「オートクチュール」と「プレタポルテ」の違いは?

服のコレクションは、いくつかの種類に分類することができますが、世界的に行われているコレクションは、大きく分けて、「オートクチュール」と「プレタポルテ」に分けることができます。

この「オートクチュール」と「プレタポルテ」の違いとは何なのでしょう。

オートクチュール

「オートクチュール(haute-couture)」は、パリの「高級衣装店」、またはそこで作られる「高級仕立服」のことをいいます

ある顧客のために、「クチュリエ(デザイナー)」が、「デザイン」「生地の選別」「仕立て」などをして、全てにおいて最高級の服が「オートクチュール」です。

フランスでは、国家的産業としてファッションを保護・奨励してきた結果、パリにオートクチュールが発展してきたといわれています。

フランス政府の助成を受けている「パリ・クチュール組合(La Chambre Syndicale de la Couture Parisienne)」という組合があります。

この組合に加盟している「メゾン(=オートクチュール店)」だけが「オートクチュール」と呼ばれ、一般の店とは区別されています。

代表的なオートクチュールに
「シャネル」
「イヴ・サン・ローラン」
「クリスチャン・ディオール」
「ピエールカルダン」
「ウンガロ」
などがあります。

オートクチュールの「コレクション」はパリで行われますが、組合の規約には、コレクション開催ための厳しい条件が設けられています。

・アトリエには20人以上のクチュリエがいること
・組合が決めた日程で新作を年に2回パリ・オートクチュール・コレクションで発表すること
などがその条件として定められています。

このコレクションには、「招待客」「バイヤー」「ジャーナリスト」などが多数集まります。

オートクチュールは、その芸術的感覚と高度な技術で、世界のファッション界をリードしているといわれています。

プレタポルテ

一方の「プレタポルテ(pret-a-porter)」は、「すぐに着れる服=既製服」のことをいいます

ただ、日本では「プレタポルテ」を「既製服」と訳さずに、「高級既製服」と訳すことが多いようです。

以前は、既製品という意味を持つ「コンフェクション」という言葉が使われていましたが、これが大量生産された粗悪な安物というニュアンスがあったため、これと区別するために「プレタポルテ」という言葉が生まれたといわれています。

「オートクチュール」が特定の顧客のために服を作るのに対して、
「プレタポルテ」は大衆に向けて服を生産して小売店などで販売することが多いです。

プレタポルテのコレクションは、世界各国で行われていますが、「パリ」「ミラノ」「ロンドン」「ニューヨーク」などのコレクションが有名です。

1960年代から開かれるようになった「パリ・プレタポルテ・コレクション」は、同じくパリで開かれる「オートクチュール・コレクション」よりも規模が大きくなっていて、現在では、「パリコレ」といえば「プレタポルテ・コレクション」を指す場合が多いようです。

まとめ

「オートクチュール」と「プレタポルテ」、どちらも世界的にコレクションが行われていて有名ですが、簡単に言えば、
・「オートクチュール」→「高級なオーダーメイド服」
・「プレタポルテ」→「高級な既製服」
といえそうです。

「オートクチュール専門」だったブランドが、「プレタポルテ」も手掛けることが多くなっています。

「プレタポルテ」を手掛けるようになっても、引き続き「オートクチュール・コレクション」を発表しているのは、そのブランドの品格を保つことが目的の一つにあるともいわれています。