以前は、正月になると正月飾りを付けた車をよく見かけましたが、最近ではあまり見かけなくなりました。
たまに正月飾りをした車を見かけると、昭和世代の人なら、何となく懐かしさを感じたりもします。
最近、あまり車に正月飾りをしなくなったのには、どんな理由があるのでしょう。
また、車に正月飾りをつけるとしたら、どういう付け方で、いつからいつまで付けておけばいいのでしょう。
正月飾り(しめ縄)の意味
正月には、玄関などに「しめ縄」を飾りますが、「しめ縄」は、神様を祀る神聖な場所と俗世(現世)とを隔てる結界になるとされています。
「しめ縄」は、俗世から邪悪なものや災いが入ってこないようにする役目を果たしているというわけです。
神社などでよく目にする「しめ縄」ですが、神様が宿っているとされる巨木や巨岩などにも張られていることがあります。
正月に玄関に「しめ縄」を飾ることで、新年にやってくる「年神様(としがみさま)」を迎えるのにふさわしい場所であるということを示すとともに、外から災いが入ってくることを防ぎ、「家内安全」「無病息災」を願います。
車の正月飾り
車に「正月飾り」を飾るのには、「交通安全」の願いが込められています。
それまでは「家」にだけ飾っていた「正月飾り」を「車」にも飾るようになったのは、家と同様に「車がとても価値のあるもの」だと考えられていたということも、理由の一つになっているようです。
昔は、「車を持っていること」がステイタスになるという時代がありました。
それだけ高い価値のある車だからこそ、家と同じように「正月飾り」を飾っていたというわけです。
また、「船舶」には以前から「しめ縄」を飾る習慣があったので、それが車にも広がっていったという説もあります。
いずれにしても、車に乗っていて起こる「事故や危険から身を守る」という願いが込められているのは間違いないようです。
車に正月飾りを飾る期間
「車の正月飾り」は、「12月25日」から「12月28日」頃までに飾るというのが一般的なようです。
注意するポイントは、「29日」と「31日」に飾るのは「避ける」ということです。
「29日」は「二重苦」「苦松(苦が待つ)」という意味合いがあり、「31日」は「一夜飾り」となり神様に失礼であるというのが、その理由です。
「28日」までに飾ることができなかった場合、飾るのは「30日」に。
車の正月飾りの「取り外し」は、「松の内」の期間が終わる「1月7日頃」が目安とされています。
関西では「15日までが松の内」とされることも多いですが、この場合には「1月15日頃」が目安になります。
車の正月飾りの付け方
車に「正月飾り」を取り付ける際には、「わらの部分」を車体に「ひも」や「結束バンド」などでしっかり固定します。
「針金」や「ワイヤー」などで固定するのは、車体が傷ついてしまうことがあるので避けた方が無難です。
取り付ける「正月飾り」は、できるだけ「シンプル」なものが実用的といえます。
「飾りが多い正月飾り」は、走行中に飾りが破れて飛ばされてしまったりして、見た目にも良くなくなるので、できるだけ「シンプル」なものがいいようです。
車内に取り付け
車の「正月飾り」は、車体のフロントに取り付けるというのが一般的なイメージですが、最近では、車内のダッシュポードに取り付ける「吸盤式の正月飾り」などもあります。
外からは分かりにくいかもしれませんが、風で飛ばされる心配もなく、「新年に交通安全の願いを込める」という意味では、いい方法かもしれません。
少なくなった車の正月飾り
最近では、正月に「正月飾り」をした車を見かけることも、ずいぶん少なくなりました。
はっきりとした原因は定かではありませんが、「車が昔ほど特別なものではなくなった」ということが一因になっているということは、間違いないようです。
昔は、ステイタスさえ感じさせていた「車」ですが、今では「一家に一台」といってもいいくらいに普及し、いわゆる「高級車」を除いては、希少価値はほとんどなくなったといってもいいかもしれません。
車に対する「想い」や「ありがたさ」が薄れてしまったということでしょうか。
また、「車のデザイン化」が進み、「取り付ける場所」自体がなくなってしまったということもあるかもしれません。
以前の車は、バンパーは大きく張り出し、フロントグリルは格子状や網状になっているものがほとんどでしたが、最近の車は、車体とバンパーとが一体化したデザインも多くなり、飾りを付けにくい構造になっているのも確かです。
まとめ
最近は、見かけることも少なくなった「車の正月飾り」。
本来は、俗世から邪悪なものや災いが入ってこないようにする役目を果たす「正月飾り(しめ縄)」ですが、車には「交通安全」の願いを込めて飾られます。
時代の流れとともに、飾られることが少なくなった「車の正月飾り」ですが、新年に新たに交通安全を意識するという意味では、いい風習といえるかもしれません。
フロントグリルに飾ることにこだわらず、車内に飾るようにすれば、手軽に取り付けられるので、そんなに手間もかかりません。
いずれにしても、車を運転する際には「安全運転」を第一に心がけたいですね。