「車は、左側」、「人は、右側」。
広く知られている日本の交通ルールですが、車が「左側通行」するということについて、何か理由があるのでしょうか。
世界に目を向けてみると、このルールは各国に共通のものというわけではありませんでした。
車は右側通行が主流
多くの国では、「車は右側通行」というルールが採用されていて、「車が左側通行」というのは、日本をはじめ「イギリス」「インド」「オーストラリア」など、世界の「4分の1程度」の国でしか採用されていないといわれています。
映画などで車が右側を走っている場面を見ると、何となく違和感を感じることもあります。
「左側通行」と「武士」の関係
日本で車が左側通行になったのには、「武士が左側を歩いていた」ということが関係しているといわれています。
江戸時代以前の刀を持った武士がいた時代には、「交通ルール」というようなものはありませんでしたが、大抵は「道の左側」を歩いていたといいます。
武士は左腰に刀を差していて、何かが起こった時には、右手で刀を抜いて斬り会うというのが一般的でした。
武士同士が右側を歩いていると、すれ違う際に左腰に差している刀がぶつかりやすく、トラブルの原因になりやすかったともいわれます。
また、急に襲われた場合なども、右側がふさがっていてはすぐに刀を抜くことが難しくなります。
これらの事情などもあり、武士たちは自然と左側を歩くようになったといわれています。
それに倣って、荷車なども左側を通行するようになっていったといわれます。
明治時代に規則に定められる
左側通行の習慣は明治に入ってからも続いていきますが、明治22年(1889年)には「人力車営業取締規則」で「人力車や馬車がすれ違う際には左側に避けるように」と定められます。
その後、明治33年(1900年)には「車も人も左側を通行する」ことになります。
このルールは戦後まで続くことになりますが、車が増えて道路状況が変わってきた昭和24年(1949年)には「道路交通取締法」の一部が改正されて、「歩行者は右側通行」となります。
これが「現在の日本の交通規則の基」になっているとされています。
車の左側通行に関しては、武士の「帯刀」という習慣が、現在の交通規則にまで影響を及ぼしていたということのようです。