「このことに関しては、ずぶの素人です。」「ずぶの素人が、口出しをするな!」
などというように使われる「ずぶの素人」という表現ですが、この「ずぶ」とは、どういう意味なのでしょう。
「ずぶ」
もともと、「ずぶ」は、「全身が水に濡れる様子」を表した言葉だといわれています。
「びしょびしょに濡れる」という意味合いの「ずぶ濡れ」という表現が、その意味をよく表しているといえます。
そこから転じて、「ずぶ」は、「全く」「まるっきり」という意味で使われるようになっていったといわれます。
江戸時代には、「ずぶ嫌い」「ずぶ小さい」などと、「ずぶ」という表現が、よく使われていたといいます。
永井荷風の「あめりか物語」でも、「まだずぶ若い癖に男がすきですよ」というような使われ方をしています。
その後、次第に「ずぶ」という表現はされなくなっていき、今では「ずぶ」を使った表現は、「ずぶの素人」「ずぶ濡れ」くらいだとされています。
「ずぶずぶ」
「ずぶ」は、「ずぶずぶ」と重ねて使われることもあります。
「ずぶ」は、「水」や「沼」に足を突っ込んだ時の音や、そういう状態のことを表す言葉でもあり、「泥沼に足を突っ込んだ」というイメージから、「濡れて汚い」という意味合いもあったといわれます。
「ずぶずふの関係」といえば、「泥のように密着した汚らわしい関係」のことを表していますが、政財官の「癒着関係」などを表す言葉として使われています。
現在では、「ずぶ」という言葉には、あまりいいイメージはないようです。