最近では、コンパクトな雛人形を飾ることが多くなっているようですが、自分が子供の頃に飾ってもらっていた7段の雛飾りを今度は自分の子供に飾ってあげるという機会もあるかもしれません。
しかし、実際に七段の雛飾りを組み立てて飾ろうと思っても、意外に難しいかったり、どう飾ったらいいのか分からないことも。
どの階段に何を飾ればいいのか、それぞれの人形にはどんな意味があるのかなど、自分が子供の頃には気にすることがなかったことも、改めて考えてみてみると、ほとんどが分からないことばかりです。
雛飾り 七段飾りの飾り方
雛飾り(一段目)
雛飾りの一段目には、お内裏様の男雛を向かって左側に、女雛を向かって右側に飾ります。
ただし、古来からの古典的な並べ方の「京雛」の場合は、向かって右側が男雛、左側が女雛。
男雛の冠には「纓(えい)」を被せ、右手には「笏(しゃく)」を持たせ、左の腰には「太刀」を装備します。
女雛の手には、「檜扇(ひおうぎ)」を開いた状態で持たせます。
雛飾り(二段目)
雛飾りの二段目には、「三人官女」を飾ります。
三人官女は、座っている官女が一人の場合と、立っている官女が一人の場合があるので、一人だけ姿勢が違うものを中央に置くようにします。
三人官女には、左の官女に「加銚子(くわえのちょうし)」、中央の官女に「三方(さんぼう)」、右の官女に「長柄銚子(ながえのちょうし)」を持たせます。
官女の間には「高坏」を置いて、その上に「桜餅」などの和菓子をお供えしておきます。
雛飾り(三段目)
雛飾りの三段目には、「五人囃子」を並べます。
五人囃子は左から「太鼓」「大皮鼓」「小鼓」「笛」「謡い手」の順に並べます。
それぞれの持ち物もあるので、間違えないように。
雛飾り(四段目)
雛飾りの四段目には、「随身(ずいじん)」を並べます。
随身は「左大臣」と「右大臣」の二人を並べるのですが、ひげを生やしている年配の方が左大臣で、若い方が右大臣です。
向かって右側に左大臣、左側に右大臣を並べます。
右側に左大臣、左側に右大臣と少しややこしいですが、間違えないように。
また、冠や巻纓などを飾り付け、背負い矢と左手に弓、右手には矢を羽根が下になった状態で持たせます。
雛飾り(五段目)
雛飾りの五段目には、「仕丁(じちょう)」を並べます。
「右手を上げている人形」を向かって左側、「左手を上げている人形」を右側に、「両手共下げている人形」は中央に置きます。
左側の人形には「台笠」、右側の人形には「立傘」、中央の人形には「沓台」を持たせます。
雛飾り(六段目・七段目)
雛飾りの六段目と七段目には、「道具」を並べていきます。
「食器」「化粧道具」「箪笥」などは六段目に、「御駕籠」「御所車」「重箱」などは七段目に置くことが多いです。
「橘」は向かって左側、「桜」は右側に置くようにします。
それぞれの道具の置き方は、明確に決められているわけではないので、バランスが良くなるように並べていけばOKです。
スチール製の骨組みと木製の骨組み
昔の七段の雛飾りは、骨組みが「スチール製」のものが多いです。
雛人形を飾る際には、まず土台となる階段を作ってから人形を飾っていきますが、骨組みがスチール製のものは組み立てが結構面倒です。
これに対して「木製」の骨組みのものは、そんなに組み立てが難しくなく、商品によってはかなり簡単に組み立てられるものもあります。
これから七段の雛飾りの購入を検討する場合は、組み立てのことを考えると「木製」の骨組みのものがいいかもしれません。
ただ、木製の骨組みの雛飾りの場合は、スチール製のものに比べると大きさが一回り小さくなることがあるので、大きく豪華に見える雛飾りを希望する場合には「スチール製」の方がいいかもしれません。
雛飾り 七段飾りの意味
古来から「七」は、縁起の良い数字とされています。
雛飾りの「七段飾り」は、江戸時代以降の一般的な段飾りとしては最も壮麗な飾りとされていて、別名「十五人飾り」とも呼ばれています。
内裏様(男雛・女雛)
七段飾りの一段目は、内裏様で、正式には「男雛(おびな)」、「女雛(めびな)」と呼ばれます。
女雛は袴をはいて、着物を何枚も重ねた通称「十二単(じゅうにひとえ)」を着ています。
三人官女
二段目は、内裏様に仕えてお世話をする侍女の「三人官女」で、和歌や漢文のたしなみがあるとされています。
左右の官女が持つ銚子は、現在でも結婚式の三三九度で使われています。
五人囃子
三段目は、能楽の囃子方(はやしかた)をかたどった子供姿の「五人囃子(ごにんばやし)」で、楽器や謡などの腕前を披露しています。
元気な子に育つようにと応援する音楽隊とされています。
随臣
四段目は、お殿様を守る「随臣(ずいじん)」で、左大臣と右大臣がいます。
悪者が近寄ってこないように守ってくれる、今でいうSPのような存在です。
仕丁
五段目は、内裏様のお供をしたり、掃除などの雑用をしたりする従者の「仕丁(じちょう)」です。
泣き上戸、笑い上戸、怒り上戸で知られる表情豊かな三人上戸は、子供が表情豊かに育つようにという願いが込められています。