運動しているだけでは痩せない/鍵を握るのは食事!

太るか痩せるかは、消費カロリーと摂取カロリーのバランスで決まります。
 
心臓を動かしたり、体温を維持したり、活動したりする時に消費するエネルギー量が「消費カロリー」です。
 
一方の「摂取カロリー」は、食べ物を食べることで得られたエネルギー量です。
 
消費カロリーと摂取カロリーを比べて、消費カロリーの方が多ければ痩せていき、摂取カロリーの方が大きければ太っていきます。
 
単純な理屈です。

意外に少ない消費カロリー、意外に多い摂取カロリー

痩せるためには、「消費カロリーを増やす」「摂取カロリーを減らす」「消費カロリーを増やしつつ、摂取カロリーを減らす(並行して行う)」のいずれかで対処する必要があります。
 
「運動をすれば、消費カロリーが多くなるので痩せることができる」と思ってジョギングを始めたり、ジムに通ったりするわけですが、それだけで痩せることができる人は、そんなに多くありません。
 
運動を始めても、一向に痩せる気配がないという人の方が多いくらいです。
 
いくら運動をしても、消費カロリーが摂取カロリーよりも多くならない限りは、痩せることはできません。
 
朝・昼・晩、3回の食事で、お腹いっぱい食べて、間食も食べているというような場合は、摂取カロリーがかなり多くなっているので、少しくらい運動をしても、摂取カロリーを超えるようなカロリーを消費することは、ほぼ不可能といえます。
 
頑張って運動しているので、少しくらい食べ過ぎても大丈夫だろうと、考えてしまうかもしれませんが、「運動で消費するカロリーは意外に少なして、食べ物から摂取するカロリーは意外に多い」です。
 
一生懸命運動しても、消費するカロリーは、思っているほど多くはありません。

運動の消費カロリー

具体的に、運動で消費できるカロリーは、どれくらいなのでしょうか。
 
個人差がありますが、おおよその目安は、次のとおりです。

運動で消費できるカロリー

・ゆっくり歩く: 約75kcal/30分
・速足で歩く: 約125kcal/30分
・ジョギング: 約150kcal/30分
・階段の昇降: 約195kcal/30分
・平泳ぎ: 約350kcal/30分
・自転車: 約50kcal/30分
 
ダイエットのために筋トレをしている、という人もいるかもしれませんが、筋トレは、そんなに多くのカロリーを消費しません。
 
グッと力を入れますが、それは瞬間的なことが多く、持続的に力を入れ続ける運動ではないからです。
 
例えば、身体を起こして腹筋を鍛える場合、何分間も力を入れ続けるということはありません。
 
体重60kgの人が30分間の腹筋を行った時の消費カロリーは、約75kcalといわれています。
 
ゆっくり歩くのと変わらない消費カロリーです。
 
筋トレは、身体を鍛えて、基礎代謝を上げるためには有効な運動ですが、消費カロリーを上げるという点では、効率が良くありません。

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摂取カロリー

一方、食べ物から摂取するカロリーは、おおよそ次のとおりです。

食べ物から摂取するカロリー

 
・おにぎり: 約150kcal/1個
・シュークリーム: 約160kcal/1個
・ショートケーキ: 約320kcal/1個
・ラーメン: 約450kcal/1杯
・スポーツドリンク: 約135kcal/500ml
・ビール: 約200kcal/中ジョッキ
 
~・~・~・~・~・~・~
 
「ジョギングを30分してお腹が空いたから、おにぎりを1個食べた。」
「自転車に30分乗って喉が渇いたから、コップ1杯のスポーツドリンクを飲んだ。」
 
これらを、消費エネルギーと摂取エネルギーで考えてみると、+-0で相殺されてしまっています。
 
仮に、夕食がカツカレー(約1,000kcal)で、その分のカロリーを運動で消費しよう思えば、3時間以上ジョギングをしなければならないことになります。
 
運動することで消費エネルギーを増やすということは、ダイエットにとっては大切なことですが、運動では思ったようにカロリーを消費することができないので、運動だけで痩せることは難しいです。
 
食事制限はしたくないから、一生懸命に運動をして痩せるようにしたい、と考えている人もいるかもしれませんが、好きなだけ食事をして、運動するだけで痩せるというのは、やはり無理があります。

ダイエットでの運動の効果

ダイエットにおいての運動の効果は、大きく分けて「消費カロリーを多くする」「基礎代謝を上げる」の二つの効果が期待できます。
 
どんな運動をしても、これらの効果は期待できますが、消費カロリーのアップは、ウォーキングやジョギングのような有酸素運動で、基礎代謝を上げるのは、腹筋、背筋、腕立て伏せ、スクワットなどの筋トレで、特に大きな効果が期待できます。
 
ヨガやストレッチなども、身体の調子が整うことで基礎代謝が上って痩せやすくなると言われたりもしますが、「基礎代謝が上がると痩せやすくなる」ということを、過度に期待してしまっている人が多いです。
 
基礎代謝が上がれば、少しくらい食べ過ぎても、太ることはないと思っている人もいるようですが、実は、そんなことはありません。

基礎代謝

基礎代謝とは、人が生きていくために必要になる、最低限の身体活動に使われるエネルギーです。
 
常に心臓は動いていて、意識をしなくても呼吸し、体温も発生しています。
 
一日中、何もせずに寝ていても、生きるために必要な最小限のエネルギーは使われています。
 
これら、生命を維持するためのエネルギー消費が、基礎代謝です。
 
必要最小限といいますが、実は、人が一日に消費するエネルギーの中で、最もたくさん使われているのが基礎代謝のエネルギーです。
 
エネルギーの消費というと、運動で消費するというイメージがあるかもしれませんが、運動で消費されるエネルギー量は、全体の2割程度に過ぎないといわれています。
 
それに対して基礎代謝は、全体の約6割を占めています。
 
このため、基礎代謝が多いか少ないかということが、ダイエットに大きく影響することになるのです。
 
基礎代謝を多くするということは、ダイエットするに当たって、とても重要なポイントになります。
 
個人差はありますが、平均的な基礎代謝は、成人男性で1,700kcal、成人女性で1,200kcal程度といわれています。
 
運動をして、この基礎代謝を多くしようとするのですが、どんなに高くなっても、基礎代謝が3,000kcalを超えるというようなことは、まずあり得ません。
 
しかし、摂取カロリーに関しては、どんなものを食べるかによって、2,000kcalでも、3,000kcalでも、多ければ4,000kcalでも、比較的簡単に多くすることができます。
 
消費カロリーを増やすことは、そんなに簡単なことではありませんが、摂取カロリーを増やしたり減らしたりするのは、比較的簡単にできます。
 
こういった理由からも、ダイエットの際には、運動で消費カロリーを増やすだけではなく、食事での摂取カロリーを減らすことが重要になるのです。
 
ダイエットでは、摂取カロリーを減らすことは、絶対条件といってもいいでしょう。

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ダイエットのメインは、運動ではなく食事の管理

ダイエットでは、食事の管理がメインになり、運動はあくまでも補助的な役割と考えておきましょう。
 
痩せるためには、消費カロリーを増やすか、摂取カロリーを減らす必要があります。
 
消費カロリーを増やすのは運動をして、摂取カロリーを減らすのは食事を減らして、ということになりますが、運動をして消費カロリーを増やすのは、意外に大変です。
 
30分間のジョギングで消費されるカロリーは約150kcal、頑張って30分間平泳ぎをしても約350kcalしか消費されません。
 
一方、食事を控えて摂取カロリーを抑えようと思えば、おにぎりを1個我慢すれば約150kcal、ラーメンを1杯我慢すれば約450kcalのカロリーを抑えることができます。
 
カロリーのことだけに注目して考えると、30分間ジョギングをしても、おにぎりを1個食べたら帳消し、30分間平泳ぎをした後でラーメンを1杯食べたら摂取カロリーの方が多くなってしまいます。
 
カロリーの管理は、運動よりも食事制限をメインにして管理した方が、数段管理がしやすいです。
 
それならば、運動はしなくてもいいかといえば、そんなことはありません。
 
ダイエット中は、できるだけ運動をした方がいいということは、確かなことです。
 
食事制限だけでダイエットをして、運動をまったくしなかったら、どうしても筋肉が減ってしまいます。
 
ダイエットの目的は、余分な脂肪だけを落とすことですが、ダイエット中は、筋肉が減りやすい状態になっています。

筋肉が減ると

筋肉量が減ってしまうと、疲れやすくなってしまいます。
 
疲れると動くのが億劫になり、ますます活動量が減ってエネルギーの消費が少なくなって、太りやすい状態になるという悪循環に陥ってしまいます。
 
また、筋肉が減ると、基礎代謝も少なくなってしまいます。
 
筋肉は、身体の中でも、多くのエネルギーを消費する部位なので、筋肉量が減ると、毎日のエネルギーの消費量も減ってしまいます。
 
さらに、筋肉量が減ると体温が低下しやすくなるので、冷え性にもなりやすくなります。
 
体温が下がると、エネルギーの消費が少なくなってしまうだけでなく、免疫力が低下して病気になりやすくもなります。
 
筋肉が減ることで良くなることは何もありません。
 
ダイエット中は、摂取カロリーを抑えるので、筋肉が落ちやすくなりますが、しっかりと運動して、筋肉が減るのを防ぐようにしましょう。

ダイエット中の運動

ダイエット中は「有酸素運動」と「レジスタンス運動(筋トレ)」の両方の運動を、あわせて行うのが理想的です。

有酸素運動

有酸素運動は、負荷が軽くて、ゆっくりとした持続性のある運動です。
 
体内に酸素を多く取り入れ、脂肪を分解してエネルギーとして使う運動なので、ダイエットをより効率的に進めていくことができます。
 
代表的な有酸素運動に「ウォーキング」があります。
 
歩くことは、誰でも気軽にできる運動です。
 
マイカー通勤を電車通勤に変えて駅まで「歩く」、買い物をするためスーパーまで「歩く」、天気の良い日は近所を「歩いて」散策するなど、意識して歩くようにしましょう。
 
歩幅を広くしたウォーキングやスローペースのジョギングなどは、さらに効果的です。

レジスタンス運動

ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動では、脂肪を分解する効果は期待できますが、筋力をアップさせる効果は、あまり期待できません。
 
ダイエット中の筋力低下を防ぐために、レジスタンス運動(筋トレ) も同時に行うようにするといいです。
 
レジスタンス運動というと、ジムに通ってマシンを使ってする運動というイメージがあるかもしれませんが、ダンベルを使った運動や、スクワット、腕立て伏せ、懸垂なども、立派なレジスタンス運動です。
 
筋肉を落とさずに美しく痩せるためにも、できるだけレジスタンス運動もするようにしましょう。

まとめ

太るか痩せるかは、消費カロリーと摂取カロリーのバランスで決まります。
 
痩せるためには、「消費カロリー>摂取カロリー」となるようにしないといけませんが、ダイエットの基本は、食事制限で摂取カロリーを抑えることがメインになります。
 
運動をすることで消費カロリーを増やして、ダイエット中に筋肉が減るのを抑えることができますが、体重を減らすということに関しては、運動は補助的なものと考えておくといいです。