目に障害のある人を介助する「盲導犬」の種類は、ほとんどが、「ラブラドール・レトリーバー」か「ゴールデン・レトリーバー」です。
盲導犬で、それ以外の犬の種類は、あまり見かけることがありません。
盲導犬の種類は、どうして「レトリーバー」が多いのでしょう。
盲導犬
盲導犬には、「人間を誘導するのに十分な体格があり、従順で賢い犬」であれば、どんな犬種の犬でもなることができるといわれています。
「盲導犬」に「犬の種類」の決まりはないというわけです。
実際、外国には、雑種の盲導犬もいます。
とはいっても、当然「盲導犬に向いている犬の種類」「盲導犬に向いていない犬の種類」というのはあります。
小型犬の「トイプードル」や「チワワ」などは、小さすぎて、人を誘導することはできないでしょうし、
大型犬の「セントバーナード」などでは、大きすぎて、人ごみを誘導するのは難しいでしょう。
また、あまり「元気が良すぎる犬」も、盲導犬には向いていないとされています。
このようなことを考えていくと、「レトリーバー」が、人を誘導するのにとても適しているということになるというわけです。
最初の盲導犬は「ジャーマン・シェパード」
最初から「レトリーバー」が「盲導犬」に選ばれていたというわけではありません。
日本で最初の盲導犬は「ジャーマン・シェパード」とされています。
「ジャーマン・シェパード」は、1939年にドイツから輸入され、第二次世界大戦後まで、盲導犬として活躍していたといわれています。
この犬は、忠実で賢く、体格も十分なので、「盲導犬にふさわしい犬」とされていました。
イギリスでも、最初は「シェパード」が選ばれていましたが、一つだけ「難点」があったのだといいます。
それは「外見」の問題で、「威圧感があって、周りの人が怖がってしまう」ということでした。
外見も考慮して「レトリーバー」
ジャーマン・シェパードより「もっと愛嬌のある犬」ということで盲導犬に選ばれたのが、「レトリーバー」だったというわけです。
レトリーバーは、狩猟犬として、人間とペアを組んで活動できるほど従順な犬で、「性格」「体格」ともに「盲導犬」として申し分ありませんでした。
イギリスで、盲導犬が「シェパード」から「レトリーバー」へと移行されていくと、日本でも、それにならって、「レトリーバー」を採用するようになっていったといわれます。
盲導犬の適正基準に「外見」が考慮されていたというのは、ちょっと意外でした。