「理想の睡眠時間」は何時間?年齢や季節によっても異なる

目覚まし時計

「よく眠ったはずなのに、午後になると眠くなる」「睡眠時間は十分なはずなのに、疲れがとれていない」 「理想的な睡眠時間は、1日に何時間くらい?」など、睡眠に関する悩みや疑問はいろいろあります。

短い時間の睡眠で快適に過ごせる人もいれば、最低でも9時間以上は眠らないと調子が良くないという人もいます。

ベストな睡眠時間がどれくらいなのかは、それぞれの人によって様々で、年齢などによっても違ってくるといいます。

それぞれの人にとっての理想的な睡眠時間は何時間くらいなのでしょう。

理想の睡眠時間

理想の睡眠時間は人によって異なる

一般的に「理想的な睡眠時間は、1日7~8時間程度」といわれていますが、これには、はっきりとした医学的な根拠があるわけではないようです。

平均的な睡眠時間が、だいたいそれ位なので、1日7~8時間といわれているに過ぎないといいます。

7~8時間程度の睡眠時間がベストという人が多いというのは確かなことのようですが、「ショートスリーパー(短眠者)」と呼ばれる短い睡眠時間で大丈夫な人や、「ロングスリーパー(長眠者)」と呼ばれる長い睡眠時間を確保する必要がある人がいるということも、また確かなことです。

ショートスリーパー(短眠者)

「ショートスリーパー(短眠者)」とは、文字どおり睡眠時間が短い人のことです。

「ショートスリーパー」は、何らかの理由で睡眠時間を短くしている人のことではなく、「その人の体質として、短い睡眠時間でも何の問題もなく生活できる人」のことをいいます。

仕事が忙しくて睡眠時間が取れずに寝不足となっている人は、「ショートスリーパー」ではありません。

一般的に、睡眠時間が6時間未満でも、全く支障なく生活ができる人が「ショートスリーパー」と呼ばれますが、この「ショートスリーパー」は、全人口の「5~10%」を占めるといわれています。

エジソンやナポレオンなども「ショートスリーパー」だったといわれていますが、明石家さんまさん、みのもんたさん、上戸彩さんなども「ショートスリーパー」として有名です。

「ショートスリーパー」の人は、4時間以下の睡眠で生活している人が多く、中には、1日2時間程度の睡眠で全く支障なく生活できている人もいるといわれています。

ロングスリーパー(長眠者)

「ロングスリーパー(長眠者)」は、「体質的に9時間以上の睡眠時間を必要としている人」のことで、こちらも全人口の「5~10%」を占めるといわれています。

「ロングスリーパー」になる要因には、「親からの遺伝」「環境や加齢による体質の変化」などがあるとされていますが、睡眠中に「中途覚醒が多い」「夢を見ていることが多い」などの特徴があるともいわれています。

バリュアブルスリーパー

睡眠時間が6時間~9時間の平均的な中間層の人は「バリュアブルスリーパー」と呼ばれていて、全人口の80~90%を占めているといわれます。

一般的に、睡眠時間の理想とされている「7~8時間」というのは、この「バリュアブルスリーパーの平均的な睡眠時間」といえます。

自分にとっての理想の睡眠時間

「理想の睡眠時間」に明確な定義あるわけではありませんが、「理想の睡眠時間」とは「十分に眠ったという実感があってスッキリと目覚め、日中は快適に過ごせるような睡眠時間」ともいわれます。

たとえ睡眠時間が短くても、日中に眠気を感じないで快適に活動することができるのであれば、その人にとっての理想的な睡眠時間が確保できているといえそうです。

「私は3時間の睡眠で全然平気」という人がいれば、この人は恐らくショートスリーパーで、実際に3時間睡眠でも、全く問題がなく日常生活が送れているはずなので、この人にとっての理想の睡眠時間は3時間といえます。

全ての人に共通するベストの睡眠時間があるというわけではなく、理想の睡眠時間は、それぞれの個人によって様々です。

「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」

睡眠中は、深い眠りの「ノンレム睡眠」と、浅い眠りの「レム睡眠」とが繰り返されているといわれています。

通常は、就寝からの入眠(5~20分)後、80~60分のノンレム睡眠と、10~30分のレム睡眠が、約90分のサイクルで繰り返されていて、「レム睡眠」の時に起きると、スッキリと目覚めることができるとされています。

つまり、(5~20分)+(90分 × 回数) が快適な睡眠時間のリズムというわけです。

8時間程度の睡眠の場合は、5回のレム睡眠の周期(90分 × 5 = 450分 = 7時間30分)に入眠の時間(5~20分)を加味した睡眠時間が、快適に目覚めることができる睡眠時間といえそうです。

これ位の睡眠時間が快適だという人は、ほぼ平均的な睡眠パターンの人だといえそうです。

人によっては、レム睡眠の周期が3回過ぎた頃(5時間ほど眠った頃)に起きるのが快適という人もいるかもしれません。

このことを参考にしながら、自分の理想の睡眠時間を探してみるのも、一つの方法かもしれません。

いろいろな睡眠時間を試してみて、その日の体調などを記録していけば、自分の理想の睡眠時間が見つけやすくなります。

年齢や季節でも異なる理想の睡眠時間

年齢によっても、理想的な睡眠時間は違ってくるといわれています。

個人差はありますが、それぞれの年齢層で、必要な睡眠時間の長さというのは、大まかには共通した長さになっているといわれます。

生活習慣や体質などによっても、当然、最適な睡眠時間の長さは変わってきますが、健康的な生活を送る上での目安にすることはできそうです。

年齢別の睡眠時間

厚生労働省健康局が「健康づくりのための睡眠指針2014」を発表していますが、その中で、年齢別の睡眠時間は次のとおりとなっています。

・15歳前後:8時間
・25歳:7時間
・45歳:6.5時間
・65歳:6時間

一口に睡眠時間といっても、夜間に実際に眠っていた時間を指す場合や、寝床に就いていた時間を指す場合などがあります。

寝床に就いていた時間とは、布団に入っていた時間のことで、布団に入ってから眠るまでの時間も含まれています。

上記の年齢別の時間は、実際に眠っている時間ですが、この指針では、夜間に寝床で過ごした時間についても触れられています。

それによると、夜間に寝床で過ごした時間は「20~30歳代では7時間程度ですが、45歳以上では徐々に増加し、75歳では7.5時間を越える」とあります。

高齢になるほど、寝床に就いた後も、眠らずに過ごしている時間が長くなっていることがよく分かります。

年齢や季節によって理想の睡眠時間は変動する

それぞれの人に体力や食事の量に差があるように、最適な睡眠時間にも個人差があります。

平均的な睡眠時間に合わせようとして、無理に睡眠時間を削ったり長くしたりした結果、体調が悪くなったり、日中に眠くなったりするのであれば、それは、その人にとっての適切な睡眠時間とはいえません。

一般的には、「睡眠時間は、若年者の方が長く、年を重ねるにつれて、徐々に減少していく。」といわれています。

20年毎におよそ30分程度短くなるといったイメージのようです。

高齢になるほど朝型の生活リズムになっていくことが多いですが、加齢による生活リズムの変化は、女性よりも男性の方が顕著だともいわれています。

また、「季節」によっても睡眠時間に増減があり、「睡眠時間は、夏よりも冬の方が、25分程度長くなる。」とされています。

年齢や季節のほかにも、様々な要因で睡眠時間は変動するとされているので、あまり数字に敏感になり過ぎず、体の調子を見ながら、その時々の、自分にとっての理想の睡眠時間を確保することが大切だといえそうです。

睡眠時間の「長さ」にこだわりすぎない

日本人の睡眠時間は世界的に見ても短くて、睡眠時間が最も短い国のうちの一つに数えられています。

とはいっても、睡眠時間は長ければいいというものでもありません。

睡眠時間は、環境や状況に応じて長くなったり短くなったり、また、年齢によっても変化していくといわれます。

睡眠時間は、「平均」や「8時間」などにこだわらずに、自分にとっての適切な睡眠時間を見つけることが肝心というわけです。

「朝、眠気やだるさを感じずに目覚めることができ」「午後になっても強い眠気を感じず」「1日快適に過ごせる」ようであれば、自分にとっての適切な睡眠が確保できているといえそうです。

睡眠には「質」も大切

睡眠の大きな役割に、「脳と体を休める」ことがあるとされています。

脳と体の疲れをとって、心身の機能を回復させるのが「睡眠の役割」ともいえます。

睡眠が不足すると、集中力や記憶力が低下したり、免疫機能や代謝機能に異常が出て、血圧を上昇させたり肥満につながったりすることがあるといわれます。

理想的な睡眠は、単に睡眠時間の長さだけではなくて、睡眠の「質」も大切です。

睡眠中にも、体の中では、様々な機能が働いていますが、これらの機能がきちんと働くことができるようにするのが、質の良い睡眠ともいえます。

睡眠時間は多少短くても、睡眠の質が良く、1日中快適に過ごせるようなら、それがその人にとっての理想の睡眠時間といえそうです。

良質な睡眠のために

自分にとって必要な睡眠時間を確保していたとしても、睡眠の質が低いと、十分な睡眠の効果を得ることは難しくなってしまいます。

就寝直前のカフェインやアルコールの摂取、喫煙、食事などは、神経や胃などに刺激を与え、快適で質の良い睡眠を妨げる要因となってしまうので、控えた方が良さそうです。

就寝直前の勉強、仕事、パソコン、スマホなども脳に刺激を与えてしまいます。

体だけでなく脳もリラックスさせることが、睡眠をより充実させることにつながるので、眠る直前には、ゆったりとした音楽を聴くなどして、体も脳もリラックスした状態にしておくことが、良質な睡眠につながりやすいといわれます。

人によって理想の睡眠時間は異なりますが、自分に合った睡眠時間を確保するようらすれば、日中の集中力も高まり、仕事や勉強の効率の向上にもつながりやすくなります。