同じ「かいせきりょうり」と発音する「会席料理」と「懐石料理」。
どちらも「品数が多い贅沢な料理」というイメージがありますが、これら二つの料理にはどんな違いがあるのでしょう。
会席料理
「会席料理」は、江戸時代に「連歌」や「俳諧」の会席で出されていた料理ですが、時代が経つにつれて、「宴席で出される料理」という意味で使われるようになっていったといわれています。
現在では、「会席料理」は「本膳料理を簡略化した宴席での上等な料理」とされていて、本膳料理に次ぐ「正式な日本料理」とされています。
「本膳料理」とは、室町から江戸時代に武家の供応料理として普及した伝統的な日本料理で、一人分の料理を五つ膳に組んで出される料理です。
「本膳料理の膳組」の「一の膳」が「本膳」で「飯」と「汁」が主体になっていますが、現在の「会席料理」は、酒の肴としての料理が主体になった「宴席料理」なので、お酒と合わせて「前菜」「煮物」「焼物」「刺身」などが先に出され、「ご飯」と「汁物」は最後になるのが一般的といわれます。
一品ずつ出されることが多いですが、最初から並べられている場合もあります。
「旅館」や「料亭」などで出される「日本料理」は、ほとんどがこの「会席料理」となっています。
懐石料理
一方の「懐石料理」は、「茶の湯」に出されていた食事です。
空腹で濃い茶を飲むのは体によくないという理由から、先に出された「軽い食事」です。
その昔、禅僧が寒さと空腹をしのぐために、温めた「石」を「懐」に入れていたことから、「懐石」という名がついたといわれています。
元来の「懐石料理」は、焼き物を中心とした「一汁三菜」が基本の「簡素な食事」で、「作法」や「食器」などには一定の決まりがあったとされます。
しかし、料理店で出されるようになると、次第に品数が増していき、また、いろいろな趣向も凝らされるようになり、次第に「贅沢な料理」というイメージが定着していったといわれます。
「懐石料理」には「会席料理」ほどの賑やかさはなく、どちらかといえば、懐石料理は「落ち着いてゆっくり食べる料理」といえるかもしれません。
一般的に、「ご飯」や「汁物」の後に「お酒」が出されるので、懐石料理は「お酒が苦手な人」にも食べやすい料理といえそうです。
「会席料理」と区別するために「茶懐石」と呼ばれることもありますが、本来「懐石」には「料理」という意味合いが含まれているので、「懐石料理」ではなく「懐石」が正しいともいわれます。
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一言で言えば、
・お酒をおいしく飲むための「宴会の席」での料理が「会席料理」
・お茶をおいしく飲むための「茶会の席」での料理が「懐石料理」
といえそうです。