ウミガメが「産卵のときに涙を流す」理由は?

ウミガメが卵を産む姿を、実際に見る機会はほとんどありませんが、テレビなどでは、「ウミガメが、砂浜で目からポロリと涙を流しながら産卵する」という感動的なシーンが伝えられたりします。

苦しみに耐えるかのような、ウミガメの産卵では、一回に、200個前後の卵が産まれるといわれています。

「ウミガメが卵を産む姿」を「人間の出産」と重ね合わせて、「出産時の痛さのために、涙を流している」と思っている人も多いようですが、実際のところは、どうなのでしょう。

涙で塩分を排出

ウミガメは、「お産の苦しみで涙を流している」わけでも、「子供が誕生したことに感極まって泣いている」わけでもないといわれます。

ウミガメが流しているのは、「涙」ではなく、ただの「粘液」だといわれています。

ウミガメが「エサ」を食べるときには、海水もいっしょに、体内に取り入れられます。

そのため、血液中にたまった「余分な塩分」を、「粘液」として目から体外に「流し出している」のだというのです。

この粘液の塩分濃度は「9%程度」といわれ、「海水の約3倍」もの濃度だといわれます。

「粘液」は、ウミガメが砂浜にいる間に「眼球が乾くのを防ぐ」役割も果たしているとされています。

ウミガメが涙を流すのは、生きていくための、大切な機能だったというわけです。

台風の予知能力?

「夏場」に産卵するウミガメは、波打ち際から少し離れた、海水が来ないところで産卵するのが一般的ですが、稀に、波打ち際よりかなり離れた場所で産卵する場合があるといいます。

ウミガメの卵がふ化するまでの期間は、約60日程度とされますが、波打ち際から遠く離れた場所で産卵したときには、卵がふ化するまでに「台風が来ることが多い」といわれています。

台風が来ることを察知して、卵を「安全な場所」に産んでおくのではないかと考える人もいるようです。

子供を守るために、ウミガメには「台風の予知能力」が備わっているのかもしれません。