「30℃の気温」というと、暑い夏場でも、暑さが厳しい「真夏日」の気温ですが、同じ30℃でも、「30℃の風呂」となると、熱さは全く感じないばかりか、ほとんど水風呂状態で「ぬるく」感じます。
「ぬるい」というよりも、「冷たい」といった方がいいかもしれません。
同じ温度の「30℃」でも、「気温」は「暑い」と感じるのに、「風呂」は「ぬるい」と感じるのは、どうしてでしょう。
「熱・冷の感覚」と「熱伝導率」
人が「暑い・寒い」「熱い・冷たい」と感じるのは、単に、温度だけが関係しているというわけではないといわれます。
「熱い・冷たい」の感覚には、「皮膚」と「皮膚に触れたもの」との間の、「熱の伝わりやすさ」が関係しているといわれています。
「物体の熱の伝えやすさの度合い」は「熱伝導率」と呼ばれますが、「空気」は「熱伝導率が低い」ので、体温を外に逃がしにくくなるとされています。
このため、「気温が30℃」であっても、「皮膚の温度」は、体温に近い温度に保たれているというわけです。
一方、「水」は「熱伝導率が高い」ので、体温をどんどん吸収して、ひんやり冷たく感じさせます。
「水の熱伝導率」は「空気の約25倍」もあるといわれます。
このため、「30℃の水」に浸かっていると、「皮膚の温度」が、水温と同じ30℃くらいまで下がって「寒い(冷たい)」と感じるというわけです。
「金属」を触ると冷やりと感じますが、「木材」を触ってもそう感じないのは、金属の熱伝導率が、木材に比べて高いからといえます。
一般的な「サウナ」では、「温度が80℃を超える」ことも珍しくありませんが、これだけの高温でも「やけど」をしないのは、体のまわりに「熱伝導率が低い空気」があるからというのが、その理由です。