日本で古くから使われていた「尺(しゃく)」や「貫(かん)」などの「尺貫法」(昭和33年(1958年)に廃止)の単位は、今ではほとんど使われなくなっています。
唯一、今でもよく使われるものに不動産の「坪(つぼ)」がありますが、これも正式には認められていなくて、契約書などでは「平方メートル」が使われます。
しかし、真珠の取引に限っては、「尺貫法」に由来する「匁(もんめ)」が公式の単位として使われています。
この「匁(もんめ)」という単位、どれ位の重さで、また、どのような経緯で「真珠の取引の単位」に使われるようになったのでしょう。
真珠の国際共通単位「匁(もんめ)」
「1匁」は「3.75g」。
これは、5円玉と同じ重さで、同じく尺貫法の単位だった「貫(かん)」の1000分の1にあたる重さです。
当初は、1文銭の重さに等しかったことから「文目」とされていましたが、明治に入ってから「匁」の字が使われるようになりました。
「匁」は、「文」と「メ」を組み合わせた形ともいわれます。
真珠の国際取引に「匁」が使われているのは、「日本が真珠の養殖を世界で初めて実用化した国」というのがその理由とされています。
株式会社ミキモトの創業者である御木本幸吉氏が、1893年に世界で初めて「真珠の養殖」に成功し、日本が世界の真珠取引の中心としての役割を果たすようになります。
その結果、当時の日本の重さの単位である「匁」が、真珠の国際共通単位となっていったといわれます。
アルファベットでは「momme」と表記し、「mom」と略して使われます。
日本の計量法では、ひらがなで「もんめ」とするのが正しいとされています。
ダイヤモンドの大きさを「Carat(カラット)」で表すのと同じように、真珠の単位「もんめ(momme)」は世界中で使われています。
国際舞台で活躍する「もんめ(momme)」は、日本の真珠の素晴らしさの象徴であるといえるのかもしれません。