「人の噂も75日」ということわざがあります。
「どんなに悪い噂でも、75日も経てば忘れられてしまう」という意味のことわざです。
この他にも、
「嫁も姑も75日」
「初物75日」
「産後の汚れは75日」
「世の取り沙汰も75日」
など、「75日」が使われた表現が多くありますが、どうして「75日」なのでしょう。
「75日」には、何か特別な意味があるのでしょうか。
「二十四節気」の「一節気」
太陰太陽暦には、「二十四節気」というものがあり、「1年の長さ」を「24等分」して、各点を太陽が通過するときの時候を表す名称をつけて、これを「二十四節気」と称していました。
これによると、「二十四節気」のうちの「一節気」は、概ね「15日」(356日÷24)ということになり、「1ヵ月」は「二節気」で「30日」(15日×2)、「75日」は「15日×5」で「五節気分」ということになります。
この「五」は、「手の指の本数」を表していて、「全体」という意味があるといいます。
節気(15日)が五回過ぎていけば、気候もすっかり変わり、起こった出来事も終結に向かっていき、「75日」経てば噂もなくなってしまうと考えられていたというわけです。
「作物の収穫サイクル」説
「作物の収穫サイクル」から、「75日」という日数がでてきたという説もあります。
作物の「種まき」から「収穫」までの期間が「75日」程度なので、これくらいの日数がたてば、噂への興味もなくなり収まっていくだろうという考え方です。
ちなみに、「人の噂も75日」に似た英語の表現に、「A wonder lasts but nine days」というものがあります。
直訳すると「驚きは、9日しか続かない」となります。
日本の「75日」と比べると、「9日」とずいぶん短いですが、これは、「農耕民族の日本人」と「狩猟民族の英語圏の人」との気質の違いなのかもしれません。