暑い夏場、職場では「暑気払い(しょきばらい)」と称した飲み会がよく行われます。
若い世代の人は、「暑気払い」と言われてもピンとこないかもしれませんが、社会人としては覚えておきたい言葉の一つです。
飲むことが好きな人にとっては、「忘年会」「新年会」「暑気払い」は、1年の三大飲み会と言えるかもしれません。
暑気払いとは、本来どういうもので、時期はいつ頃にするものなのでしょうか。
暑気払い
暑気払いとは、本来は、暑い夏に、体を冷やす効果のある食べ物を食べたり、体を冷やす効能のある薬や漢方を飲んだりして、体に溜まった熱気を取り除くという意味があります。
「暑さをうち払う」ということです。
昔は、暑気払いのために、体を冷ます作用がある「漢方薬」や、枇杷(びわ)や桃の葉を煎じた「薬湯」などを飲んだリもしていたようです。
エアコンもなく、部屋を涼しくするというような、外側から夏の厳しい暑さをしのぐ有効な手段がほとんどなかったので、体の内側から冷やして暑さをしのいでいたということのようです。
エアコンが発達し、昔とは夏の状況が一変した現代では、体を冷ますというような意味合いは薄れて、夏場に飲み会を行う「口実」として、暑気払いという言葉が使われることが多いです。
現代では、「暑気払い=夏の飲み会」と言ってもいいかもしれません。
ちなみに、ビール、清涼飲料水、アイスクリームなどの、夏に売上げが伸びる商品を製造している業界では、「暑気払い」ではなく、「暑気乞い(しょきごい)」「暑気寄せ(しょきよせ)」などという言葉が使われることもあるようです。
暑気払いの時期
暑気払いの時期については、特に決まりがあるわけではありません。
暑気払いの本来の意味が、暑さをうち払うということなので、暑い時期の飲み会なら、暑気払いといって良さそうですが、梅雨が明ける7月上旬頃からお盆に入る8月中旬頃までというのが、暑気払いが行われる一般的な時期のようです。
二十四節気が、暑気払いを行う時期の参考になります。
・夏至(6月21日頃):1年で最も高く太陽が昇る日。夏に至ると書くとおり、夏の始まりです。
・小暑(7月7日頃):梅雨明けが近づき、本格的な暑さが始まります。
・大暑(7月23日頃):梅雨が明けて、1年で最も暑い時期です。
・立秋(8月7日頃):暦の上では秋となり、この日以降は、残暑となります。
・処暑(8月23日頃):暑さがおさまり、朝夕は過ごしやすくなってきます。
暦の上では、本格的な夏の暑さが始まる「小暑」から暑さがおさまる「処暑」までくらいが、暑気払いの時期といったところでしょうか。
ただ、暑さをうち払うという意味からすれば、体感的に暑ければ、残暑が厳しい9月に入ってからの暑気払いもアリかもしれません。
暑気払いにピッタリの飲食物
暑気払いといえば「冷えたビール」というイメージが強いですが、冷えたビール以外にも、暑気払いにピッタリの飲食物があります。
麦(そうめん、冷麦、ビールなど)
旬の食材には、その時々の体調を整えるのに効果があるとされています。
6~7月頃に収穫される麦は、夏の体調管理には欠かせないものとされています。
お中元に、そうめんや冷麦が贈られることも多いですが、これは、麦を原料にしたそうめんや冷麦が、夏バテを防ぐのに効果的だとされているのも理由の一つです。
暑気払いに欠かせないビールも、麦(大麦)が原料になっていて、体を冷やして、利尿作用で不要なものを体外に排出してくれます。
瓜(西瓜、胡瓜、冬瓜、南瓜、苦瓜など)
瓜は、全般的に栄養価が高いので、体力が衰える夏場には、ぴったりの食べ物です。
西瓜(すいか)、胡瓜(きゅうり)、冬瓜(とうがん)、南瓜(かぼちゃ)、苦瓜(にがうり=ゴーヤ)、は、夏が旬の食べ物です。
「西瓜」「胡瓜」は、体の熱を下げて、利尿作用で余分な水分を体外に排出してくれます。
冬まで保存できることからその名がついた「冬瓜」は、昔から暑気払いに効く食べ物として食されていました。
「南瓜」は、糖質が多くて栄養も豊富で、保存性が高い食材で、冬至に食べるという風習もあります。
「苦瓜」は、ビタミンCが豊富なので、夏バテの予防も期待できます。
体のためには、冷やすだけではなく、温めることも大切なので、暑気払いでも、冷たいものだけではなく、温かい料理もあわせて食べるようにしたいですね。
甘酒
甘酒と聞くと、冬のイメージがあるかもしれませんが、甘酒は、夏の季語にもなっているように、夏の飲み物でもあります。
江戸時代には、夏に、井戸水で冷やした甘酒がとても人気があって、暑気払いにも甘酒を飲む習慣があったといわれています。
甘酒は、必須アミノ酸、ビタミン、ブドウ糖、オリゴ糖などが豊富に含まれていて、「飲む点滴」ともいわれるほどの「栄養ドリンク」です。
米を発酵させて作られた発酵食品なので、腸内環境を整える働きもあります。
冬に飲む温かい甘酒はよく知られていますが、夏はには、冷やした甘酒に少量の生姜汁を入れると美味しく飲めます。
甘酒で暑気払いというのも、一風変わっていて面白いかもしれませんね。
暑気払いの場所
暑気払いの場所は、どんな人が参加するのか、参加するメンバーの顔ぶれによって臨機応変に。
暑気払いと言うと、屋外の「ビアガーデン」が一番に思いつくかもしれませんが、屋外の場合はカジュアルな雰囲気になることが多くなります。
同年代の人が中心なら楽しめそうですが、職場の暑気払いで、上司などの年配の人も参加する場合は、屋外の会場は避けた方が無難かもしれません。
周りの人との距離も近くなりがちなので、社内の話題などが話しづらくなることもあります。
特に、会社のお偉方が参加する場合は、屋内の会場で、できれば区切られたスペースが好まれるようです。
狭い店だと、暑気払いのはずが、逆に暑苦しく感じてしまうことにもなりなねないので、ゆったり感のある店を探してみましょう。
忘年会や新年会と同様に、暑気払いの時期も、直前になると場所を確保するのに苦労するので、開催する日時が決まったら、早めに会場を押さえるのもポイントです。
暑気払いの案内
暑気払いの会場が押さえられたら、次は案内を出します。
親しい友達同士なら、簡単なメールや電話で済ませることもできますが、職場のみんなに案内するとなると、そういうわけにもいきません。
職場で暑気払いの案内をする際には、挨拶文は短くして、簡潔な案内にすることが多いようです。
特に、「日時」「場所」については誤りがないように、しっかりと確認しておくことが大切です。
案内では、「開催日時」「開催場所」「会費」「出欠の回答先」「出欠の回答締切」を、はっきりと分かりやすく書いて、案内を受け取った相手が、内容を取り違えないように。
暑気払いの開催について
連日、真夏のような暑さが続いておりますが、この暑さを乗り切るべく、今年も恒例の暑気払いを開催する運びとなりました。
毎日の業務にお忙しいこととは思いますが、楽しいひと時を過ごして鋭気を養うことができれば幸いです。
皆さんのご参加を心よりお待てしています。
記
日時:○月○日(金)19時~
場所:ビアホール△△△(https://○○○○○.com)
住所:新宿区○○ ○丁目○-○
TEL:03-0000-0000
会費:3,000円(当日、会場で徴収させていただきます。)
なお、出欠につきましては、○月○日までに、総務部 田中までご連絡いただきますようお願いいたします。
幹事:総務部 田中
内線:1234
E-mail:tanaka@○○○.co.jp
暑気払いの挨拶
開会の挨拶
暑さを払って元気に夏を乗り切るために行われるのが「暑気払い」なので、暑苦しくて硬い挨拶は、暑気払いにはあまり向かないといえそうです。
内容は硬くなくても、挨拶が長くなると、楽しい飲み会に水を差してしまうので、挨拶はできるだけ短くするようにした方がいいようです。
毎日厳しい暑さが続いていますが、本日は、そんな暑さを吹き飛ばすための暑気払いの会です。
私は、本日の幹事を務めさせていただきます、○○です。どうぞよろしくお願いいたします。
暑気払いには、昔は、漢方や薬湯などが使われたこともあったようですが、現代の私たちの暑気払いと言えば、やはり、目の前に置かれている、よく冷えたビールではないでしょうか。
本日は、この冷えたビールと旬の食材を使った料理を目一杯楽しんでいただいて、明日からの活力にしていただけたら思います。
(乾杯の音頭を別の人に頼む場合)
それでは、○○課の○○さんに、乾杯の音頭をお取りいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
(自分で乾杯の音頭もとる場合は、以下を続けて)
乾杯の挨拶
(乾杯を頼まれた場合)
ご指名をいただきましたので、僭越ながら、乾杯の音頭をとらせていただきます。
(幹事が自分で音頭をとる場合はここから)
皆さん、冷えたビールを目の前にして、すでに喉がなっていることと思いますので、早速乾杯にうつりたいと思います。
グラスの用意はよろしいでしょうか。
それでは、ご唱和をお願いします。
楽しいひと時を過ごして夏の暑さをうち払いましょう。乾杯!
締めの挨拶
宴もたけなわですが、お時間になりましたので、ここでお開きとさせていただきたいと思います。
(締めの挨拶を別の人に頼む場合)
締めのご挨拶を○○課の○○さんにお願いしたいと思います。○○さんよろしくお願いいたします。
ご指名をいただきましたので、締めの音頭をとらせていただきます。
(幹事が自分で締める場合はここから)
今日は、厳しい夏の暑さも忘れるくらい、楽しいひと時を過ごせたのではないかと思います。
それでは、最後は、一本締め(三本締め)で締めたいと思います。
皆さん、お手を拝借。 ヨーォッ、・・・・・。
暑気払いの挨拶は、忘年会や新年会ほど硬くする必要はないといわれています。
夏の暑さを忘れられるような、少し軽めの涼しげな挨拶ができれば最高ですね!