受験の際には、志望校に合格できるかどうかを判断するため、「偏差値」がとても気になります。
予備校などの模擬試験では、「偏差値」を基にして、合格可能性のA判定、B判定などの判定がされます。
「偏差値」は、今の自分の学力が全体のどのあたりの位置なのかということを、相対的に把握することができる数値ですが、個人で知ることができるデータだけでは計算することができないことが多く、自分で計算するのは難しいというイメージがあります。
自分で計算するのは難しいと思われている「偏差値」ですが、実は、比較的簡単に求める方法があります。
偏差値
正確な「偏差値」は、「(自分の得点 – 平均点)÷ 標準偏差 × 10 + 50 」という計算式で求めることができます。
この計算式に当てはめれば、簡単に「偏差値」を求められそうにも思いますが、「標準偏差」などというものは、受験生が簡単に知ることはできません。
「標準偏差」とは、得点の散らばり具合を表す数値ですが、この標準偏差という言葉が計算式の中に含まれているだけで、「偏差値なんて自分では求められない」と思ってしまうかもしれません。
しかし、「標準偏差」を使わなくても、簡単に「偏差値」が計算できる方法があります。
簡単な偏差値の出し方
正確な「偏差値」からは少しの誤差がでますが、平均点さえ分かれば、簡単な計算式に当てはめるだけで、テストでのおおよその「偏差値」を出すことができます。
その計算式とは「(自分の得点 – 平均点)÷ 2 + 50」という、簡単な計算式です。
例えば、自分の得点が72点で、全体の平均点が60点の場合は、
(72 – 60)÷ 2 + 50 = 56 となって
「偏差値」は「56」となります。
平均点さえ分かれば、この計算式でおおよその「偏差値」が求められますが、この計算式で求めた「偏差値」は、平均点から離れるほど、正確さは低くなっていきます。
偏差値で分かるおおよその順位
「偏差値」が分かれば、おおよその順位を知ることができます。
得点が正規分布であると仮定すれば、それぞれの「偏差値」での順位は次のようになります。
偏差値 上位からの%
75 0.6%
70 2%
65 7%
60 16%
55 31%
50 50%
45 69%
40 84%
35 93%
30 98%
25 99.4%
偏差値はその集団での相対的位置を表す
「偏差値」は、その集団の中で自分がどの位置にいるかを示す数値です。
「その集団の中での位置」というのがポイントで、例えば「偏差値50」であれば、その集団の中間にいるということですが、超エリート高校のテストでの「偏差値50」と、一般的な高校のテストでの「偏差値50」とでは、その人の学力という意味では、全くレベルの違うものになります。
仮に、その高校が超エリート高校で、半数以上の生徒が毎年東京大学に合格しているとすれば、その高校で「偏差値50」の生徒は、東京大学に合格する可能性が非常に高いですが、一般的な高校での「偏差値50」の生徒が東京大学に合格する可能性は、ほとんど0に近いといえます。
それぞれの予備校から出る合格判定(A判定、B判定など)の偏差値のラインが異なっているのも、模擬試験を受けている生徒の集団が異なっているからです。
X予備校の「偏差値60」と、Y予備校の「偏差値60」とでは、学力という意味では必ずしも同レベルというわけではありません。
レベルの高い予備校の模試では、自分の偏差値は低くなる傾向があり、レベルの低い予備校の模試では、自分の偏差値は高くなる傾向があります。
定期テストでの偏差値
学校の定期テストでは、それぞれのクラスによって平均点が異なりますが、同じ得点をとっても、平均点の高いクラスでは偏差値が低くなり、平均点が低いクラスでは偏差値は高くなります。
このため、自分のクラスでの偏差値だけではなく、学年全体での偏差値を計算してみて、自分の位置を把握することが大切です。
ただ、自分の学校のテストでの偏差値は、上記の方法で比較的簡単に求めることができますが、その偏差値を市販されている予備校の合格基準の偏差値に当てはめても、きちんとした判断はできません。
偏差値は、あくまでもその集団の中での位置を示すものなので、異なる集団の偏差値を判断の基準にすると、誤った判断をすることにつながってしまうので、注意が必要です。
受験に当たっての「偏差値」は、実際に模擬試験などを受験してみないと分からないといえます。
自分の学力を相対的に把握するためにも、定期的に模擬試験を受けるようにするといいです。