受験シーズンが本格化してくると、睡眠時間を削ってでも勉強をするという受験生も珍しくありません。
以前は「四当五落(よんとうごらく)」といって、睡眠時間4時間で頑張って勉強すれば合格し、睡眠時間を5時間とると不合格になるといわれていた時代もありました。
長い時間勉強することが良いとされ、睡眠時間を削ってでも猛勉強するがもてはやされていた時代です。
しかし、現在では、こんなことはほとんどいわれなくなっています。
受験生の睡眠時間
受験生が効率的に勉強をするためには、十分な睡眠時間が欠かせないということは認識されていますが、それでは「受験生は何時間の睡眠時間をとればいいのか?」「受験生の理想的な睡眠時間は何時間なのか?」ということに対して、明確に答えることは難しいです。
受験というと、勉強時間のことばかりが気になって、睡眠時間のことまで気がまわらないということが多いかもしれませんが、実は、受験生にとって睡眠時間をしっかりと確保することは、勉強時間を確保するのと同じくらい大切なことです。
中学生や高校生が、高校受験や大学受験で最大限の実力を発揮できるようにするため、受験シーズンには、何時間くらいの睡眠時間をとるのがベストなのでしょう。
受験生の平均睡眠時間
受験シーズンを迎えた中学生や高校生は、学校で勉強するのはもちろん、学校が終わってからも塾で勉強、家でも勉強と、勉強漬けになることも少なくありません。
睡眠時間を削ってでも勉強するというイメージもある受験生ですが、そんな受験生を対象に睡眠時間の調査をした結果があります。
それによると、受験生で一番多かった睡眠時間が「5~6時間」で、全体の約4割を占めています。
次いで多かったのが、「6~7時間」の睡眠時間で、こちらは約3割です。
ちなみに、浪人生になると5時間以下の睡眠という人が3割以上もいたといいます。
ただ、睡眠時間を削って勉強したとしても、疲労がたまったり脳の整理ができなかったりするので、「効率的に勉強する」ということを考えると、短い睡眠時間で受験勉強するというのは、あまり効率的ではないといえます。
受験生の理想的な睡眠時間
高校受験を控えた中学生、大学受験を控えた高校生は、まだまだ成長途上にあるので、「7~8時間」の睡眠時間を確保するのが理想とされています。
受験期間は、毎日5時間程度の睡眠で頑張っているという受験生も少なくないかもしれませんが、記憶の定着のことや受験までの期間が長いことなどを考えると、どんなに少なくても「6時間」の睡眠時間は確保するようにした方が良いといわれます。
5時間睡眠で頑張っていて、なんとなく体調が思わしくないとか、なかなか勉強の効率が上がらないなどと感じた時には、睡眠時間のことも考えてみるといいです。
例え受験期であっても、睡眠時間を削って、夜遅くまで勉強することを続けるのは、得策とは言えません。
最低でも6時間の睡眠時間を確保することを考えると、できれば夜の12時までには就寝するようにした方が良さそうです。
記憶の整理
睡眠は、疲労を回復させるという役割もありますが、記憶を整理するという役割もあるといわれています。
頑張って受験勉強をしても、十分に睡眠をとらないと記憶が整理されず、勉強したことも定着しないというわけです。
やみくもに睡眠時間を減らして勉強しても、効率の面では疑問符がついてしまいます。
また、受験シーズンの寒い冬の時期には、風邪も引きやすいですが、十分に睡眠をとることで体の免疫力を保ちストレスを解消することもできるので、受験前だからこそ7時間前後、最低でも6時間の十分な睡眠をとることが重要だといえそうです。
6時間の睡眠時間を確保し、勉強時間も確保
受験生の場合、平日で4~5時間、休日には7~8時間程度の勉強時間は確保したいものですが、6時間の睡眠時間をとってこれだけの勉強時間を確保するのは少し難しいかもしれません。
こんな時には、朝早く起きて、まず1時間程度の勉強をするのも、一つの方法です。
朝に勉強をすることで、夜更かししないで4~5時間の勉強時間を確保しやすくなります。
大切なのは、十分に睡眠時間をとった上で勉強時間を確保することです。
睡眠不足が続くと勉強効率がダウン
普段なら、睡眠が不足していると眠気を感じてそのまま寝てしますが、受験生の場合は、眠さを我慢して睡眠時間を削って勉強を続けるということもよくあります。
短期間なら、多少無理をしても大丈夫かもしれませんが、そのような無理が続くと、心身にいろいろな問題やひずみが生じてしまいます。
受験勉強をしていて睡眠時間が不足してしまうと、頭がうまく働かなくなってしまいます。
そうなると、睡眠を削って勉強をしても、疲れが蓄積して、結局は勉強の効率がダウンすることにもなりかねません。
睡眠時間を削って勉強するのはマイナス効果
受験生が睡眠時間を削って一生懸命に勉強することは「美徳」とされる風潮もありますが、これはよくない風潮といえそうです。
夜遅くまで勉強していると「頑張って勉強している」という満足感があるかもしれませんが、長期的にみると、よい勉強方法とはいえません。
夜遅くまで勉強をして、翌日いつもと同じ時間に起きると、眠気を感じてしまい、覚醒レベルが下がってしまうことも少なくありません。
そのような状態で一日を過ごし、また同じように夜遅くまで勉強をしても、記憶の整理も十分行われず、せっかく勉強したことも脳内に定着しにくくなっているかもしれません。
睡眠時間を削ることが続くと、心身の疲れやストレスが累積していき、うつのような状態になって、勉強する意欲が湧かなくなってしまうということもあるかもしれません。
また、体の免疫力が低下して、風邪や感染症などにもかかりやすくなってしまうかもしれません。
受験生は成長期
勉強したことを記憶に定着させるためには、最低でも6時間程度の睡眠時間が必要といわれています。
健康のことを考えるのなら、7時間程度の睡眠時間が理想に近いかもしれません。
特に、高校受験、大学受験を控えている受験生は成長期にあるので、この時期に寝不足の状態が続くと、成長ホルモンの分泌量が低下してしまい、体に悪影響を及ぼすことにもなりかねません。
受験の際に、睡眠時間を削ってまで受験勉強を続けていくということは避けた方が無難なようです。
睡眠時間以外の時間を削る
勉強時間は、長ければいいというものでもありません。
勉強する時間を制限することで、適度な緊張感が生まれ、短時間でも効率的に勉強できるようになるともいわれます。
受験生は、睡眠時間を削ることを考えるのではなく、その他の時間、例えばテレビを観ている時間やゲームをしている時間などを削ることを、まず考えた方が良さそうです。
十分な睡眠時間を確保することのメリット
睡眠時間を削ることにはデメリットが多いですが、逆に、十分に睡眠時間を確保した場合には、次のようなメリットがあるともいわれます。
・脳が高いレベルで働くようになる。
・勉強したことが記憶に定着しやすくなる。
・たまったストレスを解消できる。
・体の免疫力を高める。
十分な睡眠をとれば、脳も休まって、脳の機能を高いレベルで維持することできるようになります。
また、眠気を感じることもないので覚醒レベルが上がり、集中力や思考力もアップして効果的に勉強することができるようにもなります。
睡眠中には、脳で記憶の整理が行われるので、勉強したことが長期の記憶として定着しやすくなるともいわれます。
その他、十分な睡眠時間をとることで、受験勉強でたまったストレスを解消したり、体の免疫力が高まって風邪や病気にかかるリスクが低くなるという効果も期待できます。
受験生は、十分な睡眠時間を取ることが不可欠といえそうです。
睡眠のためのルーティン行動
受験生でも、最低6時間程度の睡眠時間を確保したいものですが、いつも6時間の睡眠がとれるとは限りません。
できれば、夜の12時までに床に就くのが理想的ですが、どうしても眠くならないこともあります。
そんな時には、「ルーティン行動」を取り入れてみるといいかもしれません。
「〇〇をすれば眠くなる」とか「寝る前には必ず〇〇をする」というものです。
「寝る前に静かな音楽を聴く」「寝室はほのかなアロマの香りにする」など、自分が眠気を感じやすくなる手順などを整理してプロセス化してみましょう。
例えば、幼い子供に寝る前に行う「絵本の読み聞かせ」は、睡眠に関するルーティン行動の一種です。
「親の声が子供の精神状態を落ち着かせる」とされていて、この読み聞かせが質の良い睡眠を導くのに役立っているというわけです。
ちなみに、良質な睡眠を得られやすくする1日の行動としては、次のようなことが挙げられます。
・起床後に朝日を浴びる。(体内時計のリセット)
・朝食を食べて体を目覚めさせる。
・日中は少しでも屋外に出て運動をする。
・夕食は就寝の3時間前までには済ませる。
・就寝の1~2時間くらい前に入浴する。
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受験生も健康が第一です。
十分な睡眠時間をとり、効率的に受験勉強を頑張って、うれしい春を迎えたいですね。