「冠婚葬祭」という言葉あります。
日常生活の中でもよく使われる言葉で、四つの意味が含まれているということは何となく分かりますが、それぞれが何を意味しているかということは、はっきりとは分かりにくいです。
「婚」は結婚に関すること、「葬」は葬式に関することということで分かりやすいですが、「冠」と「祭」は何を意味しているのでしょう。
冠婚葬祭
「冠婚葬祭」は、古来から重要とされている人生において行う、さまざまな通過儀礼といえます。
人生の節目に行われるもので、元は、儒教の影響を受けているともいわれています。
具体的にいうと、冠は「元服」、婚は「婚礼」、葬は「葬式」、祭「先祖」に関する儀礼ということになりますが、ただ、元服と聞いても、現在ではほとんど使われない言葉なので、どういうことを指しているのかも分からないですし、先祖と言われても、先祖の何に対しての儀礼なのか、はっきりとは分かりません。
「冠」と「祭」について、詳しく見てみます。
「冠」の意味
ずっと以前は、男子が15歳前後になると、成人の儀式として「元服」という儀式が行われていました。
元服の「元」は「頭」、「服」は「着る」ということを表し、「元服」とは「頭に冠をいただく」という意味があるとされています。
「頭に冠をいただく」元服は、成人する際の儀式でした。
「冠婚葬祭」の「冠」は、この「元服」のことを指していて、現在でいえば、成人の儀式である「成人式」を指すといえます。
平成12年(2000年)にハッピマンデー制度により、「成人の日」は1月の第2月曜日になりましたが、それ以前は、元服が行われることが多かった1月15日が成人の日であったということからも、「冠」=「元服」=「成人式」といえそうです。
お祝いの儀式
「冠」は、もともとは「元服」「成人」というような意味合いでしたが、現在の冠婚葬祭の「冠」には、成人以外にも、以下のような人生の節目のお祝いなどが含まれるとされています。
・誕生
・お宮参り
・初節句
・七五三
・入学
・卒業
・就職
・長寿祝い など
「祭」の意味
もともと「祭」は、先祖を祭ったり、供養したりするという意味合いだったといわれます。
正月、盆、彼岸など、先祖に関わることが「祭」の主な行事でしたが、長い月日が経過していく中で、先祖に関わる行事以外の季節ごとの行事なども「祭」の行事として定着していったとされています。
季節ごとの行事
先祖を祭るということが中心だった「祭」の行事ですが、現在一般的に行われている年中行事的な行事も含めた「祭」としての行事には、次のようなものがあります。
・正月
・節分
・節句(桃の節句、端午の節句)
・七夕
・盆
・彼岸
・法事 など
まとめ
「冠婚葬祭」には、めでたい行事(慶事)と、お悔やみの行事(弔事)とがあります。
「冠・婚・祭」は慶事で、「葬」は弔事です。
また、冠婚葬祭の「婚」と「葬」は、婚=婚姻、葬=葬儀と、対象が限定されているため、接する機会がない年もありますが、「冠」と「祭」は、対象となる行事が多いので、接する機会も多くなります。
特に「祭」は、毎年の年中行事といえる行事が多く含まれているので、毎年必ず接する馴染み深い行事だといえます。
人生の節目のお祝いや季節の行事も多く含まれている冠婚葬祭は、特に意識しなくても、自然に行っている、生活の中に溶け込んだ行事も多いです。