マグロやカツオは「赤身魚」で、タイやヒラメは「白身魚」です。
「赤身魚」と「白身魚」の厳密な基準はありませんが、一般的には、「見た目の色の違い」で区別されるといわれています。
ただし、「色味」だけで区別するのが難しい場合には、「色素」が、判断材料になるといわれます。
「筋肉の色」が「身の色」に影響
「赤身魚」には「遅筋(ちきん)」という筋肉が多く、
「白身魚」には「速筋(そっきん)」という筋肉が多い
といわれています。
「遅筋」は、筋肉の縮み方がゆっくりとした筋肉とされています。
「遅筋」は「赤い色」をしていますが、これは「ミオグロビン」という「たんぱく質」が多く含まれているからだとされています。
「ミオグロビン」には「酸素を供給する働き」があるとされていますが、遅筋は、酸素を取り入れながら動き、魚の「持久力」のもとになるといわれます。
マグロやカツオが、外海を泳ぎ回ることができるのも、「遅筋」が多く「持久力」があるからだとされています。
一方の「速筋」は、筋肉中のグリコーゲンを分解して動くとされています。
速筋の多い魚は、「瞬発力」があるので、エサを獲ったり、敵から逃げたりするのには、都合がいいですが、持久力には欠けるといわれています。
「速筋」には、ミオグロビンがあまり含まれていないので、「白っぽい色」をしているとされます。
白身魚の鮭の身の赤さには、エサが影響
「鮭」は「身が赤い」ので、「赤身魚」のようにも思えますが、実は「白身魚」だといいます。
「鮭の身」は「オレンジがかった赤色」をしていますが、それは、遅筋に多く含まれている「ミオグロビン」の赤色ではないのだといいます。
鮭は「エサ」として、「プランクトン」や「エビ類」を食べますが、そこに含まれている「アスタキサンチン」の「赤い色素」が蓄積されて、身が「赤色」になっているとされています。
鮭の卵の「イクラ」が赤色をしているのも、この「アスタキサンチン」の「赤い色素」によるものだといわれています。
「アスタキサンチン」には「強い抗酸化作用」があり、その抗酸化力は、ビタミンCの3,000倍、ビタミンEの1,000倍あるともいわれています。
鮭は一旦海に出て、再び流れの急な川を上ってきますが、この激しい運動の際の「活性酸素」から身を守るため、「強い抗酸化作用」がある「アスタキサンチン」を大量にため込んでいるとされています。
「産卵が近づいた鮭」は、エサを食べなくなって、アスタキサンチンの量も少なくなっていきますが、この時期には、身の色が、次第に白くなっていくといわれています。
このことは、「鮭が白身魚である」という、一つの証拠になるといえそうです。
ちなみに、「ブリ」や「カンパチ」は、身の色は白く見えますが「赤身魚」とされています。