肉料理、魚料理、野菜料理など、どんな料理にも相性がいい大根おろしですが、大根をおろすとたくさんの汁も出てきます。
この大根おろしの汁は、使わずに捨ててしまうこともありますが、実は、大根おろしの汁には、体に有益なたくさんの栄養が含まれています。
大根おろしの汁を使わずに捨ててしまうのは、とてももったいないことです。
ちょっと工夫することで、大根おろしの汁に含まれている栄養を効果的に摂取することができるようになります。
大根おろしの汁に含まれる栄養
大根おろしには、ビタミン、ミネラル、酵素などの栄養素が豊富に含まれていますが、特に大根おろしの汁には、イソチオシアネートを始めとして、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、オキシターゼ、ミロシナーゼなどの酵素が豊富に含まれています。
大根おろしの酵素は、その多くが汁に含まれているともいわれています。
イソチオシアネート
イソチオシアネートは、アブラナ科の野菜に多く含まれていますが、野菜をすりおろした時に生ずる刺激の強い香味成分の素になっています。
大根をすりおろすとイソチオシアネートが発生して辛味が出ますが、これは、大根に含まれているグルコシノレートという物質と、それを分解する酵素のミロシナーゼが反応してイソチオシアネートができるためです。
大根自体はそんなに辛くなくても、大根おろしにすると辛くなるというのは、このイソチオシアネートが発生するためです。
イソチオシアネートは、大根をすりおろすことでできる成分なので、ただ大根を料理しただけでは摂取することができない栄養素だといわれています。
イソチオシアネートは熱に弱く、煮たり炒めたりと加熱調理することで、含有量が減少していくとされています。
また、イソチオシアネートは、時間の経過とともに減少していくので、効率的に摂取するためには、食べる直前に大根をすりおろすことが大切です。
イソチオシアネートの効能
イソチオシアネートには、次のような効能があるといわれています。
・発ガン抑制作用
・抗酸化作用
・殺菌作用
・炎症緩和作用
・解毒作用
アミラーゼ(ジアスターゼ)
アミラーゼは、デンプンを分解する酵素で、デンプンを分解して糖質に変える働きがあります。
胃酸をコントロールする働きもあるので、大根おろしといっしょに肉や魚などを食べれば、消化もスムーズになるといわれます。
また、アミラーゼは、胃腸薬などにも配合されている成分で、消化不良の症状緩和にもつながるので、食欲増進にも効果があるとされています。
プロテアーゼ
プロテアーゼは、タンパク質を分解する酵素です。
タンパク質は、そのままでは体内に吸収されないので、体内に摂り入れられるためには、タンパク質が分解される必要があります。
このタンパク質の分解に大きな役割を果たしているのが、大根おろしの汁に含まれているプロテアーゼです。
「若い頃は脂っこいものを食べても何ともなかったのに、最近は胃がもたれやすくなった」というような場合は、酵素が不足しているのかもしれません。
酵素は体内でも作られますが、その量は、年を重ねるごとに次第に少なくなっていくといわれています。
そんな時には、食事で酵素を摂ることがとても大切になります。
リパーゼ
リパーゼは、脂肪を分解する酵素です。
体に蓄積されている脂肪を、エネルギーに変えて代謝する働きが、この酵素にはあります。
ダイエットが気になる方にとって、大根おろしの汁に含まれるリパーゼは、強い味方になってくれそうです。
オキシターゼ
オキシターゼは、発ガン性物質を分解するとされている酵素ですが、タンパク質や脂肪の消化を助ける作用もあるといわれています。
毎日食べる食品には、自然食品もあれば加工食品もあります。
加工食品には、一定の基準は満たしているとはいえ、様々な添加物が使われています。
これらに含まれているかもしれない、未だ知られていない発ガン性物質なども分解してくれるとすれば、とてもありがたい酵素です。
大根おろしの汁に含まれるオキシターゼは、積極的に摂取したい酵素の一つといえます。
ミロシナーゼ
ミロシナーゼは、大根をおろすことで増えていく酵素で、前述のイソチオシアネートという辛味成分を作り出す素になります。
イソチオシアネートは、抗酸化力が高くて発ガン抑制作用があり、アンチエイジング効果、血流を良くする効果などもあるとされています。
辛いほど多く含まれていて、大根の部位でいえば根側(先端)に多く含まれ、葉側の約10倍もあるといわれています。
大根は、冬大根よりも夏大根の方が辛いという特徴があるので、この効果を最大限に活かしたい場合には、夏大根を積極的に使うようにするといいかもしれません。
大根おろしも汁も辛くなりますが・・・。
大根おろし汁の使い道
大根おろしは、いろいろな料理を美味しく引き立ててくれます。
大根自体は淡泊な味で、煮たり炒めたりする料理にも相性がよく、煮物や炒め物料理によく使われる食材ですが、加熱することで失われてしまう栄養素もあるので、火を通さずに使うと栄養を効果的に摂取することができます。
昔から「大根おろしに医者いらず」と言われるくらい、大根おろしのパワーはよく知られていますが、料理には使われずに捨てられてしまうことも多いのが「大根おろしの汁」です。
たくさんの栄養が詰まった「大根おろしの汁」には、いろいろな使い道があります。
捨てるというのは、とてももったいないことなので、有効に活用していきましょう。
料理の際の使い道
米を白く炊く
米が古くなっいているいると、少し黄ばんだ色のご飯に炊き上がりますが、大根おろしの汁を少量加えて米を炊くことで、炊き上がった際のご飯の色がより白くなります。
白く炊きあがったご飯は、より美味しく感じ、食欲をそそります。
めんつゆに混ぜる
おろしそばなどで、大根おろしをつゆに入れて食べることはよくありますが、同じような感覚で、大根おろしの汁をつゆに入れても、つゆの美味しさが引き立ちます。
希釈タイプのめんつゆなら、水とおろし汁を半々くらいで希釈してみてください。
みそ汁に混ぜる
みそ汁に大根おろしの汁を混ぜることで、まろやかな甘味が出て、違ったみそ汁の美味しさが楽しめます。
ドレッシングに混ぜる
ドレッシングに大根おろしの汁を混ぜることで、旨みが加わってより深い味わいが楽しめます。
醤油味ベースのドレッシングと相性がいいです。
灰汁(あく)抜き
食材を大根のおろし汁に漬け込むことで、灰汁を抜くことができます。
たけのこの灰汁抜きなら、1時間程度浸けておけば、きれいに灰汁が抜けていきます。
肉を柔らかく
肉を大根のおろし汁に浸けておくと、肉が柔らかくなります。
浸けておく際には、肉を軽く揉んでから、30分程度浸けておくようにします。
料理以外の使い道
喉の不快感を和らげる
大根おろしの汁に含まれているイソチオシアネートには、殺菌作用や炎症緩和作用があります。
風邪を引いた際の喉のイガイガする不快感を、これらの作用が緩和してくれます。
大根おろしの汁を加えた水でうがいすることで、炎症を緩和して不快感がやわらぐといわれています。
また、ハチミツに混ぜて飲むとより効果的だといわれていて、喉が楽になって、不快な感じがより緩和されます。
大根おろし自体が、風邪を引いた時には良い食材だといわれていて、うどんや雑炊などと一緒に食べれば、消化も良く、免疫力も高めてくれるといわれます。
大根の皮の部分に酵素がたくさん詰まっているので、大根をおろす際には、皮をむかずにそのままおろすのがおすすめです。
また、空気と触れることで酸化が進んで、栄養もどんどん減っていくので、大根をおろしたらすぐに食べるようにしましょう。
汚れ落とし
デンプンを分解するアミラーゼには、洗浄・漂白作用もあるといわれています。
窓を掃除する時など、大根おろしの汁をつけてガラスを拭くと、汚れやくもりがとれて、すっきりきれいになります。
また、障子の黄ばみが気になる場合にも、大根おろしの汁を使うことで汚れが落ちていきます。
タバコのヤニ落としにも効果があるといわれています。
自然の成分なので、小さい子供がいるような場合でも、安心して使うことができます。
まとめ
大根おろしの汁には、思っている以上に豊富な栄養素が含まれています。
大根をおろした時には必ず出る汁ですが、この大根おろしの汁を使わずに捨ててしまっている人も少なくありません。
しかし、ちょっとした使い方の工夫で、栄養が一杯詰まった大根のおろし汁を有効に使うことができます。
大根おろしの汁を上手に使って、嬉しい効果を実感してみましょう。
大根の辛い部分は根側・葉側のどっち?上手な大根の部位の使い分け >