「ポン酢」の「ポン」とは、どういう意味?

湯豆腐、水炊き、しゃぶしゃぶ、ちり鍋など、寒い季節の鍋料理には、「ポン酢」が欠かせません。

「ポン酢」は、醤油に、だいだいやすだちなどの柑橘類の酸味をきかせた、日本特有の調味料で、素材の味を引き立ててくれます。

この「ポン酢」の「ポン」とは、何のことなのでしょう。

「米酢」「リンゴ酢」「バルサミコ酢」など、他の酢の名前には、原材料の名前がついているので、「ポン」も原料の名前ということなのでしょうか。

「ポン」のつく柑橘類というと、「ポンカン」が頭に浮かびますが、ポンカンが語源というわけではないようです。

オランダ語の「ポンス(pons)」に由来

「ポン酢」というユニークな名前は、オランダ語に由来するといわれています。

オランダでは、柑橘類のしぼり汁のことを「ポンス(pons)」と呼びますが、この「ポンス」の「ス」に「酢」をあてて、「ポン酢」になったといわれています。

「ポン」+「酢」→「ポン酢」ではなく、「ポンス」→「ポン酢」というわけです。

「ポン」に、何か特別な意味があるというわけではありません。

柑橘系の果汁の「ポンス」は、オランダでは、日本の「ポン酢」とはまったく違った使われ方をしていて、食前に、アルコールや砂糖を加えて温めて飲まれているといわれます。

この「ポンス」が、江戸時代に、オランダから日本に伝わってきました。

当初は、オランダと同じように、食前酒として飲んでいたようですが、日本には、食前酒の習慣がなかったので、定着しなかったといわれています。

「ポンス」をアレンジ

「ポンス」が伝わると、日本では、柑橘類の果汁のことを、「ポンス」と呼ぶようになります。

果汁は、生のままでは日持ちしないので、お酢を入れて、保存性を高めるようになりますが、「ポンス」の「ス」に「酢」を当てて、「ポン酢」となったといわれます。

現在では、「ポンス」に「醤油」を混ぜた「ポン酢醤油」が、一般的に「ポン酢」と呼ばれることが多いです。

お酢が入っていない柑橘系の果汁」は、「生ポン酢」と呼ばれることもあります。

「ポン酢」は、「ポンス」をアレンジした、日本独特の調味料ということでした。