快眠に欠かせない「トリプトファン」/多く含む食べ物と食事

栄養分子のイメージ

「トリプトファン」は「睡眠」と深い関係があり、快適な睡眠を得るために必要になる代表的な栄養素といわれます。

「トリプトファン」は色々な食べ物に含まれている栄養素ですが、どんな食べ物に多く含まれているのでしょう。

快眠に不可欠な「トリプトファン」

「トリプトファン」は「快適な睡眠」のためには欠かせない栄養素といわれていて、体づくりや活動するためには、不可欠な「必須アミノ酸」の一つといわれます。

睡眠に深く関わる物質に「セロトニン」や「メラトニン」などがありますが、「トリプトファン」はこれらの物質を作る原料になります。

「トリプトファン」自体が睡眠に効果的というわけではありませんが、快眠に不可欠な物質を作る原料になるので、トリプトファンを摂取することが、結果的に快眠につながるというわけです。

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深い眠り

睡眠ホルモンの「メラトニン」は、脳内物質の「セロトニン」が多いほどたくさん分泌されるといわれますが、「セロトニン」を作る原料となるのが「トリプトファン」です。

「トリプトファン(必須アミノ酸)」→「セロトニン(脳内物質)」→「メラトニン(睡眠ホルモン)」

「トリプトファン」をたくさん摂取することで、メラトニンの分泌が多くなり、結果として質の良い深い眠りにつながるというわけです。

良い寝つき

「メラトニン」の分泌が多くなれば、寝つきも良くなるといわれます。

また、「トリプトファン」から作られる脳内物質の「セロトニン」には、興奮した精神を沈静化させる作用があり、眠る前の脳の興奮を抑えて「良い寝つき」につながるといわれます。

ストレスの軽減

「トリプトファン」から作られる「セロトニン」には、強い「抗ストレス作用」があるとされています。

ストレスにさらされても、「セロトニン」が十分に分泌されていれば、ストレスにも強い心を保つことができるといわれます。

「ストレス」は、脳を興奮させて寝つきを悪くしたり、眠りを浅くしたりするなど、快眠を妨げる要因になるといわれますが、「トリプトファン」が十分に摂れていて、「セロトニン」や「メラトニン」が十分であれば、ストレスを軽減して、良質な睡眠につなげることが期待できそうです。

「トリプトファン」を多く含む食べ物

「トリプトファン」は、人間の体内では合成することができない「必須アミノ酸」の一種なので、食事から摂取することが不可欠になります。

「トリプトファン」は「牛乳」に多く含まれているというイメージが強いかもしれませんが、「肉」「魚」「大豆」「緑黄色野菜」など、牛乳以外にも、「トリプトファン」を多く含む食べ物はたくさんあります。

「トリプトファン」は、タンパク質が豊富に含まれる食材に比較的多く含まれているといわれます。

一般的な「トリプトファンの摂取量の目安」は「体重1kg当たり2mg程度」とされています。

「体重60kg」の人で「120mg程度」ということになりますが、不眠などの症状がある場合には、これ以上の摂取が必要だともいわれます。

「トリプトファンを多く含む食品」には、次のようなものがあります。

食べ物100g当たりの「トリプトファン」の含有量

乳類

・牛乳 41mg
・ヨーグルト 47mg
・プロセスチーズ 290mg

肉類

・牛肉(ロース) 160mg
・牛肉(サーロイン) 210mg
・牛肉(レバー) 290mg
・豚肉(ロース) 230mg
・豚肉(レバー) 290mg
・鶏肉(むね) 220mg
・鶏肉(もも) 190mg
・鶏肉(レバー) 270mg

魚介類

・まぐろ赤身 300mg
・あじ 230mg
・いわし 220mg
・かつお 300mg
・さざえ 140mg
・ずわいがに 130mg
・やりいか 140mg
・うに 200mg
・すじこ 330mg

豆類

・大豆 520mg
・あずき 220mg
・インゲン豆 220mg
・納豆 240mg
・豆乳 53mg

野菜類

・ほうれん草 41mg
・ブロッコリー 46mg
・春菊 40mg
・にら 31mg
・にんにく 64mg
・枝豆 150mg

果物類

・バナナ 10mg
・キウイフルーツ 14mg
・アボカド 33mg

種実類

・アーモンド 200mg
・カシューナッツ 360mg
・落花生 270mg
・くるみ 200mg
・ごま 370mg
・ヒマワリの種 300mg

その他

・うどん 71mg
・そば 120mg
・白米 35mg
・卵 180mg
・里芋 34mg
・しいたけ 36mg
・マッシュルーム 36mg

バランスの良い食事で「トリプトファン」を摂取

「トリプトファン」は、「肉類」や「魚介類」に多く含まれているといわれますが、その他にもいろいろな食べ物に含まれています。

「肉類」には比較的多くのトリプトファンが含まれていますが、だからといって、肉類ばかりに偏った食事をしていると、当然のことながら栄養バランスは崩れてしまいます。

1日3食のバランスの良い食事の中で、トリプトファンを多く含んでいる食材を積極的に摂るようにすることが大切です。

「牛乳」や「ヨーグルト」なら、食事のメニューに関係なく、比較的手軽に摂取することができます。

睡眠ホルモンの「メラトニン」のもとになる「セロトニン」を作るには、「トリプトファン」のほかに「ビタミンB6」も必要になります。

「ビタミンB6」は、「にんにく」「牛肉」「鶏肉」「まぐろ」「かつお」「いわし」「鮭」など、おもに「肉類」や「魚類」に多く含まれていますが、野菜にも含有量の多いものもあります。

「トリプトファン」に加えて、「ビタミンB6」を摂取することも意識しておくといいです。

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トリプトファンを豊富に含む「和食」

不眠を解消して深い眠りを得るために重要になる栄養素が「トリプトファン」ですが、この「トリプトファン」を豊富に含む食事が、今世界からも注目を浴びている「和食」です。

最近では、日本の食事も欧米化が進んで、肉類が多く野菜類が少ない料理やファーストフードなどをよく食べるようになりましたが、旧来の和食をベースにした食生活に戻すことが、快眠への第一歩になりそうです。

快眠の鍵を握る「トリプトファン」を「和食」で摂取

「トリプトファン」を多く含む食材には、「肉」「魚」「大豆製品」「乳製品」「ナッツ類」などがありますが、「トリプトファン」から快眠に欠かせない「セロトニン」や「メラトニン」を合成するためには、「ビタミンB6」「マグネシウム」「ナイアシン」なども同時に摂取することが欠かないといわれます。

いくら「トリプトファン」を多く摂取しても、これらの成分が不足していると、睡眠に良い効果がある「セロトニン」や「メラトニン」が十分に合成されないというわけです。

ここで注目されるのが「和食」です。

「一汁一飯三菜」という「伝統的な和食」で、ご飯と味噌汁に、焼き魚などを主菜にして、野菜、海藻、豆類などを使った副菜を二品ほど添えれば、上記の栄養素の大半を摂取することができるといわれます。

「和食」は、「快眠」にとっての優等生というわけです。

ただ、「乳製品」や「ナッツ類」は、和食には取り入れにくい食材でもあるので、これらについては、おやつなどで少量を食べるようにするのもいいかもしれません。

快眠のために大事な「朝食」

「睡眠」との関係で、案外重要になるのが「朝食」といわれます。

「バランスのとれた朝食」を摂ることで、脳に必要な栄養素も補給され、心身ともに活発に活動できる状態になれるといわれます。

ダイエットなどをしていて、朝食を食べないという人もいるようですが、「朝食抜き」は快適な睡眠を妨げて不眠の要因になりかねません。

「朝食」が午前中の活動のエネルギー源になるのはもちろんのことですが、食べることで体温が上昇し、心身共に目覚めさせるという効果もあるといわれています。

人間の体には「体内時計」といわれる機能があり、朝を感じることでそれをリセットし、日中は活発に活動し、夜になると眠気を感じてスムーズ眠れるようになるといわれます。

朝食を抜いてしまうと、この「体内時計」がうまくリセットできず、夜の睡眠にも悪影響を及ぼしてしまうというわけです。

「体内時計」のリセットには、朝に日光を浴びるということも効果的なので、朝起きたら、まずはカーテンを開けて外の景色を眺め、清々しい気分になってから、しっかりと朝食を食べるようにするといいです。

和食の朝食といえば、「焼き魚」や「納豆」などに「味噌汁」というのが定番ですが、これらには「トリプトファン」が豊富に含まれています。

「味噌汁」には「ねぎ」や「麩(ふ)」などのマグネシウムを含む具材を使うようにし、プラス一品として、ビタミンB6を多く含む「卵」を使った料理を加えれば、ほぼ完璧です。

朝、時間がなかったり、食欲がでない時でも、せめて「豆腐」と「ねぎ入りの味噌汁」は口にするようにしたいです。

3食の食事をしっかり食べれば、夕食で食べすぎることも少なくなり、夜の胃の負担も軽減されて、睡眠にも良い影響を与えてくれそうです。

昼食は単品料理より定食を

「昼食」は「外食」になることも多いですが、快眠のためには、ラーメンやカレーライスなどの栄養の偏る「単品料理」はNG。

主菜と副菜でバランスのよい栄養が摂れる「和定食」などがおすすめです。

「さんまの塩焼き定食」で、副菜に「冷奴」や「きんぴらごぼう」などがついていれば、言うことなし。

肉類では、特にレバーに多くの「トリプトファン」が含まれているので、「ニラレバ定食」などはいいかもしれません。

夕食には消化の良いものを

1日3回の食事の中で、快眠と最も関係が深いのが「夕食」ですが、夕食は、消化の良さもポイントになります。

ステーキ、ハム、ソーセージなどの「肉類」は、消化が良いとはいえないので、胃の中に長時間とどまって睡眠を妨げることも少なくないといわれます。

「豪華な肉料理は夕食で」というイメージが強いかもしれませんが、肉類を多く使った料理は、夕食よりも朝食や昼食向きといえそうです。

「夕食」には、脂肪分の少ない白身魚やまぐろの赤身などを主菜にして、食物繊維が少なめで消化の良い大根、にんじんなどの野菜や豆腐などを使った料理を副菜にすれば、必要な栄養が摂れて消化にも良いのでおすすめです。

食事をとるときには、よく噛んで食べるということも意識することも重要です。

リズミカルに噛むことで、脳内のセロトニンの分泌が増えるので、快眠につながりやすくなるといわれます。

食事をするタイミング

「朝食」は、起床してから1時間以内に食べるのがベストといわれています。

起床後に日光を浴びると体内時計がリセットされますが、それからあまり時間をあけずに朝食をとることで、脳と体がうまく連動するようになるからです。

「脂肪」や「たんぱく質」が多く含まれた食品は、消化するのに4時間はかかるとされています。

仕事をしていると、どうしても夕食の時間が遅くなってしまうこともありますが、遅い時間の夕食は快適な睡眠にとってはマイナスになってしまいます。

食べた後すぐに就寝すると、胃に食べ物が残っているので、胃が活発に動いていて、眠ろうとしてもなかなか眠れなくなってしまうといわれます。

夕食は、できれば就寝の4時間前まで、遅くても2時間前までには済ませるようにしたいです。

寝る直前に食事をとると、胃腸が活発に動いて交感神経が活発になるので、スムーズに寝入ることが難しくなるといわれます。

また、血糖値を上げてインスリンを過剰に分泌したり、セロトニンのスムーズな分泌を妨げたりする要因になるともいわれます。

寝る直前の食事は、胃にも脳にも悪影響を及ぼすというわけです。

帰宅が遅くなるような場合には、自宅での夕食にこだわらないというのも一つの方法です。

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快眠に効果のある成分

快適な睡眠のために良いとされている成分には、「トリプトファン」の他にも、「グリシン」「GABA(ギャバ)」「ビタミンB12」「テアニン」などがあります。

これらの成分を多く含んだ食べ物を積極的に食べるようにすることで、不眠の症状が緩和されることもあるといわれます。

トリプトファン

「トリプトファン」は、体内では作り出すことができない「必須アミノ酸」の一つなので、食べ物から摂取する必要があります。

「トリプトファン」は、脳内物質の「セロトニン」を作る原料になりますが、「セロトニン」には気持ちを落ち着かせる作用があり、これが不足すると不眠症になりやすくなるともいわれています。

さらに、「セロトニン」は、快眠には欠かせない睡眠ホルモンの「メラトニン」を作る原料になります。

朝食に「トリプトファン」を多く摂取することが、「寝起き」「寝つき」に良い影響を与えるという実験の結果もあります。

不眠を改善するためには、「トリプトファン」を多く含む食品を、特に「朝食」で摂取することを意識すると良いようです。

グリシン

「グリシン」は、睡眠の質を改善する効果があるとして、近年注目を集めている成分です。

「グリシン」をうまく摂取すれば、不眠の改善につなげることが期待できます。

「グリシン」を摂取することで、深い眠りの「ノンレム睡眠」になるまでの時間が短くなるという研究結果もあります。

「ノンレム睡眠」は、体の疲れを取るためには非常に重要で、「ノンレム睡眠時」には、体内ではたくさんの成長ホルモンが分泌されていて、傷ついた細胞の修復をするなど、疲労回復のために重要な役割を果たしているといわれます。

「グリシン」を摂取することで、効率的にノンレム睡眠をとることが期待できるというのです。

朝起きた時に疲れがとれていなかったり、熟睡感を感じられないような場合には、この成長ホルモンが十分に分泌されていないのかもしれません。

また、「グリシン」には血管を広げ、血流量を増やす効果があるともいわれています。

人は、深部体温が下がると眠気を感じますが、血流量が増えることで身体の表面温度が上がり、体温調整機能で深部体温を下げる方向に働くので、入眠を促す効果があるとされています。

「グリシン」を多く含む食べ物

マグロ、ほたて、車海老、うに、牛肉、豚肉、大豆など

特に、魚介類に豊富に含まれているので、意識的に魚介類を食べるようにしたいです。

GABA(ギャバ)

「GABA」は、脳内に存在する神経伝達物質で、目を覚ます働きをする神経伝達物質を抑制する働きがあるとされています。

「GABA」は、体内で合成できるアミノ酸なので、バランスの良い食事をしていれば、不足することはまずないといわれますが、加齢とともに減少していくともいわれています。

「GABA」が多く含まれている食品としてよく知られているものに「発芽玄米」があります。

「発芽玄米」は、玄米から芽が出たものです。

最近では、「発芽玄米」の健康への効果が注目されるようになり、スーパーなどでもよく見かけるようになりました。

「発芽玄米」には、100g中に10mg程度のGABAが含まれているといわれていますが、これは白米の約10倍の量になります。

1日に10mgのGABAを摂取すれば十分だともいわれているので、ご飯を発芽玄米に変えるだけで、1日に必要な量のGABAが取れるというわけです。

GABAを多く含む食べ物

発芽玄米、漬物、キムチ、チーズ、ヨーグルト、トマト、ジャガイモ、お茶など

ビタミンB12

「ビタミンB12」は、ビタミンの中でも、不眠症を改善する効果が期待されているビタミンといわれます。

「ビタミンB12」には、正常な神経の機能を保つ作用があるといわれています。

神経に働きかけることで、精神を安定させて気分を落ち着かせ、リラックスさせることができるので、不眠にも効果が期待できるというわけです。

さらに、「ビタミンB12」の特徴的な働きとして、体内時計を調整する作用が挙げられています。

就寝・起床のリズムがよく乱れたり、日光をあまり浴びない生活が続いていると、体内時計が狂ってしまい、不眠症になることがありますが、体内時計が調整されれば、不眠症の改善が期待できます。

「ビタミンB12」は、動物性たんぱく質を多く含む食品に比較的多く含まれているといわれますが、バランスの良い食事をしていれば不足することはまずないといわれます。

ただ、ダイエットなどで無理な食事制限をしているような場合には、不足する場合も。

また、高齢の方の場合には、「ビタミンB12」の摂取量は十分でも、体内への吸収率が下がっていて、結果として不足しがちになってしまうこともあるといわれます。

ビタミンB12を多く含む食べ物

しじみ、あさり、さんま、チーズ、牛レバー、豚レバーなど

テアニン

お茶に含まれている成分の「テアニン」には、快眠を助ける効果があるとされています。

「テアニン」には、脳や体をリラックスさせる作用があり、眠る前にテアニンを摂取すれば、寝つきが良くなったり、熟睡感を感じやすくなったりするともいわれています。

「テアニン」を摂取すると、アルファ波が出るということも分かっています。

快眠を助けてくれる「テアニン」は、緑茶、烏龍茶、紅茶などのお茶に含まれていますが、同時にお茶には覚醒の働きがあるカフェインも含まれています。

お茶を飲んでも、カフェインの作用で、睡眠の質が下がってしまうということもあり得るので、「テアニン」の効果を発揮するためには、ノンカフェインのお茶を飲むようにしたいです。

「麦茶」や「ハーブティー」なら、カフェインのことを気にせずテアニンを摂取することができます。

栄養は食事から摂るのが基本

「トリプトファン」を始めとした快眠に効果があるとされる成分に限らず、体に必要な成分は食事から摂るというのが基本中の基本です。

そのためには、「バランスのとれた食事」が何よりも大切になります。

よく、「1日30品目」を目標にと言われたりもしますが、なかなか難しいという人が多いのも実情です。

不眠を感じているような場合は、まずは、食事で上記の成分をしっかり摂るように努力をしてみて、どうしても難しいという場合には、睡眠薬などの薬に頼る前に、次善の策として、サプリメントなどを使ってみて様子を見てみることを考えてみるのもいいかもしれません。

サプリメントなら、薬のように副作用を気にする必要もないので、気分的にも安心して使うことができます。

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