日本人のことを「邦人」というのはどうして?

海外で日本人が事故などに巻き込まれたときには、新聞記事などで「邦人〇〇名が重軽傷」などと掲載されているのを、よく目にすることがあります。

どうして「日本人」ではなく「邦人」と書かれているのでしょう。

邦人

「邦人」には、「海外にいる日本人」という意味があるとされていて、スペースに制限のある新聞の見出し欄などでは、字数を抑えるために「邦人」という表現が使われることが多いといわれます。

このため、特にスペースに制限がないインターネット上の記事などでは、「現地の日本人」というような表現もよく使われるといいます。

しかし、「邦人」の本来の意味は、「海外にいる日本人」というわけではありません。

日本人=邦人

「邦」を「くに」と読むように、「邦人」は、元々は「自国の人(=日本人)」を指す言葉だったといいます。

外国に「いる」「いない」には関係なく、日本人はみんな「邦人」だということです。

日本の映画を「邦画」、日本の音楽を「邦楽」というように、「邦」には、「外国にいる」というような、限定的な意味が含まれているわけではないというわけです。

それが、「外国にいる日本人」という意味合いで使われるようになったのは、外務省が行っていた「海外在留邦人の人数調査」という調査が関係しているといわれています。

この調査では、「邦人」が「海外在留邦人」の略として使われていたといわれますが、これが一つのきっかけとなり、次第に、今のように「外国にいる日本人」という意味で使われるようになったといわれています。

元々は、「外国にいる」という限定的な意味はなかった「邦」ですが、
今では、「邦人」といえば「外国にいる日本人」という意味に捉えられるというのが、一般的といえそうです。