松坂牛に「ビール」を飲ませて育てる理由は?

牛肉の中でも最高級ブランドの「松阪牛」は、「ステーキ」「しゃぶしゃぶ」「すき焼き」など、どんな食べ方をしても、とにかく美味しいお肉です。

贈答用の高級肉としても重宝される「松坂牛」は、「ビールを飲ませて育てられている」ことでも有名です。

ブランド牛の「松阪牛」は、それぞれの牛の「状態」や「体調」に合わせ、丁寧できめ細やかな肥育管理がされているといわれています。

食欲が低下した際の対処

牛は、ある程度育ってくると、食欲がなくなる「食い止まり」という状態になることが、少なくないといわれます。

この「食い止まり」の状態になり、食事量が低下した際の「食欲回復のための対処法」の一つが、「ビールを飲ませる」ことです。

牛には4つの胃袋がありますが、そのうちの「第1胃」と呼ばれる胃袋は、食べた物を、微生物の力で分解する働きをしているといわれます。

この「微生物」の働きによって、食べた物を分解して、吸収しやすくしているのですが、第1胃の環境が悪くなると、微生物が十分に働かなくなってしまうのだといいます。

そこで、ビールを飲ませることにより、ビールに含まれる「炭酸」や「アルコール」で、牛の胃を刺激し、さらには、ビールに含まれる「ビール酵母」の働きで、胃の環境を改善して、「食欲をアップ」させるというのです。

ビールを飲んで、食欲が増した松阪牛は、しっかりと餌を食べて、栄養を摂るようになり、「肉付き」もよくなっていくといいます。

人間と同じように、松阪牛にも「適度な晩酌」は、良い効果が期待できるということのようです。

すべての松坂牛が、ビールを飲んで育っているというわけではなく、あくまでも、松坂牛の食欲が低下した際の対処法の一つが、「ビールを飲ませること」ということのようです。

松阪牛の定義

最高級ブランドの「松阪牛」は、生まれながらにして「松阪牛」というわけではありません。

兵庫県但馬地方の「但馬牛」をはじめ、宮崎県、鹿児島県など、全国各地の優れた子牛が、松阪牛生産区域に導入され、肥育されますが、
それらの牛の中で、「松坂牛の定義」を満たした牛だけが、「松坂牛」と呼ばれるのだといいます。

一般的には、生後8~10ヶ月頃の子牛が購入され、31ヶ月程度肥育された後、「松阪牛」として出荷されていくといわれます。

「松坂牛の定義」は、次のとおりです。

松坂牛の定義

・「黒毛和種」であること
・「未経産の雌牛」であること
・「松阪牛個体識別管理システム」に登録されていること
・松阪牛生産区域(旧22市町村)での肥育期間が「最長」であること
・松阪牛生産区域(旧22市町村)での肥育期間が「最終」であること
・生後12ヶ月齢までに松阪牛生産区域に導入され、導入後の移動は生産区域内のみであること

以上の条件をすべて満たしていること