火星が「赤く見える」理由は?

火星は、多くの惑星の中でも、比較的、地球から近い距離にあるので、肉眼で見ることができます。

肉眼で見える火星は、赤、オレンジ、黄色など、「赤っぽい色」に見えます。

古来から、赤く見える火星は、「火」をイメージさせる星ということから、「火星」という名がつけられたともいわれます。

「火星」は英語で「マーズ(Mars)」といいますが、これは、ローマ神話の軍神「マーズ」に由来するもので、火星の赤い色が戦火を連想させたからだといわれています。

「赤サビ」の色

火星の表面には、明るい赤い色の箇所と、色がはっきりしない暗い箇所とがありますが、7割程度の箇所が「赤い色」に見えるといわれます。

しかし、「火星」がどうして「赤い色」に見えるのかについては、長い間謎につつまれていました。

それが、1976年(昭和51年)に、アメリカの惑星探査機・バイキングが火星に着陸したことで、その謎が解き明かされました。

バイキングによって、火星の「土壌調査」が行われた結果、火星の大地は「岩」と「砂」に覆われていて、それらの「岩」や「砂」は鉄の「酸化物」である、ということが判明しました。

「酸化物」とは、わかりやすくいえば「赤サビ」のようなものです。

この、火星の表面を覆っている「酸化物(赤サビ)」によって「火星は赤く見えていた」というわけです。

もともと、土壌に多く含まれていた鉄分が、風化によって酸化していったと考えられています。

その後も探査が行われていて、火星には、ごく薄い大気があることも判っていますが、その9割以上は、二酸化炭素であるといわれています。

火星の表面の温度は、夏で-60℃前後、冬で-120℃前後。

また、かつての火星には、多くの水が存在していたであろうことや、今でも水が存在していることなども判ってきています。

赤く見える「火の星」である「火星」は、遠い昔には、ひょっとすると、豊富な水をたたえた美しい「水の星」であったのかもしれません。