます。
筋肉も、落ちてしまうというわけです。
例えば、ダイエットで体重が10kg減った時、仮に、筋肉と脂肪が同じ割合で減ったとすれば、筋肉が5kg、脂肪が5kg減ったことになります。
この人が、リバウンドする際には、筋力がアップするというようなことはほとんどないので、脂肪だけが増えることになります。
体重が10kg増えて以前と同じになったとしても、その10kgの全部が脂肪で増えているというわけです。
ダイエット前と体重は同じでも、筋肉が5kg減って、脂肪が5kg増えてしまっているのです。
リバウンドを繰り返すことで、筋肉量が減って体脂肪が増えていき、どんどん痩せにくい身体になっていきます。
いわゆる「隠れ肥満」の状態になってしまいます。
筋肉量が減ると‥
筋肉量が減れば、疲れやすくなるといわれます。
疲れて動くのが億劫になるので、ますます活動量が減ってエネルギーの消費が減り、更に太りやすくなるという悪循環に陥ってしまいます。
また、筋肉量が減ることで、基礎代謝が落ちてしまいます。
筋肉は、身体の中でも、エネルギーを多く消費する部位なので、筋肉量が減ると、毎日のエネルギー消費量が減ってしまうことになります。
ダイエットでは、できるだけ筋肉量を減らさないようにして、脂肪だけを減らすようにすることが重要とされます。
筋肉が減って脂肪が増える「リバウンド」は、ダイエットにとっての大敵といえます。
短期間でのリバウンドとホメオスタシス
短期的での急激なリバウンドには、「ホメオスタシス」が関係しているといわれます。
「ホメオスタシス」とは、人間の身体に備わっている、生体恒常性の機能のことです。
ホメオスタシスは、身体の状態を一定に保とうとする機能で、人間が生命を維持していく上で、とても重要な機能ですが、身体に危険を感じると、この機能が強く働くといわれています。
人間の体温は37℃前後に保たれていますが、体温が上がり過ぎると汗をかいて体温を下げ、寒い時には身体をブルブルと震わせて熱を発生させようとします。
体温が一定に保たれているのは、ホメオスタシスのお陰というわけです。
このホメオスタシスが、ダイエットにも影響を及ぼしているといわれます。
ダイエットで体重を減らそうとしても、身体が、現在の体重を維持するように働いてしまうのです。
食事の極端な減少は、身体にとっての危険
ダイエットの際に、食事を極端に少なくすると、身体は危険を感じます。
少ない食事が続くと、「もしかしたら、飢餓状態なのかもしれない」と身体が判断してしまい、身体全体を省エネモードにしてしまうといわれます。
体温を下げたり、心拍数を減らしたりして、生命維持に必要なエネルギーの消費を、最小限に抑えようとします。
こうなると、食事量を減らして頑張ってダイエットしていても、なかなか体重が減らなくなってしまいます。
ホメオスタシスが強く働いている間は、痩せにくい状態になっているというわけです。
エネルギー吸収率が上がる
通常時は、食べた物のすべてのエネルギーが、身体に吸収されているというわけではなく、不要分として身体には吸収されずに、排出されるエネルギーもあります。
しかし、ダイエット時にホメオスタシスが働くと、身体は、普段よりも効率的にエネルギーを吸収するようになるといわれます。
少ない食事から、できるだけ多くのエネルギーを吸収しようとするのです。
食欲が増す
ホメオスタシスが働くと、食欲が増します。
身体は、エネルギーが入ってこないことで危険を感じているので、もっと食べさせようとして「食欲」という信号を出すからです。
ダイエット中にホメオスタシスが強く働くと、身体が省エネモードになって消費カロリーが少なくなり、普段よりもお腹が空きやすくなります。
さらには、食べたもののエネルギーを、普段よりも効率的に吸収して、それを脂肪として蓄えてしまいます。
このため、ダイエット後に以前の食事に戻すと、一気に体重が増えてしまうというわけです。
これらが「リバウンド」の正体です。
リバウンドしないようにするためには、「ホメオスタシスが働かないようにダイエットする」ということが重要です。
リバウンドしない痩せ方
ダイエット中に、身体にホメオスタシスが働くと、消費エネルギーを減らしたり、空腹感を感じさせたりして、ダイエットの邪魔をしますが、これは、身体が危険を感じているからです。
身体に危険を感じさせないように、無理のないダイエットを続けて行けば、ダイエットが終わった後も、急激にリバウンドすることは少なくなります。
リバウンドしないように痩せるためのポイントは、次のとおりです。
1ヵ月の減量は体重の5%以内
ホメオスタシスが強く働くのは、1ヵ月で5%以上の体重が減ったときといわれています。
体重60kgの5%は3kg、体重50kgの5%は2.5kgです。
この「体重の5%」を目安にして、あまり急激に体重を減らさないようにダイエットするようにします。
極端な食事制限をしない
極端に食事を減らすと、身体は「飢餓の状態になった」と判断してしまいます。
食事を減らす目安は、摂取カロリーが、基礎代謝以下にならないようにすることです。
基礎代謝は、心臓を動かしたり、体温を維持したりするのに必要なエネルギーで、生きていくために必要なエネルギーです。
基礎代謝には、個人差がありますが、男性は1,700kcal、女性は1,300kcal程度が目安になるとされています。
摂取エネルギーが、このカロリー以下にならないように気をつけながら、食事を減らすようにするといいです。
栄養バランスが偏らないように
摂取カロリーに問題がなくても、栄養バランスが偏ってしまうのは良くありません。
ダイエット時の三大栄養素のバランスは、
糖質(炭水化物):タンパク質:脂質 = 6:2:2
が理想的とされています。
三大栄養素の他にも、ビタミン、ミネラル、食物繊維などもしっかり摂りながら、ダイエットするようにしたいです。
規則正しい生活習慣
毎日を健康的に過ごす習慣がつけば、ダイエット後も、その生活習慣を続けていくことで、かなりリバウンドしにくくなります。
朝起きたら軽く体を動かしてから朝食を食べて、日中には、軽い運動を含めて活発に活動し、夕食はあまり遅い時間に食べないようにして、間食はできるだけ食べずに、夜更かしせずにゆっくり休む。
このような規則正しい生活をすることが、停滞期を長引かせないようにしたり、リバウンドしにくくしたりすることにつながるといえます。
肥満につながる行動パターン
ダイエットをした後に、以前と同じような生活スタイルに戻したら、やがて体重も元に戻ってしまいます。
無理なダイエットの反動でリバウンドすることはよくあることですが、リバウンドの原因はそれだけではありません。
「食後には必ず甘いものを食べる」「仕事が終わったらお酒を飲んでから家に帰る」「食べ物の新商品は必ずチェックする」「スーパーの惣菜を利用することが多い」「休日は外出せずに家でゴロゴロしている」など、人にはいろいろな行動パターンがあります。
毎日の生活の何気ない行動の中に、肥満につながる行動パターンがあることが多いです。
太る原因は、次の4つの項目に集約されます。
・カロリーの過剰摂取(食べ過ぎ)
・カロリーの消費不足(運動不足)
・基礎代謝の低下
・自律神経の乱れ
これらの原因につながるような、生活習慣(行動パターン)を改めないと、ダイエットがうまくいったとしても、リバウンドの可能性が高くなってしまいます。
行動変容
これまでの行動パターンを意識的に変えることで、新しい行動パターンを根付かせることを「行動変容」といいます。
長年にわたって形成された行動パターンは、無意識のうちに行っていることも多いです。
「早食い」などは、無意識の習慣といえますが、無意識の習慣は、変えるのが意外に難しかったりします。
行動パターンの要因には「生活環境」や「好み」が関係していますが、「仕事の都合で外食が多い」「帰宅が遅くなるので食事が深夜になる」「濃い味が好き」「肉が好き」「野菜が嫌い」など、生活環境や好みは、変えるのが難しいことでもあります。
しかし、何か新しい習慣を加えることは、意外に簡単なことも多いです。
何か新しいことを始めて、その新しいことを習慣にしてしまえば、古い習慣がうち消されてしまいます。
悪い習慣を消していくには、何か新しいことを始めるということも大切です。
食事の最初に野菜を食べる
例えば、「大食い」の人がいたとします。
この人は、たくさん食べるだけあって、かなり太っていました。
痩せるために、食事の量を減らそうと思いますが、食欲を抑えることが難しくて、どうしてもたくさん食べてしまいます。
友人から、食事の最初に生野菜を食べると良いと聞き、食事の最初には、必ず大きめに切った野菜サラダを食べることにしました。
野菜が好きだったこともあり、サラダの量は結構多く食べるようになりましたが、全体としての食事量は減っていきました。
これは、大きめに切った野菜を最初に食べることによって、よく噛むようになり、満腹感を感じやすくなったために、全体としての食事量が減ったのです。
意識して大食いの習慣をやめることは難しかったのですが、食事の最初に野菜サラダを食べるということで、結果的に、大食いが解消されていったというわけです。
「良くない習慣をやめよう」と思ってやめるのはツライかもしれませんが、新しいことを始めることは期待感を持って楽しくできたりすることもあります。
今までの良くない習慣を打ち消すような、新しい習慣を見つけて始めてみるといいです。
太りにくい身体=基礎代謝が高い身体=リバウンドしにくい身体
「太りにくい身体」とは、一言でいえば「基礎代謝が高い身体」ということができます。
ダイエットして体重が減ると、ある程度基礎代謝が落ちるのは仕方がありませんが、できるだけ下げないようにすることが大切です。
基礎代謝を下げないということを意識しながらダイエットすることが、リバウンドしない痩せ方をするためには大事なことです。
基礎代謝と筋肉量と体温
基礎代謝は、心臓を動かしたり、呼吸をしたりするのに使われる、生きるために最低限必要なエネルギーです。
エネルギー消費といえば運動をイメージするかもしれませんが、運動で消費されるエネルギー量は全体の2割程度に過ぎず、全体のエネルギーの約6割が基礎代謝で占められているといわれます。
ダイエットでは、基礎代謝を高くすることが重要ですが、そのためには、筋肉量を増やすことが大事です。
筋肉は、多くのエネルギーを消費する部位で、基礎代謝全体の3~4割は筋肉で行われているといわれています。
また、体温の高低も基礎代謝に影響していて、体温が1℃変わると、基礎代謝は10~15%も変わるといわれています。
体温は、筋肉量が低下すると低くなる傾向にあるとされています。
「無理なダイエット」「栄養バランスが良くないダイエット」「運動しないダイエット」などは、筋肉量を減らして体温の低下も加速させてしまうので、十分に注意が必要です。
食事と運動
筋肉量を維持できるような食事をして、毎日適度の運動を続けることが、基礎代謝のアップには効果的です。
食事は、特にタンパク質の摂取に気を配りながら、栄養バランスを良く。
タンパク質の摂取量が減ると、筋肉量が減ってしまいます。
運動は、ウォーキングなどの有酸素運動だけではなく、レジスタンス運動(筋トレ)も併せて行うのが望ましいとされています。
きちんと食べて、よく動くことが、適正な筋肉量や体温を保って、基礎代謝をアップさせるのには、大事なことです。
まとめ
リバウンドしない痩せ方をするには、急激に体重を減らすのではなく、徐々に減らしていくことが肝心です。
また、エネルギーを多く消費する筋肉量をできるだけ減らさないようにして、脂肪だけを減らすようにすることも大切です。
そのためには、毎日適度の運動をして、栄養バランスのとれた食事をすることを心がけることが大事になります。