「木の年輪で方角が分かる」というのは本当?

「木の切り株の年輪を見れば、年輪の幅の違いから方角が分かる。」といわれることがあります。

太陽の光がよく当たる側の方が、成長が活発になるので、「年輪の幅が広い方」が「南の方角」になる、というのが、その理由のようですが、実際のところは、どうなのでしょう。

年輪のでき方

木の年輪は、どのようにしてできるのでしょう。

木は、「幹」や「枝」の外側近くにある「形成層」で細胞分裂が起こり、「新しい繊維細胞」や「年輪」をつくりながら、成長していくとされていますが、「四季」のある日本では、でき上がる細胞が、季節によって違うといわれています。

「直径が大きくて、壁の薄い細胞」「白っぽく」見え、
「直径が小さくて、壁の厚い細胞」「黒っぽく」見えるため、
四季を通じて、「白い部分」と「黒い部分」とが交互に形成されていき、「年輪」ができるというわけです。

「白っぽい、色の薄い部分」「春から夏」にかけて作られ、
「黒っぽい、色の濃い部分」「夏から秋」にかけて作られますが、
冬には、成長がほぼ止まるといわれます。

年輪の幅に影響する「負荷」

年輪のある部分の幅が広くなるのは、「その部分の細胞が多い」「一つひとつの細胞が大きい」などの理由によるものとされています。

木の成長は、「日光の当たり具合」にも影響を受けるといわれますが、そのことだけに左右されるわけではなく、木を取り巻く「様々な環境」の影響を受けるといわれてます。

「斜面」に立っていたり、「強い風」にさらされたりしていた場合には、「負荷のかかった部分」の年輪の幅が「広くなる」とされています。

木は、幹が曲がるような状況では、それを修正しようとする性質があり、そのことによって、「年輪の幅」に差が生じるというわけです。

年輪の幅の違いは、「方角」の影響を受けるというよりも、「負荷のかかり具合」から受ける影響の方が大きい
といわれています。

年輪の幅が広い部分は、その方向から受けた負荷が大きかったという可能性が高く、それが「南の方角」を示しているわけではないということのようです。

「年輪の幅で方角が分かる」といわれることには、科学的な根拠があるわけではないので、森で道に迷ったとき、年輪で方角を知ろうとするのは、やめておいた方が無難なようです。