スキージャンプの「K点」の意味は?

冬季オリンピックなどの人気種目の一つ「スキーのジャンプ競技」。

スキーのジャンプ競技をテレビで観ていると、「K点を超える大きなジャンプです!」という実況を耳にすることがあります。

「K点」の意味は分からなくても、それを超えるようなジャンプは、おそらくすごいジャンプなんだろうということは、何となく分かります。

スキーのジャンプ競技の「K点」には、どんな意味があるのでしょう。

スキージャンプの「K点」

スキージャンプの「K点」は、名付けられた当初は「そこを超えない方がいいライン」という意味だったといわれます。

元々「K点」は、ジャンプ台の設計上、それ以上遠くに飛ぶと危険とされる地点だったとされています。

「K点」「極限点」とも呼ばれ、「極限」を意味するドイツ語の「Kritisch」の頭文字をとって「K点」と呼ばれていたといいます。

「K点」は「極限点」→「基準点」へ

ジャンプの記録がどんどん伸びるようになると、1996年にジャンプ競技の国際ルールが改定されます。

遠くへ飛ぶための技術が年々進歩していき、それに対応して、着地をより安全なものとするため、スキーのジャンプ競技場も「大型化」していったとされます。

新しいルールでは、「建設基準」という意味のドイツ語「Konstruktion」が使われますが、その頭文字も同じ「K」だったために、それまでとは意味が変わっても「K点」という呼び名は、そのまま残ることになりました。

2代目となる「現在のK点」は、ドイツ語の「建築基準点(Konstruktionspunkt)」の略で、ジャンプ競技場の「構造基準値」という意味とされています。

その結果、一流選手にとって「K点」は単なる「基準点」となり、目標とするような「限界点」ではなくなってしまったといわれています。

現在では、それ以上遠くに飛ぶと危険とされる地点(極限点)は、「K点」ではなく「ヒルサイズ(Hill Sise = HS)」に変わっているといえます。

「K点」から「ヒルサイズ」に

スキーのジャンプ競技場で有名な札幌大倉山では、「HS=134メートル、K点=120メートル」となっていて、「安全」と「危険」の境界点は「k点」ではなく「ヒルサイズ(HS)」だといわれます。

今では「K点越えのジャンプ」は「基準を超えたジャンプ」という程度の意味で、「極限点」は、その先のヒルサイズにあるといえます。

現在のスキージャンプ競技で、驚くような「大ジャンプ」といえるのは、「K点越え」から「ヒルサイズ越え」に変わったといえそうです。

実際の試合で、ヒルサイズを越えるジャンプが続くと、競技の安全に配慮して、審判が競技を続行するかどうかの協議を行うといわれます。

ちなみに、スキージャンプの着地では、スキーを前後にずらして深く膝を曲げる「テレマーク姿勢」がよいとされていますが、
この「テレマーク」とは、何かのマークというわけではなく、この技術が発達したノルウェーの「テレマーク地方」にその名の由来があるとされています。