キャンプなど郊外でのレジャーを楽しむときに気になるのが、アブやブヨなどの害虫です。
刺されると腫れや強いかゆみが生じるので、せっかくのレジャーも楽しさが半減してしまいます。
アブとブヨの違いはどこにあり、刺された時にはどんな症状が現れ、対処はどうすればいいのでしょうか。
アブとブヨの違い
アブもブヨもハエの仲間ですが、大きさにかなりの違いがあります。
双方を比べると、アブの方が大きくて、ブヨは小さいです。
アブ
アブは、ハエ目ハエ亜目に分類される昆虫で、体長が2~3cm程度あり、「ハチに似た風貌を持つハエのような虫」と形容されることもあります。
川や田んぼなどに多く生息していて、活動するのは7月~9月頃が中心で、特に早朝や夕方頃に活発に動き回るといわれています。
基本的に、吸血するのはメスだけで、牛や豚などの家畜の血を好んで吸うとされていますが、人間の血も吸います。
アブは、蚊のように針を刺して吸血するのではなく、皮膚を切り裂くようにして出血させて、その血を吸うことで吸血します。
「刺す」というよりは「咬む」といった感じかもしれません。
アブに刺された瞬間にチクッとした痛みを感じるのは、皮膚が切り裂かれた時に感じる痛みというわけです。
一般的に、アブに刺されると強いかゆみを感じますが、アレルギーがある場合には、化膿して水ぶくれができることもあるといわれています。
人間にとっては害虫と考えられることが多いアブですが、他の虫を積極的に捕食するので、益虫としての側面も持っているともいえます。
アブに刺された時の対処
アブに刺された時には、皮膚が切り裂かれた状態になっているので、傷口を手当てしておくことが大切です。
まずは、患部を水できれいに洗い流し、その後、止血や殺菌などの処置をして、傷口を水や氷などで冷やすようにします。
冷やすことでかゆみも治まり、腫れが酷くなるのを抑えることができます。
冷やした後は、抗ヒスタミン剤などの薬を塗っておくことも大切です。
アブに刺された当初は、チクッとした痛みを感じるだけですが、その後、かゆみや腫れが2週間以上続くこともあり、また、傷口からばい菌が入ってきて、二次感染症に悩まされることもあります。
アブに刺された際には、適切な対処をしておくことが大切です。
ブヨ
ブヨは、ハエ目カ亜目ブユ科に分類される昆虫で、体長は2mm程度の小さな虫です。
小さい虫なのでなかなか見つけにくいですが、活動する期間は3月~9月と、アブに比べると大分長くなります。
涼しい時間帯に、森林や川沿いなどを中心に活動するといわれています。
ブヨも、吸血するのは基本的にはメスだけですが、アブ同様、皮膚を咬み切ってそこから出血した血を吸うので、見た目にもよくわかるくらいの傷口が残ります。
ブヨの唾液には、酵素毒と呼ばれる毒素が含まれていて、この毒素が少量でも体内に入ると、傷口は腫れあがってしまいます。
ブヨに刺された後の痛みやかゆみは、刺された時に注入された唾液に対するアレルギー反応と毒素の浸透のために起こるとされています。
多数の箇所を咬まれると、頭痛や発熱などの身体的な症状が現れたり、酷い場合には呼吸困難に陥ることもあるといわれています。
ブヨに刺された際の症状は、「ブヨ刺症」「ブヨ刺咬症」などという医学的な病名もつけられていて、血を吸われた直後にはかゆみなどの症状はそれ程なくても、数時間から2~3日が経過すると、患部が赤く腫れて、強いかゆみや疼痛、発熱などの症状が現れてきます。
体質や刺された部位などによっては、腫れが1ヵ月以上治らないこともあります。
また、強いかゆみのために傷口を引っ掻いたりなどすると、傷口が広がってばい菌が入りやすくなったり、毒素がリンパ節にまで広がっていったりすることもあるといわれているので注意が必要です。
一般的に、アブとブヨを比べると、ブヨに刺された時の方が、かゆみや腫れが強いといわれています。
ブヨに刺された時の対処
ブヨに刺されると毒素が注入されるので、まずは刺された箇所から毒素を出してしまうことが大切です。
その際、口で毒素を吸い出さないように注意する必要があります。
口の中に傷などがある場合には、そこから毒素が侵入してしまう可能性があるからです。
傷口を圧迫したり、ポイズンリムーバーを使ったりなどして、速やかに毒を体外に出してしまいます。
時間が経過するほど、毒素がどんどん体内に侵入していくので、ブヨに刺されたことがわかったら、速やかに対応することが大切です。
ブヨに刺されると、強いかゆみが生じるので、毒素を出してしまったら、かゆみを防ぐために、抗ヒスタミン成分が入った薬を塗っておきましょう。
強いかゆみがあると、激しく掻きむしってしまい、炎症が慢性化した状態(結節性痒疹(けっせつせいようしん))になってしまうこともあります。
結節性痒疹になると、治療してもかゆみや炎症が長く続いてしまうので、ブヨに刺された箇所には、薬を塗った後に絆創膏を貼るなどして、掻きむしるのを防ぐことも重要なポイントになります。
まとめ
アブやブヨに刺されないようにするためには、一般的な虫除けスプレー等では効果が薄いといわれているので、アブやブヨ専用のものを使うようにしましょう。
虫除けスプレーだけではなく、長袖や長ズボンを着用するなどして、素肌を露出させないということも重要な対策になります。
対策してもアブやブヨに刺されて吸血されてしまった場合には、まずは、傷口から毒素を出してしまうことが大切です。
また、強いかゆみのために患部を掻きむしってしまうと、さらに症状を悪化させてしまうことになるので、抗ヒスタミン剤などの薬を塗ったり、絆創膏を貼ったりするなどして、傷口を触らないようにすることも、早く治るようにするためには大切なことです。
まずは、アブやブヨに刺されないように対策をして、それでも刺されてしまったら、速やかに適切な処置をするように心がけましょう。