体の調子が悪くなって、お医者さんに診てもらったときに、「背中をトントン」とたたかれることがあります。
「問診」や「聴診器」での診察は、「診てもらっている」という実感がありますが、背中をトントンとたたくことで、体のどんなことが分かるのでしょう。
「打診法」という診察法
背中をたたくのは、「打診法」と呼ばれる診察法で、体を軽くたたいたときの「音響の違い」で、体の「組織」や「臓器」の異常を感じ取るという「診察法」とされています。
「打診法」は、オーストリアのJ・L・アウエンブルッガーという医師が考案した診察法とされています。
彼の父親が、「酒樽」をトントンとたたいたときの音で、酒樽の中の「酒の量」を確認していることにヒントを得て考案した診察法といわれています。
豊富な経験が必要な「打診法」
「打診法」では、「体が正常なときの音」がよく分かっていないと、「異常があるときの音」を聞き分けることはできません。
このため、「経験が豊富」な医師でないと、打診法で「体の異常」を見抜くことは難しいといわれています。
微妙な音の違いに気づくことができれば、「肺炎」や「心臓肥大」はもちろん、「ガン」の発見ができることもあるといわれます。
正に「職人技」ともいえる診察法が、「打診法」といえます。
最近では、「レントゲン」「CT」「MRI」など、医療機器もどんどん進化してしているので、以前と比べると、打診法だけで病気を判断する医師は、かなり少なくなっているといわれています。
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医療に限らず、「音」で見えないものを判断するということは、世の中では、結構あることです。
例えば、スイカの味を判断する際に、「スイカをトントンとたたいてみる」というのは、よく見かける光景です。
経験豊富な果物屋さんなら、かなり高い確率で「美味しいスイカ」を見分けることができます。
これも一種の「打診法」といえそうです。