お宅訪問の基本マナー/訪問する時間は少し遅らせる

お宅訪問

お宅を訪問する際には、相手に貴重な時間を割いてもらうことになるので、事前に約束をするなど、相手の都合に合わせることが大切になります。
 
また、訪問時の玄関先での振る舞いは、良い第一印象をもってもらうための、重要なポイントにもなります。
 
お宅を訪問する際の、基本的なマナーを紹介します。

お宅訪問時のマナー

訪問する前

親しい間柄でも、約束なしで、突然訪問するのは、マナー違反とされています。
 
相手の都合を考え、前もって都合の良い日時を決めてから、訪問するようにしましょう。
 
自分の都合だけで、事前の約束なしに訪問するのは、大変失礼になります。
 
約束のとりつけは、親しい人なら、メールや電話だけで良いかもしれませんが、あらたまった訪問の場合には、事前に手紙で伝え、その後、改めて電話をするようにすると丁寧になります。
 
訪問する日時については、できるようなら複数の日時を候補に挙げて、その中から選んでもらうようにすると、スムーズに決めてもらいやすくなります。
 
訪問する時間は、食事の時間帯や早朝や夜間を避け、午前中なら10時~11時頃、午後なら13時~16時頃がベストといわれます。

手土産の準備

訪問する際には、手土産を持参するのが一般的ですが、訪問先の近くで調達すると、「間に合わせ」の印象を与えてしまうので、前もって準備しておくようにしましょう。
 
相手の家族構成なども考えて、手土産を選ぶようにするといいです。
 
菓子折りや果物などが無難ですが、高価すぎるものは、相手に負担を感じさせてしまうこともあるので注意が必要です。
 
あらたまった訪問の場合には、風呂敷に包んで持って行くようにするといいです。
 
ただし、お中元やお歳暮を持って行くことが目的の訪問の場合には、手土産は必要ありません。

服装

訪問する相手や目的にもよりますが、派手すぎる服装や、Tシャツや短パンなどの軽装は、基本的にはNGとされます。
 
あらたまった訪問の場合、男性なら、スーツにネクタイがベストですが、ジャケットにネクタイでも良いとされます。
 
女性なら、スーツやワンピース、和服なら訪問着。
 
和室に通されることもあるので、タイトスカートやミニスカートは避けた方が無難です。
 
夏場は、素足でサンダルなどを履くことも多いですが、素足で家に上がるのは、マナー違反とされているので、必ず、靴下やストッキングなどを履くようにしましょう。

訪問する時間

相手のお宅には、約束の時間より、5分位遅れて到着するのが良いとされています。
 
ビジネスで会社などを訪問する場合には、約束時間よりも少し前に訪問するのが良いとされますが、個人のお宅訪問の場合は、これとは逆になります。
 
訪問当日は、先方も準備などで忙しくしていることも多く、約束時間よりも前に到着すると、用意ができていないこともあり、先方に対して失礼になることがあるからです。
 
個人宅の訪問の際は、約束の時間より少しだけ遅れて到着するようにするのが、ベストといわれます。
 
ただし、10分以上遅れそうな場合には、必ず連絡を入れるようにしましょう。

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訪問時のマナー

チャイムを鳴らすまで

訪問先に到着したら、チャイムを鳴らす前に、コート、マフラー、手袋、帽子などを脱ぎ、髪や服装を整えます。
 
コートは、西洋では、案内されてから脱ぐのがマナーとされているようですが、日本では、玄関に入る前に脱ぐのが基本とされています。
 
コートをどうするか迷った場合は、脱いでおくのが無難です。

玄関で

玄関のドアが開いたら、簡単なあいさつをしてから中に入ります。
 
正式なあいさつと手土産を渡すのは、家に上がってから行うのが、基本になります。
 
ドアは、相手にお尻を向けないように、体を斜めにしながら静かに閉めます。
 
靴は、正面に向かった状態で脱いで、そのまま上がり、相手にお尻を向けないように気をつけながら、斜めに膝をついて座り、靴の向きを変えてから、靴を揃えて下駄箱のある方(下座)に置きます。
 
後ろ向きで靴を脱いで上がるのは、マナー違反になるので、注意しましょう。
 
コートは、置かせてもらって良いか確認をした上で、玄関の隅に置くようにしますが、玄関が狭い場合は、コートを持って上がっても差し支えないとされています。
 
コートかけがある場合も、一言断ってから使うようにしましょう。

和室でのマナー

和室に通されたら、勧められた場所に座るようにしますが、特に勧められなければ、出入口に近い下座に座るようにします。
 
この時は、まだ座布団には座りません。

和室の席次

和室に「床の間」がある場合は、床の間に最も近い場所が上座とされます。
 
その中でも、床柱を背にする位置が、最上の上座にあたるとされています。
 
2番目が床の間の前、3番目が床脇の棚の前という順番になりますが、床の間がない場合には、出入口から最も遠い席が上座となります。
 
いずれの場合も、出入口に近い席が下座となるので、和室に通された際、特に席を勧められず、どこに座ればいいか迷った場合には、出入口付近に座れば、失礼になるようなことは、まずありません。

あいさつ

あいさつの際には、姿勢を正し、指をそろえて両手を畳の上に置いて、お辞儀をします。
 
低い姿勢と静かな所作がポイントです。

手土産

あいさつが済んだら、手土産を取り出して膝の前に置き、のしを相手の方に向けてから、両手で畳の上をすべらすようにして、相手に差し出します。
 
この際、「ほんの気持ちですが」などと、言葉を添えるとスムーズになります。
 
手土産を入れていた紙袋は、基本的には、持ち帰るようにします。

座布団

手土産を渡した後、座布団を勧められてから、座布団に座ります。
 
座布団に上がる際は、両手を軽く握って座布団に上におき、正座の姿勢のまま、両手で体を支えで、膝をすべらせるようにして、何回かに分けて、座布団の中央まで移動していきます。
 
きちんと座布団の上に座れたら、膝をそろえて背筋を伸ばし、両手は、ももの上で軽く重ねるようにしましょう。
 
座布団から立ち上がる場合は、体を後ろにずらして、つま先が座布団の外に出るようにし、つま先を立てて、かかとの上にお尻をのせて、座布団に膝をつきながら立ち上がります。
 
「マナー違反の座布団使い」
・座布団の上で挨拶をする。
・座布団を裏返す。
・座布団を足で踏みつける。

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洋室でのマナー

洋室に通された場合も、和室と同様に、特に勧められなければ、下座に座るようにしましょう。

和室の席次

洋室では、出入口から最も離れている席が上座、最も近い席が下座とされます。
 
長椅子がある場合には、こちらが上座となり、一人掛けの椅子は下座となります。
 
このルールによると、洋室では、出入口から一番離れた長椅子の席が最上の上座、出入口から最も近い一人掛けの椅子が最下の下座ということになります。
 
洋室の場合も、特に席を勧められず、どこに座ればいいか迷った場合には、出入口付近に座れば、まず間違いはありません。

あいさつ

洋室の場合、椅子に座ったままあいさつをするのは、失礼にあたるので、勧められて座っている場合でも、あいさつをする際には、立ち上がってあいさつをするようにしましょう。

手土産

あいさつが済んだら、椅子に座る前に、手土産を渡します。
 
立ったまま、手土産を相手の方に向けて、両手で差し出します。
 
この時、手土産は、あらかじめ紙袋や風呂敷などから取り出して、テーブルの上に置いておくと、スムーズに渡すことができます。

着席

手土産を渡し終わって、相手から着席を勧められてから、椅子に座ります。
 
勧められた場所に座るようにしますが、特に席を指定されなかった場合には、出入口に近い下座に座るようにします。
 
座る際には、少し浅めに腰かけるようにして、椅子の背に寄りかかったり、脚を組んだりするのは控えるようにしましょう。

茶菓

お茶や菓子が出された場合は、遠慮して口をつけないのは、かえって失礼にあたるとされています。
 
出された茶菓は、美味しくいただくようにしましょう。
 
「お茶とコーヒー、どちらがいいですが。」などと、飲み物の好みを聞かれた場合には、自分の好みをはっきりと伝えるようにします。
 
「どちらでも結構です。」と曖昧に答えると、せっかくの心づかいを無駄にすることになってしまうからです。
 
出された飲み物は、熱いものは冷めないうちに、冷たいものはぬるくならないうちに、美味しくいただくのが基本です。

日本茶

茶碗にふたがついている場合は、左手を茶碗に添え、右手で手前からふたを開けて、しずくを切ってから、仰向けにして、茶碗の右側に置きます。
 
ふたを外した茶碗を両手で持ち上げ、左手を底に添えるようにしてお茶を飲みます。
 
茶碗を茶たくに戻すときも、両手で行います。
 
お茶を飲み終わったら、ふたは、元のとおりに戻しておきます。

コーヒー

コーヒーに砂糖やミルクを入れる場合は、まず砂糖を入れて、左手でカップを押さえながらスプーンでかき混ぜ、それからミルクを入れます。
 
使い終わったスプーンは、しずくが垂れないように注意しながら、カップの向こう側のソーサーの上に置きます。
 
基本的には、右手でカップを持って飲み、左手は添えませんが、テーブルが離れている場合には、左手でソーサーを持っても良いとされています。

おいとま(退席)の際のマナー

おいとまは、訪問した側から言い出すのがマナーとされています。
 
長居は避けるようにしますが、訪問している時間は、1時間前後が一つの目安になります。
 
話の区切りがついた時や、お茶のお代わりを勧められた時などは、おいとまを告げやすいタイミングになります。
 
引き止められても、それは社交辞令ととらえ、丁寧にお断りするようにしましょう。
 
食事を勧められた場合も、基本的にはお断りしますが、すでに食事が用意されていて、強く勧められた場合に限っては、喜んでいただくようにした方が良い場合もあります。

おいとまのあいさつ

おいとまの際の正式なあいさつは、玄関先ではなく、部屋の中で行います。
 
和室の場合は、座布団から下座へ下りて、洋室の場合は、椅子から立ち上がって、お礼を述べて、丁寧にあいさつをします。

玄関で

あいさつの後、玄関まで行き、靴が隅にある場合は、中央に置き直してから履くようにします。
 
靴を履く際には、相手にお尻を向けないように気をつけながら履き、振り返って、履いていたスリッパの向きを変えて、揃えて玄関の隅に置きます。
 
正式なあいさつは、部屋で済ませていますが、ここでも簡単にあいさつをしてから、外に出ます。
 
コートは、玄関を出てから着るようにしますが、玄関で着ることを勧められた場合には、そこで着ても良いとされています。
 
相手が、外に出て見送りをしてくれている場合には、一礼をしてから立ち去るようにすると、好印象となります。

後日お礼の意を伝える

訪問した後に、改めてお礼の意を伝えるのも、大切なマナーです。
 
親しい人ならメールや電話で、目上の人ならお礼状などを出して、お礼の意を伝えましょう。
 
メールや電話なら当日か翌日に、お礼状なら2~3日以内には届くようにしましょう。