むずむず脚症候群は、一般的にはあまり知られていないかもしれませんが、日本人の3~4%程度の人に、この症状が見られるといわれています。
むずむず脚症候群は、「レストレスレッグス症候群」「下肢静止不能症候群」と呼ばれることもありますが、症状があってもそのまま放っておく人が多いようです。
むずむず脚症候群の症状
むずむず脚症候群では、脚がむずむずしたりかゆくなったりして、じっとしていられなくなり、とにかく脚を動かしたくなるといいます。
むずむず感やかゆみは、脚の表面ではなく内部に生じるのが特徴で、「虫が脚の中を這っているような感覚」と表現されることもあります。
動かずにじっとしているとその感覚が続くので、足を動かしたいという衝動にかられ、脚を動かすことで症状がやわらいだり無くなったりするといわれますが、夕方から夜にかけて、特に就寝前に起こることが多く、むずむず感やかゆみのために十分に眠ることができず、睡眠不足になってしまうことも少なくないといわれています。
また、就寝中には、脚が無意識にピクピクと動く「周期性四肢運動」を伴うことも多く、睡眠不足に拍車をかけ、日中に眠気や疲労を感じて、日常生活に支障をきたすこともあるといわれます。
むずむず脚症候群の原因
むずむず脚症候群のはっりとした原因は分かっていないようですが、次のようなことが原因として考えられています。
・遺伝的な要素
・神経伝達物質「ドーパミン」の働きの低下
・脊髄、末梢神経の異常
・鉄分の不足
この中で、普段の生活に最も関係が深いのが「鉄分の不足」です。
食生活の乱れなどによって、鉄分が不足している人や、鉄欠乏性貧血の人が増えてきているといわれています。
知らず知らずのうちに不足してしまいがちな鉄分ですが、鉄分が不足すると、顔色が悪くなるほか、貧血、立ちくらみ、肌荒れ、ニキビ、巻き爪、喉の痛み、イライラ感、倦怠感などの症状が現れるといわれています。
むずむず脚症候群に関わらず、このような症状が見られる場合には、鉄分不足の可能性が高いと考えられます。
むずむず脚症候群はどんな人に多い?
日本人の3~4%程度の人が、むずむず脚症候群であるといわれていますが、女性が男性の約1.5倍程度と多く、年齢別では、年齢が高くなるほど増加する傾向にあり、40代以上になると急激に増加するといわれています。
数としては多くありませんが、小学生以下でもむずむず脚症候群になることもあり、学校の授業に集中できないなどの影響が出ることもあるといわれます。
むずむず脚症候群の対処法
むずむず脚症候群は、そのまま放っておくと、睡眠障害からうつ病を引き起こすこともあるといわれています。
自分でできる対処法を紹介しますので、参考にしてください。
運動、マッサージ
むずむず脚症候群では、脚がむずむずしたりかゆくなったりして、動かずにはいられないような状態になりますが、この症状は、運動することによって、ある程度改善される場合があります。
脚をしっかりと動かす運動をすることで血行が良くなれば、筋肉などの感覚が脳にきちんと伝達されやすくなるからです。
この場合の運動は、ダイエットなどのように脂肪の燃焼を目的としているわけではないので、ゆっくりと歩くだけでも効果が期待できます。
無理のない範囲で、しっかりと脚を使う運動をしてみましょう。
血行を良くすることで症状を改善することが期待できるのですから、ハイヒールなどの脚の血行を悪くするような履物は避けるようにした方が無難です。
また、就寝前に脚のストレッチやマッサージを行うことで、むずむず脚症候群の症状が改善されることもあるといわれています。
カフェインやアルコールを控える
カフェインやアルコールが、むずむず脚症候群の症状を誘発する一因になっているとも考えられています。
カフェインやアルコールは、睡眠を浅くし、自律神経の乱れを誘発するので、むずむず脚症候群が起こりやすくなるというのです。
寝酒は寝つきを良くするかもしれませんが、眠った後も肝臓でアルコールが分解されて、交感神経が働く状態が続くので、深い眠りを得ることは難しくなります。
鉄分の積極的な摂取
鉄分不足は、むずむず脚症候群の大きな原因になっていると考えられているので、鉄分を毎日積極的に摂取するようにしたいです。
ドーパミンの分泌が足りていない要因の一つに、鉄分の不足があると考えられています。
ただ、鉄分の吸収率は約8%と非常に低いので、毎日の食事から十分な鉄分を摂取するというのは、なかなか難しいというのが実際のところです。
さらには、コーヒーやお茶などを飲むと、そこに含まれているタンニンによって鉄分の吸収がはばまれてしまうので、吸収率はさらに下がることになります。
1日の鉄分の摂取量の目安は、男性が10mg、女性が12~15mg程度といわれています。
例えば、鉄分が豊富とされる豚レバー100gには、約16mgの鉄が含まれていますが、1日に豚レバー100gを食べたとしても、体に吸収される鉄分は、吸収率が8%程度なので、
16mg × 0.08 = 1.28mg
ということになってしまいます。
・豚レバー
・豚ヒレ肉
・ほうれん草
・小松菜
・納豆
・高野豆腐
・いわし
・わかめ
・ひじき など
鉄分不足が気になり、確実に十分な鉄分を摂取しようとする場合には、サプリメントの活用を考えてみるのもいいかもしれません。
むずむず脚症候群の対処としてサプリメントを活用する際には、
・吸収率の高いヘム鉄であること
・鉄分の吸収率をアップさせるビタミンCを同時に摂れること
の2点を重視するようにするといいです。
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まとめ
むずむず脚症候群は、症状が見られる人が多い割には認知度が低く、「気のせいだろう」「そのうちに治るだろう」などと考えて、そのまま放置する人が多いようです。
軽症の場合には、日常生活を工夫すれば症状が軽くなることもあるようですが、そのまま放置していると、再発したり悪化したりしてしまうこともあるといわれています。
まずは、自分の症状をしっかりと把握することが大切です。
そのうえで、上記のような対処をしても症状が改善しないようなら、なるべく早めに専門医に診てもらって、適切な治療を受けるようにしましょう。