「肥満」とは「体脂肪の量が多い人」のことだといいます。
もっと正確にいえば「体脂肪率(体重に占める脂肪量の割合)が正常値よりも高い状態の人」が「肥満」ということになります。
スポーツ選手のように、筋肉が多くて体重が重い人は「かた太り」といわれていて、肥満ではありませんし、逆に、痩せていても、体脂肪率が高いと肥満ということになってしまうといいます。
体脂肪率
肥満とされる「体脂肪率」は、男性と女性とで異なっています。
・正常とされる体脂肪率 → 「成人男性:15~20%」「成人女性:20~25%」
・肥満とされる体脂肪率 → 「成人男性:25%以上」「成人女性:30%以上」
電気抵抗で体脂肪率を計算
「体脂肪率」は、家電量販店などで市販されている「体脂肪計」を使って測定することができます。
不思議ですが、体重計のような器具の上に乗るだけで、体の中の体脂肪率が分かってしまいます。
市販されている多くの体脂肪計は、電気抵抗を測定することにより体脂肪率を計算するという「インピーダンス法」が採用されているといわれます。
体の中に微弱な電流を流して、この電気抵抗によって、体の中の体脂肪率を計算しているというわけです。
電気抵抗を測るだけで体脂肪率が分かるのは、脂肪組織は水分をほとんど含んでいないために電気抵抗が高く、脂肪以外の組織(筋肉、骨など)は水分を多く含んでいるために電気抵抗が低い、という性質を利用しているからだといわれます。
体脂肪の多い人ほど電流が流れにくく、体脂肪の少ない人ほど流れやすいということのようです。
人間の体は、常に電気抵抗が一定に保たれているわけではなく、一般的には、朝が高く、夕方には低くなるといわれています。
夕方~夜が、比較的体の電気抵抗が安定するとされているので、継続的に測定する場合は、この時間帯に測るのが良いとされています。
体格指数:BMI
「BMI」は、身長と体重から肥満を計算する、世界で最も広く使われている「体格指数」といわれます。
体格指数のBMIは、「Body Mass Index」の略で、次のような計算式で求められます。
例えば、「身長160cm」「体重55kg」 の場合のBMIは、55 ÷ 1.6 ÷ 1.6 = 21.48 ということになります。
男女とも、BMIが25.0以上になると肥満と判定され、18.5未満の場合は低体重(やせ)と判定されます。
BMI 区分
18.5未満 低 体 重
18.5以上 25.0未満 普通体重
25.0以上 30.0未満 肥満1度
30.0以上 35.0未満 肥満2度
35.0以上 40.0未満 肥満3度
40.0以上 肥満4度
「BMI」は「体格の指数」なので、「BMIが25.0以上」の場合でも「体脂肪率は正常範囲」ということもあり得ます。
筋肉質のスポーツ選手などは、BMIが25.0以上でも、体脂肪率が正常範囲の場合も多く、この場合は肥満とはなりません。
正確に肥満を判定するためには、やはり「体脂肪率」を測定する必要がありそうです。
BMI:22が健康体重
若い女性は、スリムな体型を好む傾向が強いといわれます。
「モデル体型はBMI:18前後」「女優体型はBMI:19~20」などといわれたりもしますが、最も病気にかかりにくい「健康体重」は「BMI:22」であるといわれています。
ダイエットをする際にも、この健康体重を目安にして、極端に痩せすぎないようにすることが大切になりそうです。
自分の健康体重は、次の計算式で求めることができます。
例えば、「身長150cm」の人の「健康体重」は、1.5 × 1.5 × 22 = 49.5kgとなります。
「BMI:22」は、少しぽっちゃりした印象を受けるかもしれませんが、それが「健康体重」といわれます。
本人の考えている「理想の美容体重」と「健康体重」とには、ズレがあることが多いようです。
ダイエットをする際の目標体重も、この健康体重のことを考えて、どんなに低く設定するとしても、BMIが20以下になるようなことは避けるようにした方が良さそうです。
肥満は「摂取エネルギー」と「消費エネルギー」のバランス
毎日の活動のエネルギー源は、食事をすることで得られています。
食事をすることで得られる熱量が「摂取エネルギー」。
これに対して、日常の活動や運動などに使われる熱量が「消費エネルギー」。
「肥満」や「痩せ」は、この「摂取エネルギー」と「消費エネルギー」のバランスによって左右されることになります。
例えば、1日に2,500Kcal消費する人が、2,500Kcal分の食事をしていれば、計算上は、太ったり痩せたりすることはないといえます。
しかし、この人が毎日3,000Kcal分の食事をしていると、1日に500Kcal分を余分に摂取していることになり、この余分なカロリーが主に脂肪として体に蓄積されることになります。
この状況が1年間続けば、計算上では、25kgも太ることになってしまいます。
逆に、消費エネルギーが摂取エネルギーを上回ると、体に蓄えられている脂肪を分解・燃焼させて、活動のためのエネルギーに使われるので、痩せていくことになります。
消費エネルギー
「消費エネルギー」は、「基礎代謝(60~70%)」「生活活動代謝(20~30%)」「食事誘導性熱産生(10%)」に分かれるといわれています。
最も多くのエネルギーを消費する「基礎代謝」は、何もしていなくても消費されるエネルギーで、呼吸、心臓の鼓動、体温維持などの生命活動に使われるとされているエネルギーです。
「生活活動代謝」は、日常生活や運動などで消費されるエネルギー、「食事誘導性熱産生」は、食事をすることで消費されるエネルギーです。
摂取エネルギー
一方の「摂取エネルギー」は、食事から得られるエネルギーです。
・「消費エネルギー」の半分以上は「基礎代謝」によって消費されている。
・「摂取エネルギー」は食事から得られる。
年齢とともに低下していく基礎代謝
「消費エネルギー」の半分以上を占める「基礎代謝」は、年齢とともに低下していきます。
1日当たりの基礎代謝は「1歳年をとる毎に約10kcalずつ低下する」とされています。
30歳の人が45歳になるまで、全く同じように食べて行動していたとすると、計算上では、基礎代謝の低下により7.5kgも太ることになります。
いわゆる「中年太り」は、このパータンが多いといわれています。
肥満にならないために、食事や運動は、年齢に応じてバランスよく変えていく必要がありそうです。