将棋の女流タイトル戦に序列はある?賞金とその方式は?

女流将棋

一般的に将棋のタイトル戦といえば、竜王戦、名人戦、叡王戦、王位戦、王座戦、棋王戦、王将戦、棋聖戦の八つのタイトル戦ですが、将棋のタイトル戦には、女性に特化した女流棋士のタイトル戦があります。
 
これまで、女流棋士のタイトル戦は「マイナビ女子オープン」「リコー杯女流王座戦」「岡田美術館杯女流名人戦」「霧島酒造杯女流王将戦」「女流王位戦」「大山名人杯倉敷藤花戦」の六つでしたが、2019年度から新たなタイトル戦「ヒューリック杯清麗戦」が開催されるようになったので、女流棋士のタイトル戦は、全部で七つになっています。
 
これら将棋の女流タイトル戦の序列や賞金、対戦の方式などはどうなっているのでしょう。
 
また、一般の将棋タイトルのように、永世称号もあるのでしょうか。

女流棋士のタイトル戦

ヒューリック杯 清麗戦

ヒューリック杯清麗戦は、2019年度から開催されるようになった、ヒューリック株式会社と日本将棋連盟が主催する将棋の女流タイトル戦です。
 
優勝賞金が700万円で、七つのタイトル戦の中で最も高額となっていて、女流タイトル戦の中では序列1位とされています。

タイトル戦の方式

「予選トーナメント」、予選トーナメントの敗者が参加する「再挑戦トーナメント」、予選を勝ち抜いた者が参加する「本線」で挑戦者を決定し、選ばれた挑戦者が「清麗」と五番勝負を行い、勝者が新たな清麗となります。
 
ちなみに、清麗という名称は、「清く麗しいという女性らしい華やかさ」を現しているとされています。

マイナビ女子オープン

マイナビ女子オープンは、株式会社マイナビと日本将棋連盟が主催する将棋の女流タイトル戦です。
 
2008年度から開催されているタイトル戦で、優勝賞金は500万円。
 
比較的新しいタイトル戦ですが、将棋の女流タイトル戦での序列としては、後述のリコー杯女流王座戦と並んで、序列2位とされています。

タイトル戦の方式

予備予選の「チャレンジマッチ」、チャレンジマッチを免除された者、2級以上の女性奨励会員、チャレンジマッチ通過者が参加する「予選トーナメント」、予選を勝ち抜いた者と本戦シード者が参加する「本線トーナメント」で挑戦者を決定し、選ばれた挑戦者が「女王」と五番勝負を行い、勝者が新たな女王となります

リコー杯 女流王座戦

リコー杯女流王座戦は、株式会社リコーが主催し、株式会社日本経済新聞社が特別協力する将棋の女流タイトル戦です。
 
2011年度から開催されているタイトル戦で、優勝賞金は500万円。
 
ヒューリック杯清麗戦に次いで新しいタイトル戦です。
 
将棋の女流タイトル戦での序列としては、前述のマイナビ女子オープンと並んで、序列2位とされています。

タイトル戦の方式

女性奨励会員以外の女性アマチュア選手が参加する「アマチュア予選」、シード者以外の女流棋士、女性奨励会員、海外出場枠選手、アマチュア予選通過者が参加するトーナメント方式の「1次予選」、前期ベスト8進出者と1次予選通過者が参加する「2次予選」、予選を勝ち抜いた者と本戦シード者が参加する「本戦トーナメント」で挑戦者を決定。
 
選ばれた挑戦者が「女流王座」と五番勝負を行い、勝者が新たな「女流王座」となります。

岡田美術館杯 女流名人戦

岡田美術館杯女流名人戦は、株式会社報知新聞社が主催し、株式会社ユニバーサルエンターテイメントが特別協賛する将棋の女流タイトル戦です。
 
賞金は、公表されていません。
 
1974年度から開催されているタイトル戦で、女流タイトル戦の中で最も歴史のあるタイトル戦です。

タイトル戦の方式

女流棋士が参加するトーナメント方式の「予選」、シード者6名と予選通過者4名の計10名による総当たりの「リーグ戦」で挑戦者を決定。
 
リーグ戦の優勝者が挑戦者となり、「女流名人」と五番勝負を行い、勝者が新たな「女流名人」となります。

女流王位戦

女流王位戦は、北海道新聞社・中日新聞社・西日本新聞社の新聞三社連合、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会が主催する将棋の女流タイトル戦です。
 
1990年度から開催されている女流タイトル戦で、賞金は公表されていません。

タイトル戦の方式

現役女流棋士が参加するトーナメント方式による「予選」、予選通過者とシード者が紅白の2グループに分かれて行う総当たりの「リーグ戦」、紅白リーグ戦優勝者同士が対局する「挑戦者決定戦」で挑戦者を決定。
 
挑戦者決定戦の勝者が挑戦者となり、「女流王位」と五番勝負を行い、勝者が新たな「女流王位」となります。

霧島酒造杯 女流王将戦

霧島酒造杯女流王将戦は、株式会社囲碁将棋チャンネルが主催し、霧島酒造株式会社が協賛する将棋の女流タイトル戦です。
 
賞金は、公表されていません。
 
1978年度から開催されているタイトル戦で、岡田美術館杯女流名人戦に次いで歴史のある女流タイトル戦です。

タイトル戦の方式

現役女流棋士と主催者推薦を受けた女流アマチュア選手が参加する「予選」、予選通過者とシード者のトーナメント戦の「本戦」で挑戦者を決定。
 
本戦の優勝者が挑戦者となり、「女流王将」と三番勝負を行い、勝者が新たな「女流王将」となります。

大山名人杯 倉敷藤花戦

大山名人杯倉敷藤花戦は、倉敷市・倉敷市文化振興財団・山陽新聞社が主催する将棋の女流タイトル戦です。
 
賞金は、公表されていません。
 
岡山県倉敷市出身の大山康晴十五世名人の功績を称えて創設されたタイトル戦で、1993年度から開催されています。

タイトル戦の方式

現役の全女流棋士と主催者推薦の研修会に所属していないアマチュア選手による「挑戦者決定トーナメント」で挑戦者を決定します。
 
他のタイトル戦のような「予選」はなく、シード者は2回戦からの出場となります。
 
挑戦者決定トーナメントの優勝者が挑戦者となり、「倉敷藤花」と三番勝負を行い、勝者が新たな「倉敷藤花」となります。

女流タイトルの序列

女流タイトルの序列も、一般の将棋タイトル同様、賞金額で決まると思われますが、女流タイトルの序列といえば、一般的には次のように捉えられているようです。
 
「清麗」>「女王」・「女流王座」>「女流名人」>「女流王位」>「女流王将」>「倉敷藤花」
 
ちなみに、日本将棋連盟のホームページでの女流タイトル戦の記載順も、上記と同じ順番になっています。

女流タイトルの永世称号

一般の将棋タイトルと同じように、女流タイトルにも永世称号があります。
 
女流タイトルでは「永世」という呼び名のほか、「クイーン」という呼び名が使われています。

各タイトル戦の永世称号

・ヒューリック杯 清麗戦:「クイーン清麗」(要件:清麗を通算5期獲得)

・マイナビ女子オープン:「永世女王」(要件:女王を連続5期獲得または通算7期獲得)

・リコー杯 女流王座戦:「クイーン王座」(要件:女流王座を通算5期獲得)

・岡田美術館杯 女流名人戦:「クイーン名人」(要件:女流名人を通算5期獲得)

・女流王位戦:「クイーン王位」(要件:女流王位を通算5期獲得)

・霧島酒造杯 女流王将戦:「クイーン王将」(要件:女流王将を通算5期獲得)

・大山名人杯 倉敷藤花戦:「クイーン倉敷藤花」(要件:倉敷藤花を通算5期獲得)
 
永世称号の要件は、マイナビ女子オープンの永世女王以外は、すべて「通算5期獲得」となっています。
 
永世女王のハードルの高さが際立っている印象です。