肥満を解消(ダイエット)するには、摂取するカロリー量を減らすのが一番の方法とされます。
しかし、「摂取するカロリー量を減らす」ことと「食事の回数を減らす」こととは、イコールにはなりません。
どちらかといえば、肥満を解消するためには、「食事の回数」は、減らすよりも増やした方が効果的だともいわれています。
同じカロリー量を摂取する場合、一日の食事回数は、2回よりも3回、3回よりも4回の方が痩せやすいというのです。
力士の食事は一日2回
体が大きな力士は、一日に2回しか食事をしないといわれます。
朝起きると、朝食を食べる前に数時間の稽古をして、その後に遅い朝食(早い昼食)を食べます。
食事の後には昼寝をし、その後、間食はせずに、稽古をして、夕食でたくさん食べて就寝するという毎日を過ごします。
食事を2回しかしていないのに、どうしてあんなに大きな体になるかといえば、空腹の状態で食事をすると、栄養を吸収する能力が高くなるからです。
力士が、体を大きくするために一日に2回しか食事をしないというのは、科学的に見ても、理にかなったことだというわけです。
インスリンの分泌と肥満
「空腹になると栄養の吸収がよくなる」というのは、インスリンの分泌量が増えるということが、大きな要因になっているといわれます。
食事をすると、消化・吸収されたブドウ糖は、血液によって全身に運ばれていきますが、この時、血液中でブドウ糖を全身に運ぶ役目をするのがインスリンです。
血液中のブドウ糖の量(血糖値)が多くなると、すい臓からインスリンが分泌され、ブドウ糖を細胞まで届けていきますが、インスリンには、「タンパク質を合成する働き」や「脂質を生成する働き」などもあるといわれます。
インスリンの分泌量が増えると、栄養が効率的に蓄えられる(=太りやすくなる)というわけです。
空腹時の食事で多く分泌されるインスリン
インスリンは、空腹時に食事をするとたくさん分泌されるようになります。
空っぽになった胃が、一気に食べ物で一杯になると、血糖値が急激に上昇しますが、この時に多量のインスリンが分泌されます。
極度の空腹状態になると、脳は「生命の危機」と判断しますが、この状態で食事をすると、生体防御反応が働いて、栄養を最大限に吸収しようとするといわれています。
このため、食事の回数を一日2回に減らして、空腹状態の時間を長くすることで、食事をした時の栄養の吸収効率が高くなるというわけです。
逆に、同じカロリーを摂取する場合でも、空腹を感じないような食事のとり方をすれば、血糖値も安定し、インスリンの分泌量も抑えられ、結果的に太りにくくなるということになります。
「一日に摂取するカロリー」を決めたら、後は、できるだけ「食事の回数を多く」した方が、太りにくくなるというわけです。
続けれる食事回数で
例えば、一日の摂取カロリーを1,800キロカロリーに決めたとします。
これを、5回に分けて食べれば、一日を通して、血糖値はかなり安定した状態になるかもしれません。
しかし、一日5回の食事となると、時間も手間もかかなりかかってしまいます。
また、1回に食べる量がかなり少なくなるので、食べた気がしないと感じることも多くなってしまい、続けていくのが難しくなってしまうかもしれません。
肥満の解消(ダイエット)は、続けていくことで効果がでてきます。
一日5食が難しいなら、4食または3食に。
間食を上手く利用する
一日3食とする場合で、食事と食事の間隔が長くなる場合には、決めておいた摂取カロリーの範囲内で「間食」をするのが効果的といわれます。
「間食をすると太る」といわれたりもしますが、これは、普通の食事にプラスして「間食」をするからです。
「食事のカロリー」+「間食のカロリー」となって、全体の摂取カロリーが増えれば太るのは当然ですが、「食事のカロリー」の一部を「間食」にまわすのなら、何も問題はありません。
昼食から夕食までの時間が、7時間を終えるような場合には、血糖値が下がり過ぎないように、「間食」として、ちょっとしたおやつなどを食べた方が太りにくくなるともいわれています。
「間食」をする場合も、あくまでも「決めておいた摂取カロリーの範囲内」ということが大前提になるということは、忘れないように。
大切なのは、一日に摂取する「総カロリー量」です。
摂取する総カロリー量が増えなければ、積極的に「間食」を取り入れて「食べる回数を増やす」ことが、肥満の解消・予防につながるといえそうです。
「間食」を取り入れた「一日3.5食」を考えてみるのもいいかもしれません。