現在、頭痛の診断基準は、100種類以上に細かく分類されているといわれています。
頭痛は単なる症状というわけではなく、れっきとした病気といえそうです。
一時性頭痛と二次性頭痛
「頭痛」を大きく分けると、「一時性頭痛」と「二次性頭痛」に分けることができるといわれます。
「一時性頭痛」は、頭痛自体が治療の対象となるもので、検査をしても病変が見つかることはありません。
「片頭痛」のような慢性の頭痛は、この「一時性頭痛」に分類されていて、正しい対処をすれば、命に関わるようなことはまずないといわれます。
一方の「二次性頭痛」は、何らかの病気が原因になって症状として現れる頭痛です。
「二次性頭痛」は、命に関わるような重大な病気が原因になっている場合もあります。
自分の頭痛が、「一時性頭痛」なのか「二次性頭痛」なのかは、病院で診察を受けてみないと判断することは難しいです。
頭痛が1週間以上も続くようなら、何らかの治療が必要な状態なのかもしれません。
頭痛が続いても「そのうちに治るだろう」と軽く考えていると、取り返しのつかないことになってしまうこともあるので、早めに病院を受診するようにしたいです。
女性に多い「片頭痛」
「片頭痛」は、こめかみの付近がズキンズキンと痛む頭痛です。
「月経の前後」や「排卵期」によく起こる頭痛は、片頭痛の可能性が高いといわれています。
女性は、卵巣から分泌される「女性ホルモン」の影響を強く受けるといわれますが、なかでも卵胞ホルモンの「エストロゲン」は、片頭痛と深い関わりがあるとされています。
片頭痛は、脳の血管が広がってしまい、脳の血管の周りの三叉神経が圧迫されて起こるといわれていますが、これには、脳内物質の「セロトニン」が関係しているといわれています。
「エストロゲン」の分泌量が変動すると、血管内に放出される「セロトニン」の量も不安定になるので、片頭痛を起こしやすくなるというのです。
このため、「女性は、片頭痛が起こりやすい」といわれています。
片頭痛体質の人は、子供の頃から特徴が見られる
「片頭痛」は、「セロトニン」の増減が大きな原因になっていますが、その時、脳は大変な興奮状態にあるといわれています。
刺激を受けると脳の特定の部分が敏感に反応し、その部分的な興奮が脳の広い範囲に広がっていきますが、ある一定の限度を超えたときに片頭痛の痛みとして現れるといわれます。
脳の興奮性が高いと、片頭痛を起こしやすくなるともいわれますが、この脳の興奮性の高さは、子供の頃に際立った特徴が見られるといわれています。
子供の頃に、
・よく腹痛を起こす。
・緊張が解けてホッとした時に吐くことがある。
・乗り物酔いしやすい。
・めまいを感じやすい。
などの症状が見られる場合には、「その人の脳の興奮性が高い」ことを表しているといわれています。
子供の頃に、このような特徴が見られる場合は、片頭痛を起こしやすい体質なのかもしれません。
生活を工夫することで、片頭痛を予防・改善する
片頭痛をはじめとする慢性的な頭痛は、生活を工夫することで、頭痛の予防や改善につなげることができるといわれています。
「片頭痛」は「変化に敏感な頭痛」「変化に弱い頭痛」なので、極端に変化が大きい生活を避けるようにすることで、ある程度予防することができるといわれます。
とはいっても、生活のリズムが乱れることはよくあることですし、女性は「月経」を避けることはできません。
生活上の工夫としては、脳の血管の拡張につながるような「強いストレスからの開放」「寝すぎ」「空腹」などの危険因子や、脳の興奮を高めるような「光」「音」「におい」などの危険因子を遠ざけるようにすることが、片頭痛の予防・改善につながるといわれます。
複数の危険因子が重なることで、片頭痛が起きる可能性が格段に高くなるともいわれているので、少しでも危険要因を遠ざけることが重要になります。
年齢とともに変化する片頭痛
片頭痛は、年齢とともに、その現れ方が変化していくといわれています。
小児期
片頭痛は、遺伝的な要素が大きいとされていますが、母親が片頭痛体質だと、その子供の70%以上が片頭痛体質だといわれています。
小児期には、「片頭痛」というよりも「腹痛」「めまい」「嘔吐」「乗り物酔い」というような症状が現れやすいといわれます。
思春期
脳の興奮性の高さが、片頭痛となって現れ始める時期が思春期です。
特に、女子の場合は、初潮を迎える頃から片頭痛が起こることが多くなるといわれています。
青年期、壮年期
青年期、壮年期になると、脳の興奮性の高さが、本格的な片頭痛として現れるようになり、こめかみ付近に「ズキンズキン」と脈打つような片頭痛が起こるようになるといわれます。
「片頭痛の男女比」は「男:女 ≒ 1:4」 と、圧倒的に女性の方が多いといわれています。
また、「30代の女性」では「約2割の人が片頭痛の症状がある」ともいわれています。
更年期以降
更年期を過ぎると、次第に片頭痛は起こりにくくなっていくといわれますが、その一方で、「耳鳴り」「めまい」「不眠」「イライラ感」に悩まされることが多くなるといわれます。
片頭痛の症状がみられる場合もありますが、はっきりとした発作というような現れ方ではなく、「ダラダラと続く慢性的な頭痛」として現れることが多いといわれます。
まとめ
片頭痛は、男性よりも女性に起こることが多く、その現れ方も年齢によって変化していくとされています。
片頭痛は、脳の興奮を高めるような「光」「音」「におい」などを遠ざけたり、脳の血管の拡張につながる「寝すぎ」や「空腹」を避けるようにするなど、普段の生活の仕方を工夫することで、ある程度予防することも可能になるといわれます。
それぞれの年代の片頭痛の特徴をよく理解しておいて、うまく対処するようにしたいです。