冷やし中華の「発祥」は中国ではなく「日本」だった!

夏の麺類といって一番に頭に思い浮かぶのが「冷やし中華」。

酸味の効いたつゆに冷たい麺のつるりとしたのど越し、あと味もサッパリとしていて、食欲がなくなる夏場でも美味しく食べることができます。

「こんなに美味しい冷やし中華を、是非本場の中国でも食べてみたい!」と思う人がいるかもしれませんが、中国で「冷やし中華」を食べるのは少し難しいようです。

冷やし中華は、中国の料理ではなく「日本発祥の料理」だからです。

冷やし中華の発祥「二つの説」

冷やし中華が「日本で生まれた料理」というのは間違いのないことのようですが、その発祥については、
・仙台の「龍亭」説
・東京の「揚子江菜館」説
この二つの説があるといわれています。

仙台の「龍亭」説

今から80年以上前、仙台にある一軒の中華料理店が、夏場の売り上げダウンに頭を抱えていたといいます。

クーラーも普及していなかった当時は、「暑い夏」に「熱いラーメン」を食べる人が少なかったからです。

そんな状況で、試行錯誤の末に考案されたのが「冷たいラーメン」だったといいます。

仙台支那料理同業組合の理事長・四倉義雄氏は、1937年(昭和12年)に考案された冷やし中華の原型となる「涼拌麺(リャンパンメェン)」を、自分の店「龍亭」で提供しましたが、これが大好評になったといわれます。

夏バテに効くようにと野菜をたっぷりと入れて、食欲増進のために酸味を加えた「涼拌麺」は、当時普通のラーメンが10銭前後だった時代に「25銭」だったといいます。

それでも、売れに売れたといわれます。

東京の「揚子江菜館」説

東京の「揚子江菜館」の2代目オーナー・周子儀氏は、1933年(昭和8年)に、上海で食べられていたもやしと細切りの肉を冷した麺に乗せて食べる「涼拌麺」と「ざるそば」にヒントをえて、「五色涼拌麺」を考案します。

その盛り方は、細切りの具を彩りよく盛っていて、現在の冷やし中華の盛り方の原型ともいわれます。

いろいろな細切りの具を皿の中心から放射状に盛っていく独特の盛り方は、「富士山」と「そこに積もる雪」をイメージしたといわれています。

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どちらが「冷やし中華の元祖」だったとしても、暑い夏場には欠かせない「冷やし中華」が、中国料理ではなく日本生まれの料理だということは間違いなさそうです。