「一夜漬けの勉強」で試験を何とか乗り切った、という経験がある人も多いかもしれませんが、一夜漬けの勉強で覚えたことは、試験が終わると忘れてしまうことが多いです。
これは、一夜漬けで覚えた記憶が「短期記憶」だから、というのが理由のようです。
一夜漬けの記憶は、早く失われる
「一夜漬けの勉強」など、必要に迫られて覚えた記憶は、脳の「海馬(かいば)」というところに蓄積されるといわれます。
この記憶は、長く残る記憶ではなく、数日も経てば薄れていって失われてしまう「短期記憶」とされています。
2,3日前の食事のメニューを覚えていないのと同じで、試験のために一夜漬けで覚えた「短期記憶」は、1週間も経てば、ほとんど頭には残っていないというわけです。
記憶の定着
この一夜漬けの記憶を定着させるには、「短期記憶」を「長期記憶」に変える必要があるのだといいます。
記憶は、繰り返し思い出して、整理することで定着していくとされています。
何度も使う暗証番号や、毎日繰り返して勉強した英単語などは、脳の「大脳皮質」で整理されて、長期間保存される「長期記憶」になります。
また、記憶は、「睡眠」によって整理されるともいわれます。
このため、翌日の試験のために「一夜漬け」で勉強したことは、その記憶を定着させて、長期間覚えておくということは、あまり期待できないというわけです。
実際に経験したことがある人も多いかもしれませんが、一夜漬けで勉強したことは、試験が終わってしまえば、多くのことは忘れてしまっていることがほとんどです。
一夜漬けで勉強すれば、試験では、ある程度良い点数がとれるかもしれませんが、本当の意味で、勉強したことが理解できているとは言い難いようです。
入学試験などのように、広範囲にわたる分野を確実に記憶していくためには、やはり、毎日コツコツと勉強を続けることが肝心です。