サランラップは、兵士の「水虫対策」から生まれた?

「サランラップ」は、食品の保存や調理などに使われる「食品用のラップ」です。

毎日の生活に欠かすことができない「サランラップ」ですが、その開発の起源は、意外なところにありました。

軍事用のフィルム

第二次世界大戦中、アメリカの兵士たちは、ジャングルなどで沼地を進んでいくことも多く、「水虫」に悩まされていたといわれます。

その大きな原因は、「靴の中に水がはいってくる」ことでした。

そこで、水が入ってこないように、「合成樹脂のフィルム」を使った「靴の中敷き」が開発されたといわれます。

このフィルムは、蚊に悩む兵士たちのための「蚊帳(かや)」や、湿気から銃や弾丸を守るための「包装フィルム」としても使われたといわれています。

サランラップ誕生のきっかけ

戦争が終わると、この「合成樹脂のフィルム」は需要がなくなり、大量に余ることになってしまいました。

フィルムの「新たな使い道」が考えられているときに、ある出来事が起こりました。

フィルムメーカーの技術者の「ラドウィック」と「アイアンズ」の二人が、家族揃ってピクニックに出かけた時のこと。

ラドウィックの奥さんが、合成樹脂でくるんで持ってきた「レタス」を取り出しましたが、時間が経っているにもかかわらず、みずみずしさが失われていなかったといいます。

このことにヒントを得て、フィルムに改良を加えて、「食品用ラップ」が商品化されたといわれています。

サランラップの「ネーミング」

新しく誕生した「食品用ラップ」の名称は、それぞれの「妻の名前」に由来しているといわれています。

ラドウィックの妻の名前は「サラ(Sarah)」、アイアンズの妻の名前は「アン(Ann)」だったので、それにちなんで「サラン(Saran)ラップ」と命名されたといいます。

「サランラップ」は、1952年に「ダウケミカル社」から発売され、日本では、同社と契約を結んだ「旭化成」から発売されています。

軍事用に使われていたフィルムから開発され、今では、毎日の生活に欠かせないものとなった「サランラップ」の誕生には、意外な秘話が隠されていました。