現在、日本には、6種類の硬貨(1円、5円、10円、50円、100円、500円)がありますが、このうち、「5円玉」と「50円玉」の2種類の硬貨には、穴が開いています。
穴が開いた硬貨というのは、世界的に見ても珍しいようですが、どうして、「5円玉」と「50円玉」には、穴が開いているのでしょう。
この2種類の硬貨に、穴が開いているのには、3つの理由があるとされています。
5円玉と50円玉に穴が開いている理由
他の硬貨との区別
第一の理由は、「他の硬貨と区別するため」。
5円玉も50円玉も、当初は、穴は開いていませんでした。
5円玉が発行されたのは、1948年(昭和23年)ですが、この時、いっしょに、1円玉も発行されています。
しかし、どちらも黄銅製で、サイズも重さもほぼ同じだったので、見分けがつきにくかったため、翌年、5円玉に穴が開けられたといわれます。
一方、50円玉は、1959年(昭和34年)に、100円玉と50円玉のデザインが変更される際、それぞれの模様が、似たものになったので、こちらも、区別しやすくするために、50円玉に穴が開けられたといわれています。
材料の節約
第二の理由は、「材料を節約するため」。
硬貨に、穴が開いている場合と、開いていない場合とを比べると、5円玉では、1枚当たり0.2g、50円玉では、0.15gの材料を、減らすことができるといいます。
2014年(平成26年)には、5円玉が約8,700万枚、50円玉が約750万枚発行されていますが、これらに、穴を開けることで節約できた材料の量は、5円玉で約17,400kg、50円玉で約1,125kgにもなったといわれています。
相当な量の材料が、節約できているというわけです。
偽造防止
そして、第三の理由は、「偽造防止のため」。
硬貨の中央に穴をあけるのには、相当高度な技術が必要だといわれます。
高度な技術を使うことで、簡単に偽造できないようにしているというわけです。
ここにも、日本の技術力が光っています。
硬貨の小さな穴にも、いろいろな理由が秘められていました。